「イビサ」
自分が何者で
自分が何を求めているのか・・・
そう自らに問う者は多い
まともな感覚だろう
イビサはスペインの小さな島
それがどんな島で
どんな意味があるのかは 人其々に違う
いいや それは何のイメージも持たない
貼りついた写真に過ぎないかもしれない・・
自分と向きあうために
只それだけに 存在する蜃気楼
そしtプロセスの一つなのだ
自分を知ることは 大変危険な行為
あらゆるものが
知識 環境 常識 宗教 愛 家族 友人・・・
そんなものがまとわりついて 逃げ道を誘う
結局 死ぬまで 本当の自分に辿り着けなくて
肉体を脱ぎ捨て去る時
無意味なものに翻弄されていたことに気付き
自分の魂の叫びを断末魔に聞くことになるのだ
(注 イビサ 村上龍の小説より)