1963

主に昭和の頃の思い出と旅行の備忘録
ときどき愚痴

最近読んだ本~深夜特急1香港・マニラ~

2025-01-31 10:34:00 | 読書

70代と思しき方の旅行blog(gooじゃなかったかも)を拝見した時に

この本に憧れた世代と書かれていて興味を持った

 

私にとっては読みやすい本で内容もおもしろいので

あっという間に読み終わってしまった

 

著者が26歳の時に思い立って路線バスの乗り継ぎでロンドンに行くことを目的に旅に出る話

途中の都市での様々な出来事が綴られている

東京から格安チケットでインドの航空会社の飛行機に搭乗したら

滑走路をトロトロと走り、通常聞こえるはずの爆音が聞こえない事に恐怖を感じ

やっと離陸をしたと思ったら倒していないシートの背もたれが勝手に後ろに倒れ

非常口の表示板が落ちた、、

サリーを着たCAがしれっとそれを元に戻す、、

もちろん無事にまずは香港に到着するのだが

いきなり前途多難で引き込まれた

 

香港の安ホテル(名ばかりで実は連れ込み宿)に泊まり

中国への返還前のノスタルジックな香港の庶民の様子に熱に浮かされたように毎日歩き回る

高速船でマカオに2日ばかり出かけるが

カジノで『大小』という博打にはまってしまう話は

あまりにも臨場感があり自分の事のようにドキドキしながら読んだ

 

ちなみに私は絶対にギャンブルをやってはいけないタイプだと自認している

はまりやすいのだ

娘が幼い頃、通りがかりのゲームセンターの前に

当時流行っていたセーラームーングッズのUFOキャッチャーがあった

ためしにやってみたら2回目で取れた

 

しかし取れたのはキャラクターのスリッパ

片方だけでは役に立たない

もう片方取ってやろうと気が付いたら何度か千円札を両替えして

100円玉を38回投入したところでやっと手に入れた

このくだらない事に3800円も使ってしまったのだ

 

それ以来二度とUFOキャッチャーには近づかないし

ギャンブルには絶対に手を出さない

 

さて『深夜特急(ミッドナイトエクスプレス)』は乗り物の名前ではなく

トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者の隠語で脱獄を意味するとの事

 

この後、続編でタイ、シンガポール、インド、ネパール、トルコ、ギリシャを経由して

ロンドンまで5冊あるのでどんな展開か今から読むのが楽しみ

 

この手の冒険旅行は若いうちでないとできない

著者の沢木耕太郎氏でも77歳の現在では難しいだろう

50年前より世界中の治安は悪化しているし

体力だけでなく、失うものがない状態でないとチャレンジできない旅だと思う

 

だから旅行に限らず若いうちにいろんな事に沢山チャレンジした方がいい

今はネットですぐにどんな情報も手に入れられる

でも実際に見たり経験するのとは違う

かっこ悪くても失敗続きでも泣いても腹が立ってもそれでいい

それが生きるって事だから

コスパとかタイパばかり気にしていると50年後に後悔しそうだよ

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最近読んだ本〜母という呪縛 娘という牢獄〜

2025-01-20 13:38:00 | 読書
実際に起きた事件を取材した記者によるノンフィクション

滋賀県で医学部を目指して9浪した女性が
自分を支配し続けた母親を殺害し
バラバラにして遺棄した事件

母親のあまりに惨い教育虐待
本人は理系が苦手で文系に進みたいのに
親の見栄のために医学部をひたすら受験させられる

日々勉強を強制され監視され
テレビさえ自由に見られない

模擬テストの成績が振るわず
希望(させられている)の医学部の偏差値に届かないと
その偏差値との差の数だけ鉄パイプで殴られる
正座させられその太腿に熱湯をかけられた事もある
子どもに庭で土下座させてそれを写メするとか
この母親は何らかの人格障害じゃなかったのか

あまりに辛く
彼女は自立しようと何度も家出をするが
その都度連れ戻される
母親は探偵を使ってまで探し出す

これでは絶望するしかない
実際彼女は「どちらかが死ななければ終わらなかった」と言っている

逮捕後に父親は献身的に娘を支えているが
妻とは20年以上別居して
娘が一番苦しんでいる時に
なんとも影が薄い存在だった

それでも出所後に待っている家族がいるのは
励みになるだろう

彼女が書いた手記か手紙の写真を見たが
字が綺麗で文章のまとめ方が上手で読みやすい
本人の希望どおりに文系に進んでいたら
今頃得意分野で活躍していたかも知れない
出所したら今度こそ好きな道で幸せに生きて欲しいと思う

