日本グルーヴチューン振興会

2012年のJ-POP:シティポップス新時代

12月に入りましたので、そろそろ今年の総括をしたいなと(毎年のコトながら大袈裟だ
例年、マイベストという形で作品をいくつか挙げて、というスタイルだったのですが、今年は少し趣向を変えてみようかなと。
自分が買って聴いたCDには、その年によってある程度の偏りが見られるものです。
勿論、趣味・嗜好というのはそんなに大きく変わる訳ではありませんが、なんとなくベクトルが同じだなと思うモノが多くなったりするんですね。
今年の場合、感じたテーマが3つ。
今エントリーは、シティポップスについて。





シティポップスという言葉って、音楽的定義が曖昧でハッキリしないんですけど(苦笑)
ただ、感覚としてなんとなく解るっていうか、いくつかのキーワードでくくれたりする。
アーバン、ソフィスティケート、コンテンポラリー、クロスオーヴァー、カッティング、16ビート、ライトメロウ、リゾート、スタイリッシュ、AOR・・・・・・・・・
1970年代後半から1980年代前半にブームとなったシティポップス。それは今考えれば時代が作った音楽であり、決して今の世の中にマッチする形で同じようにメインストリームになることは考え難い。
しかし、そのサウンドメイクが21世紀の音として消化され、今なお生き続けているのを感じられた気がする2012年だったと思う。




山下達郎が、『OPUS』というオールタイムベストを出すことによって、CDというメディアが生きているうちに一区切りをつけようとした。そこに収められた音楽は、本人は嫌がるかもしれないし(笑)そんなつもりはないと言うかもしれないが、シティポップスの集大成の様なアルバムになっている。特に、Disc.1で聴けるシュガーベイブ時代~「クリスマスイブ」前夜の作品集は、今の時代に聴いても色褪せない珠玉のポップアンセム。



そして、その達郎のDNAを受け継ぎつつ、自らの意匠を加え“21世紀のシティポップメイカー”に邁進する、ジャンクフジヤマの存在。今年メジャーデヴューを果たし、2枚のシングルをリリースしたが、そこに収められた全ての曲がハイクオリティで琴線に触れる。優れたプレイヤーたちとレコーディングやライヴを重ねる毎に飛躍的に成長する彼には今後も注目していきたいなと思います。



達郎フォロワーといえば、角松敏生も今年『REBIRTH1』というリメイクベストをリリースしました。私が大好きな楽曲たちを、当時は表現し切れなかったスキルを駆使して新たな息吹を吹き込んだ1枚。これもまた、21世紀のシティポップスのマスターピースです。




一十三十一は『CITYDIVE』と『YOUR TIME ROUTE♯1』という2枚のアルバムで、キャリア史上最高の1年を示してくれました。オリジナルアルバム『CITYDIVE』と、カヴァーアルバム『YOUR TIME ROUTE♯1』は、どちらも“流線形”のクニモンド瀧口氏がプロデュースを手掛けた作品。エレクトロテイストながら、古のシティポップスのマインドが息づくサウンドメイクは流石です。




中堅どころも負けてはいません(笑)
かせきさいだぁ『ミスターシティポップ』は、シティポップスを下敷きに独自の解釈で展開するRap曲や、軽快なカッティングやメロウなエレピが如何にもなナンバーが収められた佳作。
堂島孝平はシングル「き、ぜ、つ、し、ちゃ、う / シンクロナイズド・モーニング」や、西寺郷太とのユニット“Small Boys”で久しぶりに“踊れる歌モノポップ”の真髄を見せつけてくれた。これも新時代のシティポップアイテムかと思います。
paris matchは、記念すべき10枚目のアルバムで、今まで培ってきたライトメロウなサウンドを一段と進化させ、ある意味スタイリッシュポップを極めた・・・・と言ったら過言か(笑)
でも、杉山洋介のサウンドメイクも、ミズノマリのヴォーカルも、円熟の域に差しかかって素晴らしいです。




若手では、さよならポニーテールも外せません。12月になって出したミニアルバムは傑作ですが、残念ながらコレは来年の選考対象(苦笑)
しかし、スピッツの「空も飛べるはず」のカヴァーを収めたシングルは、醸し出す雰囲気にシティポップの遺伝子を感じずにはいられません。ヒャダインや空気公団、GalileoGalileiやtofubeatsらがremixした楽曲を収めた限定盤がおススメです。




当然、シティポップス大好きな私が買うモノですから、比率が大きくなるのは必然なのですが、それでもここ数年で一番、こういったサウンドが目立つ気がするのです。
グルーヴを感じる作品も多く、日本グルーヴチューン振興会としては実に嬉しい傾向(笑)
今後も、こんなサウンドが増えていってくれるコトを願って、とりあえず今年の総括第一弾を終わります





あ、レヴューを過去に書いている作品については参照していただけると嬉しいです。
また、試聴などできたりするモノはお聴き頂き、気に入ったら楽しんで欲しいと思います。


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