“中学生日記の延長かな”とあまり期待せず見てみました。
かなり大真面目のワークショップで、大人顔負けの演技を取り組んでいる中学生の姿を見ることができました。
番組内容にはこう書かれていた。
▽青森市で行われた演劇ワークショップ
▽劇作家・演出家が中学生を本格指導
▽わずか4日間のけいこで成長する中学生
▽学んだのは人間の心の奥深さ
劇作家・演出家というのがワークショップ主催の畑沢聖悟(はたさわせいご)さん。
青森県内の高校で教師を務め、演劇部の顧問をしています。
戯曲の提供と指導を行い、全国高校演劇発表大会では最優秀賞を受賞。
また、青森市を拠点に全国で演劇活動をしている劇団「渡辺源四郎商店」(通称「なべげん」)の店主・・・いわゆる「団長」です。
今日の番組は、畑沢さんが中学生対象に行われたワークショップの内容でした。
稽古はたったの4日間、そして本番。
畑沢さん曰く、自分と中学生の時間の濃さは違うという。
「自分(畑沢さん)は今46歳で、この46歳という1年は【1/46】なんです。しかし彼女らは【1/14】。同じ1年であっても感じる長さはまったく違う。濃さが違う。吸収度も違う。」
なるほど・・・と思いました。
プロがひとつの芝居を作るためには1ヶ月、2ヶ月の稽古の期間がある。
役者個人はその前から本読みをして、役柄を叩き込んでいくのだから、もっと時間を費やしていると思います。
しかし、このワークショップは本番併せても1週間もない。
しかも演劇未経験者もいる。
けど、その数日間の中学生の演技の成長は、誰が見ても一目瞭然でした。
目つきが変わった、台詞回しが演技ではなく、内なる感情の叫びになった、中学生ではなくプロの役者に見えました。
これが、「時間の濃さの違い」なのかなと思いました。
さて、ワークショップで使われていた本の題材ですが、それは「いじめ」でした。
しかも中学生たちが演じるのは、いじめをしたという生徒の親です。
「いじめ」をきれいごとではなく、人の本心をそのまま表現された本でした。
人間の醜い心、我が子を想う愛情、現実を認めようとしない、いじめを知りながらも隠そうとする気持ち。「言わなきゃバレない」と、子供に言い聞かせる親。
そして、そんな親達に死んでしまった少女の生前の苦しみを訴える青年。
なんとも複雑な・・・痛い芝居。
これを中学生が演じ、それをきっと子を持つ親であろう人たちが観ていた。
どんな心情だったんだろう・・・。
ワークショップ参加者のひとりの中学生が言っていた。
「ひとそれぞれ、違うもの。同じものみてもそれぞれの感じ方がある。けど、違くてOKなんだって。それが良いことなんだ。」
なんともたくましく、立派に見えました。
あと、お芝居ではなく、稽古を見て楽しいもの。
それは・・・「監督がOKを出す芝居と出さない芝居の違い」を見ることです。
何が違うんだろう。声の大きさ?イントネーション?力の入れ方?間の空け方?
役者ではないけど、きっとどれも当たってるかもだけど、全部不正解のような気がします。
芝居は感情の爆発。
つくる人も、演じる人も、書く人も、伝える人・・・本当に素晴らしい人たち。
頭が上がりません。
畑沢聖悟(はたさわせいご)さんのblogは、こちら。
劇団「渡辺源四郎商店」(通称「なべげん」)の関連記事は、こっち。
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