彼女には深く同情するけど
殺人はやっぱりダメ
倫理的な事だけでなく
罪悪感で結局いつまでも母親にコントロールされている事になるから

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最近読んだ本〜終わりに見た街〜

2024-09-28 12:21:00 | 読書

山田太一氏の『終わりに見た街』を読んだ

岸辺のアルバム、不揃いの林檎たち等の
有名な脚本家だが小説は初読み
 
感想を一言で表すと「救いのない話」
タイムワープ系の話が好きなので読み始めたけど
私の苦手なバッドエンド
 
1981年、多摩川を見下ろす高台に住むテレビドラマライター太一と
その妻、中学生の娘、小学生の息子と柴犬1匹 
 
ある朝、起きたら家ごと昭和19年の戦争中にタイムワープしていた
近所の家も道もなく自宅は森の中
いつもは遠目に見える新宿の高層ビル群や二子玉川の高島屋もない
家や家電があっても電気や水道などのインフラは当然通っていない
 
妻の実家などに電話をしてみるがもちろん繋がらない
しかし突然電話のベルが鳴る、、主人公太一の幼馴染からだった
なぜか太一一家と幼馴染の敏夫さん父子だけが時空を超えてしまった
敏夫さんは結婚式場で宴会係をしていただけあってなかなか気働きがある人で
口八丁でその時々に必要な食料や品物をうまく手に入れてくる
 
現実を受け入れられなかった太一一家も
敏夫さんとその息子と一緒に終戦までなんとか生き延びようとする
 
なにより未来を知っているのが強み
どこに空襲があったかを知っているので
そのエリアを避けて転々と住居を変える、、つもりでいた
 
途中までは紆余曲折がありながらも比較的うまくいっていた
昭和20年3月10日の東京大空襲を前になんとか少しだけでも助けられないかと
下町でビラを撒いたり、軍人や警官に目をつけながら大空襲の日時を知らせる演説をした
 
やれるだけやって自分たちは安全な都下に戻ったら
なんとそこに空襲警報
そんなこと年表にも歴史の本にも書いてなかった
でも書いてあることがすべてではない
まさに「聞いてないよー」である
 
まともに爆撃を受けてしまった太一
気が付いた時、左腕をなくし出血が止まらない
近くには黒焦げの家族の遺体
痛みと絶望の中で見た崩れた新宿の高層ビル群
 
もしかしてまた時空を超えた?
近くに倒れていた虫の息の人に今は昭和何年か聞く
答えは切れ切れに「ヘイ、、」
西暦で何年か聞くと答えは「ニセン、、」ここでその人は息絶え
話は終わる
このラストの絶望感は「猿の惑星」に似ている
 
戦時中を何とか生き延び、元の時代に家族で戻れるのを期待していたが
再度時空を超えた未来も戦争で皆亡くなってしまった
これは第三次世界大戦なのか
 
戦争中の食糧難や物資不足だけでなく
子どもまで軍国教育をされ自由に発言できない
隣組だの婦人会だの相互監視もウザイ
 
せめて未来から連れてきた自分の子ども達には
いずれ戦争には負けて、終戦後に大人たちがころりと言うことが変わるんだよと
戦争の愚かさをこっそり教えてきたが
当の子ども達は純粋なのか、すっかり軍国少年・少女になってしまい親を批判する
これもがっかりだが、その時になったらみんな世論に飲み込まれて絡めとられてしまうのだろうか
 
私が最後まで気になったのは太一の飼い犬レオである
多摩川の家は軍人に見つかってしまい逃げる際に
庭につながれていたレオを自由にしてやる
軍人たちは家に火をつけるがレオはそこからは逃げおおせた
 
しかし昭和50年代の中流家庭の飼い犬だったレオが
野良犬として生き延びられるとは思えない
人が食べ物に苦労している時代に残飯もないだろうし
なんか何もかもが気に入らなかった
でもきっと戦争ってそういうものなのだろう
 
