「オイリュトミー」のレッスンを行いました。
オイリュトミーは、ドイツ発祥の舞踊芸術で、自然な運動で身体的負担が少ないことと感覚の発達を促すため、幼児からお年寄りまでがエクササイズを楽しむことができます。
ダンスやバレエ以外にも、音楽、演劇、教育など、さまざまな分野から注目されてきましたが、その大きな特徴の一つが、「響きとして踊る」ということを目指すこと。つまり、自分の思いや考えを伝えるためばかりでなく、他人の言葉やまわりから聴こえてくる音を受け止めて全身で反響するような意識で踊るということです。
聴こえてくる言葉のもっている力の波や色彩感の広がりを身体で表現する。鼓膜を通じて心に届いてくる音楽の音の戯れやリズムや共鳴を全身運動にして味わい尽くしてゆく。体で聴く。
具体的には、テキストの朗読や音楽の演奏を聴きながら、そのサウンドを丁寧に全身の運動に反映し、それらと共鳴するように踊ってゆくのですが、それは、理解したいという気持ちが踊りになる、ということでもあります。
わかってもらいたい、という気持ちで何かを表現するのとは対極的かもしれないのですが、傾聴し、受け止めようとし、響きあおうとしてゆく、ということもまた、芸術の大切な側面と思えば、納得できる方向性です。
たとえば美術のもっとも基本において目に見える風景を丁寧に描いてゆくことがあり、それが心の落ち着きや注意深さや観察力や妥協のない努力や人間的な成長に関わるのと似て、オイリュトミーは心に映るものを身体表現で描写してゆくとも言えます。
これは実際に稽古してゆくと、かなり感性を刺激するし、何よりも細やかで敏感になってゆくのが自覚できて、なんだか視野が広がってキャパシティが大きくなってゆくようでもあります。
踊りが体が柔らかくするのは当然ですが、このオイリュトミーは、体ばかりでなく「アタマを柔らかくする踊り」と言えるかもしれません。
僕はこれを学んでとても良かったので、ダンサーとして独立してからも練習し続け、希望者とのレッスンもしてきました。いまだに面白さが尽きません。
このごろは、言語オイリュトミーでは、言葉を発する声が放つエネルギーの表現に、音楽オイリュトミーにおいては、音の響きと心身の相互作用に、じっくり取り組んでいきたいと思っています。
長いコロナ禍とオンライン化の中で、僕らは生身でしっかり語り合うことや、音楽に全身で浸ってゆくことから遠ざけられています。この状況ゆえにこそ必要な、心の呼吸とでも言えるようなことが、オイリュトミーの稽古を通じて、できるといいなと思うのです。
興味のある方は、ぜひ、加わってください。
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舞台活動のご案内です。次回公演の日程は1月末までに発表します。