♯オペラ座の怪人♭

昨日は「オペラ座の怪人」を映画にて鑑賞してきた。
ファントムの哀しさに胸迫るものがあった。
あのユニゾンで展開される個性的なメインテーマ曲が
大音量で流れ、物語はシャンデリアの復活と共に遡り
「世にも不思議な怪事件」のお話しの顛末がゆっくりと再現しはじめた。

パリ・オペラ座の地下に住むファントムはジーニアス(天才)であり
幼い時からここが彼の世界の全てとなっていたので思いのまま
劇場内にて神出鬼没な動きを続けていた…。意中の人「クリスティーヌ」
を一流のプリマドンナに仕上げるという彼の野望は彼と彼女を
遠のかさせる結果となってしまった皮肉…。

豪華で素晴らしい衣装、オペラ座の内装は夢のような美しさで
設定年代を見事に表現していた。ミュージカル仕立てなので
見事な歌唱が映画を彩り物語を進行させていた。
緻密な演出は当時のパリの様子を窺わせ興味深かかった。
楽屋裏の埃っぽく薄暗く雑然とした様子はエミール・ゾラの名作
「ナナ」や「居酒屋」に出てきそうな人物描写があり
一瞬、作品(ナナ、居酒屋)を想い出していた。またこの年代は
デカタンス、退廃、など厭世気味な志向も確かあった筈…。
当時のヨーロッパの賑わいを連想させてもくれそういう意味でも
観る価値があると思えた。

愛する事とはこんなにも命懸けの一面を持っているものなのだと訴えるかのように
繰り返し、美しいアリアを歌う場面が物語の中では印象深かった。
ハラハラさせられっぱなしだったけれど、ファントムの気持ちを慮ると
切なくなった…。

「醜いのは貴方のそのお顔ではなく、魂が歪んでおられるから」と
はっきり指摘されてしまった場面はドキリとさせられた。

想像を超えた豪奢な映画であった。