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最近読んだ本〜母親からの小包はなぜこんなにダサいのか〜

2024-09-22 14:53:00 | 読書
三千円の使いかたがヒットした原田ひ香氏の
「母親からの小包は何故こんなにダサいのか」を読んだ

母親から送られてくる荷物をテーマにした6話の短編集
それぞれの話の小包の中身は概ねこんな感じ
米、野菜、缶詰、レトルト食品、乾物や
温かいだけのダサい下着とか地元の銘菓
実家を離れて一人暮らしした人なら思いあたる物ばかりだと思う

緩衝材代わりに農協から貰ったタオルが入っているとかもリアリティがあった

第一話の主人公は小包を素直には喜ばない
地方から東京の大学に進学して自由を得て
親との関わりが面倒なのだ

しかしこの主人公の女子大生は
大学でなかなか友だちが出来ない
中高からのエスカレーター組はすでに仲間がいる
都会育ちのキラキラ女子大生に気後れして
自分と同じ地味な学生に勇気を出して声を掛けるが上手くいかない

ある日実家からの小包に入っていた
地元にしかないお菓子「かーさんケット」を教室で食べていたら
出身地が同じ学生がお菓子を懐かしがって
声を掛けてきた

鬱陶しく思う母からの小包がきっかけで
きっとこれから仲良くなっていくのだろう
希望がある明るい話だった

ちなみにこの「かーさんケット」は本当にあるお菓子らしい

その他、母親がいないOLが同棲相手への見栄のために
母親からと称してネット販売している農家に米や野菜を小包で送ってもらう話や
毎年女性名で父親あてに送られてくる小包の送り主を探す謎解きの話など
どれもサクッと読めた

ただ最終話だけはスッキリしない
ずっと母1人娘1人で暮らしてきたOL
自身が大阪に転勤になったタイミングで母が再婚し千葉に移住するが
再婚相手が気にくわず、母とも疎遠になる

母からの風邪をひいたとのLINEにも返信せず
義理父(母の再婚相手)から何度も着信した電話にやっと出るが
母親の容態が急変しICUにいるとの連絡
慌てて駆けつけるが間に合わず
死に目に会えなかった
悲しみは大いに理解するけど
霊安室やお通夜の席でも何故喪主が義理父なのか
何故向こうの子ども達が葬式を仕切るのか納得できず
ついには母親の葬儀をボイコットしてしまう

温厚な義理父もさすがに義理娘に意見するが彼女は全く反省していない
母を取られた寂しい気持ちがあるにしても
あまりに幼稚(ここまでくると中2病だね)

自宅に帰ると亡くなった母親からの小包が届いていた
入院する直前に送った小包の中身はいつもの食品等のほか
使いかけの風邪薬や熱冷ましのシートなどが入っており
娘はここでやっと母親の気持ちを理解し大泣きする(遅い!)

その後、義理父とも和解し連絡を取り合うようになる(遅い!!)

世の中には親からの虐待やお金の無心等で親と疎遠になったり絶縁する人もいるのだろう
それは仕方のない事だけど
彼女の場合は、お母さんを取られた、、である

疎遠の義理父から電話があった時点で
相当やばい何かだと思うのが普通でしょ

生き死にに関わる事は無視すると後々自分が苦しむ事になる
このお母さん、心残りだっだろうな
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最近読んだ本〜赤と青のガウン〜

2024-09-06 13:00:00 | 読書
久しぶりにエッセイを読んだ

彬子女王の『赤と青のガウン』
皇族の彬子様がオックスフォード大学に留学され
博士号を得られるまでのお話し

研究と努力を重ねて
論文を完成させるまでのご苦労と
イギリスでの普段の生活や指導教授やご友人との事
時々楽しまれる旅行やスキーなどのご様子が書かれていた

文章は読みやすく瑞々しくユーモアがあり
著者は聡明で優しい方だと思う

普段の移動はバス
マーケットで安い食材を探して自炊
贅沢とは無縁の学生生活
サラダうどんのレシピなどは庶民そのものなので私にも出来そうだ

日本の宮家から送られてくる荷物も
お米やインスタントのお味噌汁、缶詰、モコモコの靴下など普通の学生と変わらないけど
側衛官や侍女さんなど皇族ならではのエピソードもあり興味深かった

お父様とのやり取りは数多く登場するのに
不思議とお母様については最後まで全く触れていなかった

どうやらお母様とは確執があり長く別居だったよう
皇族と言えども家族の悩み事はあるのね

無事、博士号を取り、赤と青のガウンをお召しになって式典に出席される件では、なんだかホッとした🤭

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