祈りを、うたにこめて

祈りうた(原爆 ヒロシマ 引き金)

ヒロシマ

 

1

巡礼の顔して辿(たど)る爆心地

八月のドーム生き身を陽に曝(さら)

樹が青い 八月広島樹は青い

手入れする婦人等がいて青い芝

(さく)の外みんなかなしい眼で仰ぐ

爆心地蝉の読経(どきょう)をきいている

遠足の子らいっせいに手を合わせ

一発の爆弾を見た丸い屋根

不意討ちに背なえぐられた腹裂けた

原爆地死体うずめる墓が無い

紙一枚ひとりのサイン 皆殺し

爆風で死にたくなかった馬の首

ビンも溶け電車も溶けて ひとは消え

掌にすり込む熱さ灼(や)け瓦(がわら)

学徒らに吾が子重ねて遺影見る

三人の形見(かたみ)でつくる原爆児

黒焦げの弁当食べる君の顎(あご)

千羽折る 針いっぽんで千羽折る

米粒の鶴折りあげて禎子(さだこ)(ゆ)き  

万の死者この子あの親その夫

バスガイド一桁(ひとけた)までの死者数え

マニキュアの爪が見つめる黒い爪

高層のビルの谷間に危機遺産

広島に「ドーム球場」つくらない

正座してテレビ見つめる原爆忌

広島の川 長崎の丘 皆祈り

 

2

児も父も身をかたくしてドーム見る 

書き割(かきわり)のようなドームの背中見る

遠足の幼なの声も小さくちさく

川やなぎドームに向かい頭垂れ

ピンポイント 橋を見つめる爆撃手

どの町も人住んでいた生きていた

キノコ雲この世の呻(うめ)き天へ天へ

影よ影 この石段の君は誰  

黒い雨天引っかいてシミとなり

荼毘(だび)に付(ふ)すその兵隊も葬られ

校庭に鋤鍬(すきくわ)学徒 豚も飼い

何してた 八月六日何してた

制服のもげた右手が天を突き

国中の鶴飛んできてサダコ抱く

異郷の地碑(ひ)に刻まれた無念の死

噴水の水水水水 天乾く

慰霊碑(いれいひ)の供えの花の古からず

人間の鎖となって園囲む

人民を身売りに出して核を買い

口パクの宰相(さいしょう)の汗原爆忌

公園満開 みんなみんな手向け花(たむけばな)

 

 

引き金

 

引き金を

つくるひと

 

引き金を

ひく人

 

引き金をつくれ と

命じるひと

引き金をひけ と

命じるひと

 

その引き金で

死んでゆくひと

 

死んでゆく人を

テレビで眺める

あなた

わたし

 

 

●ご訪問ありがとうございます。

戦争の脅威が伝わってきています。これは、よその国のことではありません。人間のかなしみ、いきどおり、不安、などなど、感情が入り乱れます。

このまま戦火が起こらないことを祈り続けています。

今回、以前に載せたものを再び投稿します。今こそ声を出したいと思います。

冬のロシア、ウクライナを思います。
紙一枚ひとりのサイン 皆殺し
ーそうならないことを!

 

 

 

   

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「原爆」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事