夢の羅列<頂上からは>
つづき。
私は今、頂上にいる。
すぐ目の前に、
まるで遊園地のアトラクションのような乗り物が停まっていた。
幅の広いジェットコースター状の乗り物で、
しかし、あまり速くは動かないのだろう、
シートベルトのない席が真ん中を通路として、
両側に一席ずつ配置されていた。
席は車体と一体型で、
例えば昔の遊園地の乗り物、もしくは
古いタイプの遊覧ボートのような昭和の名残があり、
おそらくFRP(繊維強化プラ)製であろう、そこに、
バスや地下鉄のような柔らかい素材はまったく付帯せず、
その代わり雨ざらしでも問題はなさそうだった。
車両は連結はなく、一台きりで、
全10段ほどなので、左右20人くらいが定員であった。
私は中くらいの右側に座った。
この乗り物は何と呼べばいいのだろうか。
トロッコか。
ゴンドラか。
それともリフトか。
ケーブル式ではないから、ケーブルカーではない。
下はレールである。
ならゴンドラでもないな。
やはりトロッコか。
でもトロッコと呼びたくはない。
トロッコでは麓まで疾走しそうで嫌だ。
引き算の結果としてはリフトか。
リフトは全自動なのか運転手も車掌もなく、
ゆっくりと動き出した。
ゆっくりと動き出したのはいいのだが、
どうにもぎこちない。
レールの精度が悪いのか、経年劣化しているのか、
こんなに遅いのに、やけに揺れるのだ。
おいおい、時速5kmも出てないぞ。
つづく。