[2022年以後] ぼくらの時代

岩田明子氏「安倍晋三実録」いい評伝だが残念なところも

岩田明子氏「安倍晋三実録」の帯には”最も食い込んだ記者による安倍評伝の決定版“とある。2002年に小泉政権での官房副長官番となってからの20年間にわたる取材に基づいた貴重な記録であり、興味深いエピソードもたくさん盛り込まれている。
が、わたしがもっとも期待、あるいは関心をよせていた”モリカケ問題“についての部分に、物足りなくもあり、不満も残った。

前愛媛県知事の加戸守行氏は、阿部内閣が進めた国家戦略特区での獣医学部新設を「ゆがめられた行政がただされた」と国会で語ったが、朝日、毎日を中心とする大手メディア、ワイドショーはこの貴重な証言などは無視し、ひたすら安倍首相への攻撃を続けた。
当時櫻井よし子氏らは、このような報道内容を厳しく批判していたが多勢に無勢だった。
“最も食い込んだ”岩田氏にはこの問題を掘り下げてほしかったが、安倍元首相にはこの問題への対応に“奢り”があって失敗だったという書きぶりで。
安倍氏は岩田氏に、”モリカケ”についは多くを語らなかったようで、そのためこういう扱いになったのかもしれないが、残念だ。

とはいえ、全体的には安倍晋三氏への深い尊敬と愛情に満ちている。
安倍元首相がさまざまな難しい問題に、どう考え対処していったか。理解を深められる書だ。













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