ここ数カ月に買ったCDの一言感想も3回目となりました。今回は実に私好みのグルーヴィな楽曲が印象的な作品をチョイス。
NONA REEVES
『BLACKBERRY JAM』
2016/3/23リリース
Billboard
HBRJ-1022
ノーナリーヴスの作品は、どの時代のものであっても好きです。クオリティの高い楽曲とグルーヴィな演奏、郷太くんのヴォーカルの説得力と洒落たセンスetc.
しかし、このアルバムはそんな傑作揃いの彼らのアルバムを見渡してみても相当高い位置に格付けされるべき名盤かと。楽曲が粒揃いで全体の流れも完璧。日中のドライヴから昼下がりのBGM、夜寝る時のお伴までシーンを選ばない汎用性の高さ。実に素晴らしい1枚。
楽曲は西寺郷太とギターの奥田健介の手によるもので、プロデュースとアレンジはノーナリーヴス名義。演奏も基本は3人で、曲によってベースの村田シゲとホーンが加わる程度で3人の才をまざまざと見せつけられる。かせきさいだぁとサイプレス上野がゲストラッパーとして参加しているのもイイ感じです。プリンス的な「スパイシー」やポップマイスターっぷりを如何無く発揮する「LAST ROMANCE」、ギターとシンセがカッコいい「今夜はレッツ・ダンス! feat.かせきさいだぁ」といった辺りも好きですが、オープニングの「HARMONY」とエンディングのタイトルチューンが醸し出す“あの頃”のブラコン感が堪らなく良いんです。柔らかくスタイリッシュなミドルグルーヴを堪能できます。
スカート
『CALL』
2016/4/20リリース
カクバリズム
DDCK-1045
東京インディーシーンの雄、澤部渡率いるスカートが満を持しての全国流通盤をカクバリズムからリリースしました。程良く捻りが効いたポップセンスとソングライティング力の高さはマニアのみならず大衆を惹きつけるポテンシャルを秘めている。何よりも曲が本当に素晴らしい。打ち込みではなく生楽器に拘り、ギタートリオ+アコースティックピアノやフェンダーローズ、ウーリッツァーといった鍵盤類とストリングスクァルテット、少しのホーン、パーカッション類というシンプルな楽器編成がポップソングとして生き生きと躍動する。12曲で37分という潔いヴォリューム感もポップの極み(笑)
個人的におススメは4曲目の「暗礁」と10曲目の「回想」。どちらもグルーヴに溢れたギターが気持ち良い、フックの効いたメロディとサウンドが堪能できる名曲です。
“生存報告”の記事でも書きましたが、ミュージックステーションでスピッツのバックでタンバリンと口笛を担当して一気に知名度が増した様に思います。スピッツの音楽が好きな方(ここ重要w)はきっと好きになってくれるであろう曲たちが揃ってます。そして、澤部くんが過去にインタヴューで言ってた“青春パンクが大っ嫌い”に共感する方も是非(笑)
彼の風体に惑わされてはいけません。あんな感じの彼が、こんなにも繊細で、内省的で、捻ってるのに耐久性と普遍性が高いポップソングを作るのです。
UKO
『Saturday boogie holiday』
2016/4/13リリース
レーベル:para de casa
ディストリビューター:PCI MUSIC
PDCR-008
2014年に渋谷タワレコやオンライン限定という限られた範囲でシングルをリリースしていたソロシンガー&ソングライターのUKOさん(というか、Especia好きならコスタ・デ・パルマの歌い手としてお馴染みですかね)が満を持しての全国流通アルバムを出しました。一聴してわかる様に、非常にアーバンなディスコファンクや80年代のシティポップの香りが芬々と漂っています。元々からの資質に加え、トータルディレクションがクニモンド瀧口さんというのもあって実に私好みな音に仕上がってます。バックはギターに元オトナモードの伊原真一、ドラムに洗足音大ジャズコース出身でLadyBugのかせともみ、鍵盤に同じく洗足音大出身で中村中のサポートなどを務める杉浦秀明、ベースにSchroeder-Headzの玉木正太郎、サックスはEspeciaでお馴染み前述のコスタ・デ・パルマの中川悦宏という布陣。RemixにはEspecia人脈のSchtein&Longer、CICADAの及川創介を迎えて実にカッコいい1枚になっております。とにかくもう1曲目の「Signal」のイントロ一発で持っていかれるんです。コレが俺の大好きな音なんだよ~と大声で言いたくなるくらいドンピシャなグルーヴチューン。こういう音が巷に溢れて欲しいと切に願います。
辻林美穂
『Clarté』
2016/4/20リリース
P-VINE
PCD-93987
前述のスカート澤部くんと同じ、昭和音楽大学作曲学科出身のシンガーソングライター、辻林美穂がリリースしたこの『クラルテ』というアルバム、デヴューアルバムというのが信じられないクオリティだった。大好きな石井マサユキ(ex-The Chang)がプロデュース&アレンジを手掛けた5曲は勿論好みにドンピシャなのだが、自分でプロデュース&アレンジをした宅録系の作品も良い曲ばかりなのだ。キュートなヴォーカル、遊び心と緻密な音作りが同居する打ち込み、ソングライターとしてのポテンシャルを感じさせるメロディライン、どこを取ってもこれからが楽しみで仕方ない。
個人的レコメンドは、彼女の宅録系ではクラシカルな楽器が心地良いキュートなトイポップ「きみととく」、ハイハットとピアノがジャズテイストを醸し出す「Parallel Love」。石井マサユキアレンジ作品ではイントロのギターが素晴らしくグル―ヴィな「Paranoia」、ベースのグルーヴが堪らない「No More 速度制限 feat.満員電車」(満員電車というミュージシャンが参加している訳ではありませんw)辺りかな。というか、全曲通して聴いて欲しいアルバムなので、興味を持った方は是非手にとって頂きたい。
とりあえず、今日はこんな感じで。また来週にはレヴュー書きたいと思います。できたら1枚だけを選んで。