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20221121 小説「 ある男」を読んで感想。

2022-11-22 17:31:00 | 本の要約や感想

20221122

前置き。
映画「ある男」が始まったらしく、以下の感想文は2か月前に書いたまま放置していたものだが、タイミングなので加筆をして、下書き保存扱いから公開処理をしてみた。私は小説と映画の違いを知らない。これはあくまで小説の感想である。

映画版のキャスティングを見て、私の感じたことは、また妻夫木か、なのだが、妻夫木で悪いはずはない。安藤サクラも私は好きだが、小説のイメージとは少し違った。「万引き家族」の雑な下着姿が私の中にまだ残っているからだと思う。おそらく映画を観れば、私のイメージは一新されるのだろう。

ある男X役の窪田正孝、私はこの俳優を知らなかったが、配役にドンピシャであった。小説を読みながら頭に思い描いていたXがまるでそのまま登場したかのようである。少し検索したら、いい役者らしい。明るくはない目の光がいい。

以下はほんの私の感想文で、結論はまとまらない。
話の序盤までの粗筋あり。


2022/9/24
「ある男」という小説を読んだ。
作者は平野啓一郎。読み易かった。面白かった。
まあまあの長編だったが、一気に読んでしまった。

──────幼い子を亡くし、離婚をした女が、残ったもう一人の子を連れ横浜から九州宮崎の実家へ戻り、まだ癒えない傷に痛みながら色彩のない暮らしをしていると、ある日、見知らぬ男が現れた。

女が、実家の営む文房具店の店番をしていると、女と同じ齢くらいの男がスケッチブックを買いにやってきたのだった。

店の近くの山で林業に従事しているという静かな雰囲気の男はその後、何度も店に画材を買いに来た。女は傷を持つ。男には何か影がある。お互いが遠慮勝ちに手探りで距離を縮め、やがて二人は結婚をし、娘が生まれる。

ところが夫であり、娘の父親であるその男が仕事中にあっけなく事故死してしまう。

女は葬儀を終え、男が生前、一切の絶縁をしていたという男の実家へ初めて連絡をすると、男の兄が群馬県伊香保から宮崎へとすぐにやって来た。

しばらくは結婚や死因などについて話し合ったが、兄は遺影の写真を見ると驚き「これは弟ではない」と言った。

結婚した時に交わした戸籍では間違いなくその兄の弟の名であり本籍であったし、そこへ連絡したから兄である男はここに来たのだ。

もちろん女の姓も婚姻時に夫のものへと役所で公式に変わっている。

しかし今、目の前の兄、自分とも義理の家族であるはずの男は「死んだというこの写真の男は私の弟ではなく、まったく知らない男だ」と、すでに相続詐欺を疑うかのような目で女に言うのだった。

では一体、この三年間、自分の夫であり、娘までを作って、しかし突然死んだ男は誰なのか。

女は混乱し、前の夫と離婚した時に親権問題などをうまくまとめてくれた横浜の弁護士に連絡をした。それからその弁護士の調査により、三年間は夫であった「ある男」の真実が少しずつ明らかになっていく。──────

物語はこのような始まりで、捜索と謎解きを軸にし、そこに世間の裏側に棲む人物たちを登場させ、さらに在日ヘイト問題を絡め、おそらく主題は人間のラベリングやカテゴライズにあると私は思ったが、まあ読んだ人それぞれの感想だろう。

しかしその主題について、私の感想としてものすごく簡単に例えて書くと、私たち人間が、もしも犬の思考や視点で他人を見たとしたら?という考えがヒントになるのではないか、と考えた。

犬にとって目の前にいる人間の人種も美醜も学歴も、年収も前科も善悪も将来性もまったく関係ない。

自分(犬)にとって味方か敵か、家族か他人か、獣の直観による好きか嫌いか、それらが判断材料であり、目の前の人間がたとえ泥棒でも人殺しであっても犬にとってはそれが減点の要因にはならないのだ。しかし人が人を見る時はどうだろう。とはいっても小説中に犬は一匹も出てこないし、犬が善だとも私は言わない。

人が他者を判断する時の材料と、犬のそれはずいぶんと違う。
全ての人が犬の視点で人を判断したら人類はどうなるのか。幸せになるだろうか。たぶん犬のおやつが売れることは間違いないだろう。

子供の時に「正直に生きなさい」と育てられたのに、大人になって騙されると「バカ正直」と言われるような理不尽さもこの世界にはあるのだし。

結論はまとまらないが、一つ私が言えることは、ほとんどの人間は犬ほど純粋には生きていない、ということ。少なくとも私自身は犬のような視点で人を見ることは難しいだろうと思う。私の性格は「やや悪い」ので仕方がない。

小説の私の感想は「面白かった」である。今のところ。
映画になって、数日前から公開されているらしい。。
俳優を見るとけっこうな名優揃いで、しかもかなり原作のイメージに沿った配役であるようだ。配役に変な圧力を感じない。監督は「愚行録」の石川慶。

蛇足だが、城戸さん(妻夫木)、いい人すぎませんかね。

以上。

E V O L U C I O



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