徒然なるままに

子供の頃から活字が好き。読んだ本のこととか日々の暮らしの中で感じたことを綴っていきます。

今週の本棚から

2009年11月29日 | 今朝の新聞から
日曜の朝はとりわけ新聞を読む時間が楽しみだ。
特にめったにない暇な日曜は至福の時間。

日曜は、新刊書の紹介がある。
今朝は、読みたいと思う本がたくさんあった。
その中でも特にこの二冊

「岩盤を穿(うが)つ」湯浅誠

「革命の侍」マリー前村ウルタード、エルトル・ソラレース・前村

湯浅氏はいわずと知れた、昨年の日比谷での派遣村の村長だ。
東大の博士課程を出て貧困と戦う戦士。
「本人がしっかりしないからだ」と批判する自己責任論を糾弾している内容らしい。どちらかといえばそっち派の私だったので、読むべきと思う。

チェ・ゲバラは1967年に南米ボリビアでゲリラ作戦中つかまって殺された
著者はこのゲバラの最後の戦いで死んだ日系ボリビア人、「フレディ・前原」の姉と甥である。
二人は、フレディは父の国、日本、の侍精神を受け継ぎ弱者のために戦い死んだと考える。軍事政権により迫害を受け続けていた彼らは、「侍」を心の拠所にして生きてきたという。
意外なのは、亀井金融大臣がテェ・ゲバラを尊敬しているという。
ああ、それでああいう政策を言い出したのかな。と思った。

アメリカは、正義の戦争を唱える。正義はアメリカというところからすべてが始まる・・
それが世界の火種であるのに。

今朝は新刊書だけでなく、大好きな「発信箱」にも本の記事があった。
先日亡くなった森繁久弥さんが、1957年に読売新聞社から出した「こじき袋」という本に、記者が古本屋で出会ったのだという。
半世紀も前のエッセイ。

戦前NHKのアナウンサーとして旧満州に勤めたとき、シベリア国境の雪の下に兵隊の名前を小石に刻んだ日本人墓地を見つけた。日本人隊長の墓碑を円形に取り囲んで、さらに一段小さな石くれの碑に女性の名前があった。

森繁さんは
<からゆきさん---こんな北辺の果の果てまでも兵隊たちについて行軍し、ついに雄々しくも部隊と運命をともにしたうら若い娘たちなのであろう。涙を誘わずにいられない末路の姿であった>と書いている。
森繁さんの兄はこの国境で行方知れずのままである。兄と帰りを待ち続けた兄嫁にこの本を捧げたいと結んでいるという。

山崎朋子女史がからゆきさんを描いた「サンダカン八番娼館」を読んだときの衝撃を思いだした。
ボルネオ(いまはマレーシアに)には今も生きて帰れなかった日本の方角に墓碑が並ぶという。
またこんなページも見つけた。

そしてあとがきには
「ただこうして書き綴って、ひとしお身にしめて感じられることは、平和に手をつないで暮らしてゆきたいと思うことのみである」と。
涙が知らずにおちてきた。

そして森繁さんのことを表面上だけで何も知らなかったなあと思った。

ゲバラの娘さんは、今もドクターとして人のために生きている。ゲバラは彼女の中にきっと生きている。
私たちはもっともっと受験用の歴史だけでなく本当の歴史を知ることで、今の自分の立ち位置を知ることになるだろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