二〇二三年八月九日・ナガサキ
黒焦げになった少年の写真を見た
長崎の少年
原爆に焼き殺された少年
原爆後の長崎の写真を探し続け
集め続けたひとがいる
四千枚の写真のなかにその少年は写っていた
少年の妹が写真を見てわたしの兄 といった
炭と化した遺体の顔はわたしの兄の顔 といった
法医学が証明した
七十八年 黒焦げている少年
仰向けて
天に顔を向けて
ニンゲンが生きたまま焼かれた
焼かれた姿の彫像となった
その瞳は何を見続け その口は何を訴え続けているだろう 今日も
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。
長崎の原爆記念日は、広島のそれより記憶されにくい気がします。けれど、そこに生きていたひとたちの暮らしが一瞬で消し去られたことは、広島も長崎も同じです。こんなむごたらしいことを行ってしまった人間という存在の底なしの罪の深さを思わないではいられません。
私のなかにもあるかもしれない、命を何とも思わぬ、それどころか破壊し尽くすという悪の思いが、今もウクライナで、他の国で、止まずに続いています。