日本グルーヴチューン振興会

レヴュー:『いい風』矢野真紀

至高の「歌うたい」、矢野真紀のニューアルバムは、初(だったと思う)のセルフプロデュース作品。今まで、亀田誠治や寺岡呼人といった職人と作ってきた『矢野真紀』の世界を、今回は自ら組み立ててます。なので、少し今までのアルバムと印象が違う気がするのです。

個人的な印象としては“佳作”揃いという感じ。悪く言えば、こじんまりとまとまってる、って言うのかなぁ。印象に残る曲も幾つかあるのだけれど、今までの様に120点!の大名曲が無い。
あくまでも個人的な趣味なんですけどね。グルーヴチューンが1曲欲しかったかなぁ、と。あと、真紀ちゃんのロックシンガーとしての力量を堪能できるナンバーも。

真紀ちゃんのヴォーカルなら、どんな曲も水準以上になります。だから、余計に120点の曲があると嬉しい。ファンとしての贅沢な悩みです。
そんな中、ミドルテンポのメロウグルーヴ「日々のすきま」、アコギのカッティングが爽やかなライトロック「バイバイバイ」、前ツアーで聴いて“名曲”と断言した「もうひとりは風」、サビのヴォーカルがエモーショナルでドラマティックな「五月雨」といったあたりの曲は印象的です。
今回のコンポーザー陣は、広沢タダシ谷口崇・中村修司・小渕健太郎(コブクロ)・山口美央子(あの「恋は春感」の美央子さんですかね?)といった面々。実際、イイ仕事してると正直思います。この人選は、真紀ちゃんのプロデューサーとしての可能性を感じます。

個人的には、矢野真紀は『次のステージ』に踏み出した、と感じられる一枚。
次回作も、当然期待してます。出来れば、ゴージャスなサウンドプロダクションを(笑)


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