わたしがこうして、美容室ではたらいていなくても「美容師です」と言い続けることができているのは、じぶんのプライド笑と、ひとりの同期がいるからです。
わたしは、夜間専門に通っていました。
もちろん夜間だったため、昼間の人たちよりも年齢はバラバラ。
しかし、なぜか私たちの期は高校ストレートに入学してきた子たちが多かったです。
もともと学校というモノが苦手になってしまっていたし、昼間は美容とはまったく関係ない仕事をしていたから、なかなかうまくなじむことができいなかったと思います。
そのひとりの同期というのも、傍から見て「アイツは・・・」と目につく人で、佇まいや周りからの注目度、自分というモノの表現の仕方などが、飛びぬけていました。
そう、同期と言っても仲間でもあるけど、ライバル同士。
どうも人としては好きくなれないような人なのに、気になって仕方ない。
そんな人だったんです。
それが今は、わたしの髪を切ってもらう担当者になっている笑。
わたしなら絶対にやらない。
今は、頼まれても切りたくないと思ってしまうくらい。
けど、すごく感謝しているんです。
数カ月に一度、ひどいときは1年に一度。
数年空いてしまったときもあったけど。
その人は必ずわたしを「美容師」として扱ってくれるんです。
お客さんだけど、同期として、いっしょに「美」という仕事している者としてみてくれる唯一の人。
ーじぶんはもうここまできたぞ。おまえはいいのか?ー
そんな風に語りかけてくれる。
これはとてもフシギなことで、わたしはその人と切磋琢磨したという時間は、その同じ時に同じ場所で授業を受けていたということだけ。
あとは、わたしがお客さんとして切られているときだけ。
なのに、わたしはその人の接客を観察しながら、カットされながら感じながら、その技術を盗むように、その人はわたしに何かヒントをと言葉を選んで、まるで、今までのわたしの知らない道を教えるように、何かを伝えようとしてくれてる。
多分だけど、お互い探りながら、評価しながら、自慢もしながら、そんなんだから、言葉は多くを交わしているわけではないんです。
そして、伝わり切らないということもわかっているし、お互いで「まだまだ成長しないな」と思っているからこそ、素を出し切れない間柄でもあります。
ただ、お互いにないものがあるからこそ、すごく尊敬してくれてること。
わたしのヘンな可笑しな性格をたのしんでいること。
中途半端な間柄だからこそ、話せる内容もある。
わたしは、美容師としてすこし変わった道を歩んでしまってきています。
同期にも同業にも、他業種の人にもなかなか理解はもらいにくいけど、それも仕方ない。
その分、美容師のもどかしさも、お客さんとしてのもどかしさも、すごく客観的に見れるようになって、わたしはわたしの美容の表現をやっと見つけることができたんだと思います。
そして面倒なことに、はたらくことが好きすぎるために、余計なことまでも首を突っ込んでしまって、さらに、よくわからない人になってしまって、まわりを困らせてしまっているようにも思っています。
美容師にあこがれを持った時からそうなんです。
「歌って、踊れる?美容師になる!」なんて、思ってたくらいだから笑。
いまは、美容師を一生続けるために、じぶんのプライドを曲げない方が一生できる美容師でいれるようになれると思って、そこにこだわってはたらいてきたからこそ、たくさんのことが見えるようになって知れるようになって、肩書がわからないような人だけど、まだきちんとそれぞれでお金を稼げていないけど、ヘンにお金だけもらっている人よりも、堂々といれるようになって、美容師としての技だけじゃなくて、たくさんの武器を、お客様を満足させる武器を備えるようになったかなって。
技術に完ぺきはないし、完成されたものもない。
ずっと学んで吸収して、表現し続けるものだから。
じぶんは自分らしく、じぶんの美容をまた伝えて残していけるように、お客さまにも伝わるように。
もっともっと、美容をじぶんの生活の中でキラキラした時間にしてもらえるように。それが生活の一部であって、じぶんを変えるスイッチであって、じぶんの身体と向き合える大切な時間にしてもらえるように。
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