ダイハチ建築骨組み模型

木造建築の美しくて繊細な骨組みの状態を模型にしてみました。

昔話④ 絶対モノにして帰る。

2024-12-24 06:27:57 | 日記
持参した部材を組み立ててみます。
振れ垂木は図面を頼りに加工してきました。
見本の振れ垂木と合わせてみても違いはなさそうです。
不安な箇所は講師の人に聞こうとも思ったが嫌な顔されるのはもう見たくない。
だから振れ垂木は細部にわたるまで確認して覚えました。
他に隅木の細かい切り欠きや寸法を確認するともうやることが有りません。
しばらくすると二人ほど図面が出来たみたいで見せに行っていましたが合格に至りません。
この一週間何やってたんでしょう。
初日から道具箱を持ってきていた人どこですかー。
バカにされた人が今みんなを見下していますよー。
研修が終わるまであと一時間です。
適当に時間をつぶしていたら二人が笑顔で声をかけてきました。
「うまいこと組みましたね」
何だ!図面は?書けよ。図面。
私も蚊帳の外みたいな扱いを受けていたので話しかけられたことにちょっと嬉しくなってしまいました。
「何とか形にまでした程度ですよ」
少し談笑してる間に5・6人に囲まれていました。
図面は?書けよ。先ずは図面だろ。このステージにお前らは来れねーんだよ。
時間も残り30分になったので、壁に張り出されている接合部の図面を確認しに移動します。
隅木と横架材の取り合わせ図・梁同士の仕口・ホゾの寸法・よく分からない図面など6枚ほどあります。
とりあえず全部携帯で写真を撮ることにしました。
帰ってからゆっくり確認です。
気が付くと私の後ろに大勢の人たちが集まって来ていた。
私が撮り終わるとみんな図面の写真を撮り始めてガヤガヤしています。
真似すな。お前たちの判断で研修をモノにしろ。
全て計画通り。後は試験のみ。早く帰ってうまい酒を飲む!
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昔話③ ごぼう抜き

2024-12-19 06:03:15 | 日記
さぁ、二度目の研修です。
ワクワクが止まりません。
今回は講師一人と建築会館の窓口の女性一人だけでした。
私の腕を掴んだ老人と横顔が自慢の老人は居ませんでした。
というより、もう顔なんか覚えていないです。
さぁ開始です。
二時間ぐらいで書きあがりましたが少し確認しながら様子見です。
誰か一人が書きあがったようで図面を見せに行きました。
何やら話をしていましたが合格には至らず修正するようです。
時計はもうじき昼休みになります。
「まぁ、大丈夫だろ」
書きあがった図面をもって見せに行きました。
「うん。いいね。じゃあ次に振れ垂木を」
ハイ。皆さんさようならー。
私は現場にあった要らない材料を加工して持参していました。
隅木・屋根垂木・振れ垂木・鼻隠し・広小舞等。
車から材料を持ち込むとみんなの邪魔にならない隅っこの方に場所を移しました。
お昼休憩です。
今回は余裕なので車でおにぎりを食べてます。
どうせ午後から振れ垂木の作業だから分かるものは全て作っておけばゴミも出ないし時間を無駄にすることもない。
見本の触れ垂木を使って確認程度にしておけば十分だ。
私はテーブルの上に置いてある見本の隅木と振れ垂木をお願いして使わせてもらうことにします。
他の参加者もいるから振れ垂木の取り合いになるかも知れないので自由に使えないこともあると考えていたからここまで準備する必要がありました。
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昔話② 揺さぶり

