ユーラシアウァッチ:ロシアから見る世界情勢

ロシアは一帯一路の地政学的要所。米中対立や中東対立のキープレイヤー。マスコミのロシア情報は貧しい。その致命的穴を埋める。

北朝鮮やタイから帰れないロシア国民続出 ウラジオストクへの航空便凍結

2020-04-16 13:36:59 | ロシア 北朝鮮
4月15日到着予定であったS7航空バンコクーウラジオストク便はタイで実施中のコロナウィルス感染拡大防止措置のため中止された。この便ではタイに滞在中のロシア人旅行者たちが帰国する予定であった。15日付でREGNUMが伝えた。
 バンコクーウラジオストク便がキャンセルとなるのは、4月3日、4月4日に続いてこれで三度目である。「どこに相談しても、大使館に問合わせてくださいと言われるばかりです。でも大使館の電話番号にかけても繋がりません。メールにも返信がありません」とタイで足止めをされたロシア人旅行者の一人は言う。
 航空便の凍結により帰国ができないケースはタイ以外でも起きている。北朝鮮からウラジオストクに在外公館職員とその家族を運ぶ予定であった便も中止となり、15日時点で新たな便の予定は決まっていない(4/15)

ユーラシアウァッチでは活動継続のため寄付をお願いしております。

ゆうちょ銀行
【店番】008 普通預金【口座番号】5941522 口座名義 オマツリョウ
*領収証がご必要な方はrobun@hotmail.comまで件名「ユーラシアウァッチ寄付」としてご連絡ください。

ロシア外交官二人が3月上旬北朝鮮入り ロシア領事館に医薬品を届ける

2020-04-10 14:41:14 | ロシア 北朝鮮
3月9日、ロシア極東ウラジオストク国際空港からの便でロシア外交官二人が北朝鮮入りしていた。在ロシア北朝鮮領事館の発表を引用して4月10日付Deita.ruが伝えた。
 在ロシア北朝鮮領事館によれば、3月9日に北朝鮮からウラジオストク国際空港に124人の外国人を乗せた旅客便が到着した。これら外国人の国籍の内訳は明らかになっていないが、コロナウィルス感染拡大を受けて帰国要請を受けたロシア人が主であったとみられる。
 同領事館の発表によれば、この便の帰路にロシア人外交官ナタリア・ノスコワ氏とワジム・テチン氏二名のみが乗り込み、北朝鮮へ発った。両氏は在北朝鮮ロシア領事館の医務室に薬品を届ける目的で、渡航している。その後二人は平壌南部のホテルで30日間の隔離滞在期間を経て解放されたという。(4月10日)
 北朝鮮政府は国内での感染者はゼロと発表しているが、同国の感染者確認のシステムについては不明な部分が多い。このロシア外交官の平壌入りの経緯から、新型コロナウィルス感染拡大を受けてロシアなど北朝鮮と国交のある国では、北朝鮮からの帰国者が一定数いることがわかる。されに、北朝鮮内では外国領事館ですら医務室の運営に必要な医薬品の供給に支障が生じていることがわかる。(4/10)


ユーラシアウァッチでは活動継続のため寄付をお願いしております。

ゆうちょ銀行
【店番】008 普通預金【口座番号】5941522 口座名義 オマツリョウ
*領収証がご必要な方はrobun@hotmail.comまで件名「ユーラシアウァッチ寄付」としてご連絡ください。


2019年ロシアの北朝鮮への石油製品輸出は増加:「瀬取り」以前の問題として

2019-06-21 08:48:19 | ロシア 北朝鮮
 いわゆる北朝鮮の「石油および石油製品瀬取り」問題に絡んで、国連制裁委の報告書公開をロシアと中国がブロックしたと報じられている。瀬取りによって、2017年に設定された50万バレルの倍以上の石油(及び関連製品)が密輸されているという指摘を含む報告書だ。これが事実なら問題である。
 ただそれ以前の問題として、「瀬取り」ではない正規輸入で、北朝鮮はどれほどの量の石油および関連製品を輸入しているのだろうか。その数字をちゃんと把握しないでは、送料としてどのくらいのエネルギー資源を北朝鮮が得ているのか推計することはできない。
 EWはロシア税関統計から、2018年と2019年現在までのロシアから北朝鮮への関連品目輸出実績をチェックした。

<2019年ロシアから北朝鮮への石油(及び関連資源)輸出実績>
品目コード2710 石油、歴青油、石油の調製品、廃油
品目コード2711 石油ガス、その他のガス状炭化水素

輸出総量
19232.9トン
142323.46バレル*(14万バレル強)

<2018年1月日現在までの輸出実績>
品目コード2710及び2711に加えて
品目コード2713「石油コークス、石油アスファルト、石油や歴青油の残留物」**

輸出総量
27233トン 
201524.2バレル(20万バレル強)

 <EWの分析>
 つまりは、2018年にはロシアだけで50万バレル上限のうち20万バレル近くは公式輸出している。そして2019年前半だけでも14万バレル。
 2019年に入って石油輸出のテンポが増した。このままのテンポで行けば公式輸出だけでも30万バレルくらいいくことになるか。
 それにプラスして中国からどれくらい輸出されているのか、瀬取りの100万バレルを足すとどのくらいになるのか、という分析が必要。
 これは各国の貿易統計を原文で読めればできること。
 ちなみに2019年のロシアから北朝鮮への輸出実績には鉄道関連資材もある。
 朝露(さらに半韓国とつなぐ)鉄道のプロジェクトはあきらめていないこともうかがえる。 

*トンからバレルへの換算式は以下の帝石サイトに基づく
 https://www.inpex.co.jp/ir/unit.html
**2019年のこれまでの輸出実績の中に品目コード2713は記録されていない。