馬屋記ーヤギとクリの詩育日誌

22.10.23 吊るし柿

西条柿がたくさん実った。

今年は柿の生り年だった。去年さっぱりだったので剪定やりすぎたかと思って今年はひかえめに、無駄な枝のみを切った。近所の放置してある木もおなじように実っているのでやはり今年は柿年だったのだろう。

西条柿は広島県西条市発祥の渋柿だ。

たて長で、たてに4本の溝があるのが特徴である。

渋が抜けた西条柿は甘くとろける食感になる。

従兄がいくつか合わせ柿(渋抜きして食べやすくした柿をこう呼ぶ場合もある)にした。焼酎48度と35度で試してみたらしい。恐るべき甘さになった。

「でぇれぇ、あめぇー。」

「せぇーで、ええんじゃ。」

岡山弁の口語のなかにある「え」の音が合わせ柿の甘さをべとつかせている。

 

ヤギひげに口語べたつく吊し柿

 

わしは吊るし柿にして渋を抜くことにした。

最初に、普通のナイフで、ヘタのまわりを枝だけのこしながら丸く切る。それからピーラーで縦にむいていく。

オリーブの時も栗の時も、たいてい妻が細かい作業をやるのだが、吊るし柿は手で皮をむくのが大変なので、一晩だけ手伝った。

麻ひもで連結して、離れの廊下に干している。

ためしに縁側のなかと、外の軒下と違う環境で干してみた。風がよくあたるほうがよいのかどうか。夜なべに2時間ぐらい30~40個ほど皮をむいて1本の麻縄に10個づつ吊るした。15本ほどできた。

10日ほどしたある日、従兄が来て縁側に干した吊るし柿を見て、

「ありゃー、カビがきょーるが」

よく見ると黒カビがかすかに来ている。

妻がすぐにひどいものはすぐに捨てて、残りを熱湯消毒して風通しの良い所に干しなおした。

 

俳句では晩秋(10月)の生活季語「吊し柿(つるしがき)」で、「る」を送らない。副題は、干柿(ほしがき)、串柿(くしがき)、甘干(あまぼし)など。

 

年なりの甘さ揉みだす吊し柿


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