
夢の羅列<ギラつく男>
夢の中で、
友人が私を車で迎えにくるというから、
町外れのような人気のない場所でしばらく待っていると、
遠くからものすごい排気音が近づいてきた。
あっと言う間に現れた真っ黒いアメリカンマッスルの具現のような車は
紛れもなくダッジ・チャージャー(たぶん初代)だった。
いわゆる「HEMI」であった。
おいおい、お互いイイ年なんだから、もうクラウンとかにしようぜ。
現実には、
入退院を繰り返している奴なのだが、
夢の中では大層に元気で、やけにギラついているではないか。
まあ、
ギラギラしている人に何を言っても仕方がないから、
無言で助手席に乗り込むと、
ドアを閉め切らないうちに、いきなりアクセル全開だ。
ヘミエンジンは狂ったように吼えた。
同時にタイヤも白煙を上げて鳴き叫んだ。
が、
それもほんの10メートルほどで終わった。
「ブローした」
悲しい声で友人が呟いた。
つづく。