門田隆将「蒼海に消ゆ」(2011年)は祖国アメリカへ特攻した海軍少尉・松藤大治の生涯を綴ったノンフィクション。
門田氏は“おわりに”で、出陣学徒たちは今の若者と何も変わらない、酒を酌み交わし、議論好きで、底抜けに明るい若者たちだった、と書いている。
その彼らは自分の家族と国を強く愛し、そのためには男として潔く振る舞うことを肝に銘じていた。
松藤大治さんの戦友がこう語っている。“死が無意味だったとか、可哀相だったとか語って欲しくない”。”ただ、ご苦労さん、よくやった、とだけ言ってほしい”。
読みながら泣いてしまった。
わたしの96歳となる父親も、海軍で松山の予科練にいて。もはや乗るべき戦闘機もなかったために生きて終戦を迎え、驚くことに今も健在でいるのだが。この父親の姿が重なったり。
いくつもの報道番組、ドキュメンタリーなどで見る、いまウクライナやイスラエルで戦っている兵士のことを考えたり。
侵略され故郷を追われたウクライナ、ガザやレバノンの人々の悲惨な状況が脳裏に浮かんだり。
わたしたちは、ウクライナを侵略し、北方領土を不法占拠し続けているロシア、新疆ウイグル自治区やチベットを侵略し、わが尖閣諸島を侵略せんとしている中国、日本人を拉致しミサイルや核で恫喝を行う北朝鮮、に囲まれている。
考えたくもない何かが起こり、いざというとき、先人たちのように、家族や国を守るために潔く振る舞うことができるか。わたし自身が。
そんなことをしばしば考える。
それがわたしをこの書に向かわせた。
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