2024-12-09 06:44:04 | 日記
製図にはいろいろな個所に直角三角形と長さが書き込まれていて、電卓で計算している人がたくさんいました。
よく見ると製図の右上に三角形二つ(規矩術)が書いてあります。
(なるほど。この変な垂木【振れ垂木】を加工するための図面か。)だんだん分かってきました。
昼になると1時間休憩です。皆各々外に食べに行きました。
私は一人残って図面を見ながら持参したおにぎりをほおばります。
人がまばらになる頃、隣の大工さんが講師の一人に「寸法が計算しても合わないです」と言っていました。小口の角度に直角三角形があり寸法が書いてありました。√で求めるヤツですね。どうやら製図の間違いのようです。
あれぇ?図面って加工のための物。材料に図面の寸法を書き込んで施工するつもり?
ちょと揺さぶってみました。
「先生。ここの角度ですがこれ(規矩術)のどこの寸法か分からないのですが?」
すると講師が不機嫌そうに返事もせず持っていた小さな指金で寸法を測ると図面に当てがいました。私に対して正面を向くことも無く横顔のまま黙り。
この講師の対応で空気が重くなってしまい気まずくて黙っていられなかった私は「あー、そうかぁ」と発した。
すると隣の大工さんが「えっ。その三角形ってそのためにあるの」
はぁ?なんじゃそりゃ。電卓で寸法出すの?規矩術でしょ。指金ありきだよ。
こんな連中と競うの?みんなの前でバカにされ虐げられて。何が組合だ。組合なんてのがすべてじゃねーんだ。なめんな。組合員じゃない新参者が講師もろともバカにしてやる。全員ごぼう抜きじゃ!こんな指導の仕方で職人が育つか。大工をなめるな。私はなめられてますけど・・・。
結局図面は誰も書きあがらないまま終わってしまいました。次の研修は一週間後です。書けた人から振れ垂木の加工です。
私は次の日から現場でボードの裏に図面を書く日々が続きました。メモ帳にも書いて練習しました。理屈が分かっていれば大きさは関係ありません。
当時、携帯は有りましたがネットで調れるほどほど普及していませんでした。調べ物は図書館と決まっていましたが行ってる暇が有りません。
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昔話① イジメ

2024-12-02 05:35:05 | 日記
最近、歳のせいか昔のことをよく思い出します。
末っ子が賞状を見て聞いてきたのもあって、ちょっと書いてみます。
長くなりそうなのでいくつかに分けて投稿します。

まだ30代の頃、建築に躍起になっていた時の話です。
私は独立して数年経ったころ、大工技能士(一級・二級)の資格があることを知りました。
建築会館の窓口で申し込み(一級)をして、とりあえずどんな試験なのか受けてみようって感じでした。
数日経って通知が来ました。研修日の案内です。会場は小さな体育館みたいなところでした。
「へー。こういうのが来るんだ。親切だなぁ」
筆記用具など記載されたものを持参して、ワクワクしながら参加しました。
当日、入口の受付で組合員と非組合員とで支払う金額が違っていました。
(組合員って何のこと?俺だけちょっと高いじゃん)
そんなことを思いながら中に入ると五十人ぐらい居てみんな親しげに話しています。
グループで参加してるのか?何かの組合があるんだな。
後から分かったんですが、大工の組合が有って技能士を取るためのノウハウを指導してくれるようです。
講師たちとも談笑していて緊張感もありません。
しばらくして一人の講師の合図でその場に座り込みます。
ニ枚の大きい紙を渡されました。白紙と図面が書いてあるものです。
「それではその紙に製図を複写してください」
みんなそれぞれ書き始めました。
私も言われた通り書けばいいのだと思い理屈も分からずにそれっぽく書いていると、「なんだこれは?」と何人かいる講師の中の一人に言われました。
ちょっと来なさいと腕を掴まれ、まだ20代前後の若い子のところに連れていかれ「図面とはこういう風に書くもんです」と言われました。その子のそばには大きくて綺麗な道具箱(桐だったかな)が有り彫刻が施されていました。
いかにも仕事できますと言わんばかりの出で立ちです。しっかりした名のある会社に勤務してるんだろうなって感じ。
方や私は一人親方で田舎者。品格もない。
何で大勢の前で恥をかかす必要がある?講師って人格も認められて然り。組合に入ってないからってイジメ?なめてんのか。
こんな私でもバカにされているのが分かりました。
(今日初めて見たんだけど!)思っても口に出しません。
何とか平常心を保ちつつ製図に向き合いました。
誰かが講師と喋ってたりして「やっぱり君は頭がいいね~」なんて聞こえてきます。
楽しいそうです。

探したら出てきました。もう古いので良く見えません。
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