ユーラシアウァッチ:ロシアから見る世界情勢

ロシアは一帯一路の地政学的要所。米中対立や中東対立のキープレイヤー。マスコミのロシア情報は貧しい。その致命的穴を埋める。

プーチン、ロシア軍で感染拡大という「大失態」 約3200人の感染が判明、「氷山の一角」なのか

2020-05-11 11:54:03 | ロシア 軍事
(東洋経済オンラインへの寄稿記事)

ロシアにおける新型コロナウイルスの感染者増加に歯止めがかからない。
5月6日時点での感染者数はすでに約15万5000人(死亡者数1451人)に達し、中国の感染者数(約8万3000人)を大きく上回っている。首都モスクワを中心に厳しい外出規制が実施されているが、連日5000人超の新規感染者が確認されている。

さらに、政権ナンバー2のミシュスチン首相やヤクシェフ建設相の感染も明らかになっているほか、ロシア軍にも感染は広がってきた。

公表された感染者数は「氷山の一角」
ロシア国防省は4月26日、ロシア軍関係の感染者数が約2000人にのぼると公表した。軍による全体の感染者数の発表はこれが初めてだ。

記事本文は以下を
https://toyokeizai.net/articles/-/348734




大晦日ロシア・ウクライナ大統領電話会談 捕虜交換には「第三者」を貫くプーチン

2020-01-02 10:03:11 | ロシア 軍事

 12月31日プーチン大統領はゼレンスキー・ウクライナ大統領と電話会談を行った。
両国の大統領府リリースは、両大統領が「新年のお祝いのあいさつを交わした」ことを認めている。29日の捕虜交換の後、そしてウクライナトランジットガス供給契約が締結された後だけに、この大晦日電話会談で融和ムードが醸成されつつあるかのように見える。
 しかし両大統領府のリリースを比較してみると、両国の間の隔たりの大きさの方が目立つことがわかる、
 まず電話会談が成立した経緯だが、ウクライナ大統領府は単に「ゼレンスキー大統領はウラジーミル・プーチンロシア連邦大統領と電話会談を行った」としているのに対して、ロシア側は「ウクライナ側の発意に応じて」と示し「先方からのお願いに応じてやった」感がほのめかされている。
 捕虜交換についてロシア側は「12月9日のノルマン方式四者会談の合意どおりに、確認されたすべての捕虜を相互にという原則でキエフとドンバスの間で行われた」(河川部EW)と、あくまでもロシアが第三者であり「捕虜交換はウクライナ東部の独立共和国とキエフの間で解決済み」とにおわせている。
 それに対してウクライナ大統領府リリースは捕虜交換の実施を肯定的に評価しつつも「電話会談においてクリミアおよびロシア領内にいるウクライナ国民を含めたウクライナ国民の解放とウクライナにいるロシア国民の解放のための対象者リスト調整に早急にとりかかることでも合意した」と述べる。クリミアに現在位置しているウクライナ国民が「拿捕された」と同じであることをほのめかし、「捕虜」とは呼ばなくとも「拿捕された者」の解放に向けて交渉はこれからであることを強調している。
 ロシアはクリミア在住者を「拿捕された」状態とは認めておらず、ゼレンスキー大統領の認識に沿った交渉を実現するための法的枠組みはない。ロシア大統領府リリース通り、ウクライナ側から持ち掛けた電話会談だとすると、ゼレンスキーにとってはタイミング悪くやってしまった「新年の祝辞」であったかもしれない。

 ちなみに写真はゼレンスキー・ウクライナ大統領の国民に向けた新年あいさつ動画(同じく大統領夫妻とより)の一こま。
 カジュアルな服装で、物腰も俳優らしく、映像もフランクな作りです。
 https://www.president.gov.ua/ru/videos/novorichne-privitannya-prezidenta-ukrayini-1637
 芸能人らしい人々も動画に登場し「少し軽すぎないか」という場違い感もありますが、これがゼレンスキースタイルなのでしょう。

 プーチンの新年あいさつは歴代大統領と同じクレムリンで厳かに、静かな調子で行われました。
 https://www.president.gov.ua/ru/videos/novorichne-privitannya-prezidenta-ukrayini-1637

ロシア下院が米ロIFM全廃条約停止法案を可決

2019-06-19 17:29:51 | ロシア 軍事
 6月18日ロシア下院総会において米ロ中距離核戦力(IFM)全廃条約の効力停止を定めた新法案が可決された。本年三月プーチン大統領令提案されたものであり、大統領は5月に法案を提示していた。今回下院は全会一致でこれを可決。ロシア外務省は短中距離ミサイル分野での国防能力再発展を開始すると告げた。同日付で下院広報紙「パーラメントペーパー」が報じた。
 リャプコフ外務副大臣はじめロシア政府関係者は、90年代以来、米国側がこの条約の違反に当たるミサイル実験や無人戦闘機導入、ミサイル防衛網と称したミサイル攻撃力の東欧への展開を進めてきたと批判。
 リャプコフ外務副大臣は、ロシアで短中距離ミサイル実験と試験組み立て作業が再開されると告げた。そのうえで同副大臣は次のように言う。
「それでも我々は米国が同様のことをやらない限り、どの地域にも我々のミサイルを展開することはしません。米国が国際情勢をさらに緊迫化させるようなことをしなければ、ロシアは火薬に火をつけることはしないのです」
 「ロシアが今回取った措置は、意に反してそうせざるを得なかったもので、政府ができる限り先延ばしにしてきたものだ。ロシア大統領は、いつでも条約の効力回復に向けた決定を取る用意がある、ということを強調しておきたい」と下院副議長のピョートル・トルストイ氏は言う。(6/18)

 <EWの解説>
 ロシアの議会制度では下院で可決された法案は、上院の審議を経たうえで閣僚会議で首相の署名を得、官報に公表されなければ効力を持たない。今回の下院における採択は、警告に当たる措置であるとみることができる。
 全会一致で可決された法案であるが、各会派のスタンスは微妙に異なる例えば野党攻勢ロシアは「トランプ政権」の問題として批判し、別の大統領の下でなら再交渉もありうることを示唆している。