しがない公務員の大阪通信

大阪在住、在職の公務員が大阪の過去、今、そして未来を考えます。

特別区協定書(案)を読み解く6「地方交付税ってどうなるの?」

2020-08-29 | 大阪都構想を考える2025
大阪市を4つの特別区に再編する「特別区協定書」

令和7年(2025年)1月1日の大阪市消滅・4特別区誕生に向けた動きが本格化しています。

大切なことは何度もしつこく言いますが、
大阪市が持っている事務すべてをまず大阪府が見ることとし、
そのうち「住民に身近な特別区が処理することが相応しい事務」だけを特別区で行ってもらうことになります。

つまり、 特別区は「基礎自治体である市町村に準ずる」特別地方公共団体で、
国の行政機関や各省大臣が助言や勧告を行うことができる普通地方公共団体とは異なり、
特別区の運営について助言及び勧告をすることができるのは知事のみとなることから、
すべては大阪府を通じて行うことになります。

そのため、
特別区には国から直接地方交付税が原則ありません。
(このことは東京都のホームページに掲載されています。)

で、
そもそもとして、
地方交付税ってどうやってもらえるのって話になるわけです。

まず趣旨としては、
「所得税、法人税、酒税、消費税の一定割合及び地方法人税の全額とされている地方交付税は、
 地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、
 どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのもので、
 地方の固有財源」となっています。

つまり、
日本の中で基本的な法定事務が均等に行われなければいけませんので、
そのための財源で、
地方税で不足する分を補填しますよってものです。

計算方法は、
法定業務で必要な財源を計算し、
標準的な地方税(市民税、固定資産税等)のうち75%の額との差額が支払われます。
(財源計算で定められている法定業務の一覧はこちらを参考にしてください。)

ここでポイントになるのが、
地方税の75%が必要な財源を越えているかなのですが、
都道府県で不交付団体は東京都の1団体のみで、
大阪府ももちろん交付団体になっています。

では、
大阪市が特別区になったらどうなるのかなのですが、
地方交付税法第21条に
「都にあつては、道府県に対する交付税の算定に関してはその全区域を道府県と、
 市町村に対する交付税の算定に関してはその特別区の存する区域を市町村と、
 それぞれみなして算定した基準財政需要額の合算額及び基準財政収入額の合算額をもつて
 その基準財政需要額及び基準財政収入額とする。」
と記されています。

つまり、
大阪府の分とは別に、
大阪市域の分は大阪府に加算されて支払われるってことになるようです。

ただ、
東京都は先ほども言いましたように不交付団体、
この仕組みであっても財源は足りているってことなので、
大阪府に特別区ができた場合の参考にはなりません。

特別区協定書上、
仕組みは地方交付税の算定と同様のようですが、
標準な地方税のうち85%を収入額とするとなっているので、
国からの交付金が丸々特別区にはいかないような仕組みのような気がします。

もちろん消防や水道、下水道、港湾などの分は大阪府に入れないといけないのですが、
本来はその分を生の数字で引いた差分を渡すべきなんでしょうね。

そうすると事務が煩雑になるのもわかるのですが、
本来は地方交付税と同じ積算方法で補填するべきでしょう。

このことからも、
特別区は自立した行政機関ではないって言えるのかもしれません。

今回の考察につきましては、
ホームページ上の資料を見て作っていますので、
誤った見方をしているかもしれません。

この辺の関係で詳しい方がいらっしゃいましたら、
教えていただければと思います。

次回ですが、
大阪市の職員がどのように大阪府と特別区に振り分けられるかを見ていきたいと思います。


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