或るメーカーのカメラを貸し出して貰い、観光バスを仕立て撮影会に参加しました。
季節は秋。
秋の山と云えば、キノコと紅葉。
しかも、当日の天気は雨!
紅葉の森の、濡れた腐葉土にキノコの写真を撮りたいと想い、中望遠マクロレンズ一本だけ持って3号は参加しました。
が、一行が寄った場所は、長瀞の川岸・・・
3号がイメージしていた景色は、この場所には無いんです。
っていうか、秋が深まりすぎて、森のキノコの季節じゃないんですけど。
ま、それなりに撮影が進んでいったんですが、心の中じゃ、最初に思い描いていた風景に囚われていたんです。
----------------と、此処まで、頭に入れておいて下さい。
撮影会が進み、川岸から長瀞駅に向かい、モデルさんや蒸気機関車の撮影。
その後、宝登山ロープウェイ乗り場に向かい、何を思ったか、3号だけ別行動をとってしまいました。
一人だけ群れから離れる3号、気の向くまま、駐車場とロープウェイの間に有る社殿に向かいました。
到着すると、誰も居ません。
誰も居ない敷地内で辺りを見回し、被写体になるものやイメージを創り、撮影に入る前に、誰も居ないことを良い事に、声に出してお参りすることにしました。
(二礼二拍一礼)
東京都のどこそこより参りました3号です。
平素は、家族ともども、お見守り戴きありがとうございます。
おかげさまで、家族全員、幸せな日々を送らさせて頂いています。
ありがとうございます。
(二礼二拍一礼)
大体、こんな内容だと思うんだけど、声に出して言ったんです。
但し!
3号、この神社には、一回も来たことがない。
そして、見方を変えると
要は、神様からすれば、初対面の人間に、お礼を言われた状況なんですよね。
さぁ、困った・・・・・なんせ、身に覚えがない。
どれ、いっちょ、どんな奴か見に行ったろかい。
恐らく、そんな事を御想いになったんでしょう。
気が済んだ3号が社殿前の草木の構図を決めている背後で、一瞬だけ、真っ白な閃光が走ったんです。
何故分ったかというと、草木越しにデジイチのモニターを観ていたんですが、草木が光を浴びた瞬間、モニターもその瞬間を、3号の影と共に映していました。
最初は、知らないうちに誰かがやって来て、写真を撮っている3号を風景として撮ったのかと思い振り返りましたが、誰も居ません。
ま、気の所為と思うことにして、被写体を探してうろつくんですが、何やら、森の奥の方が気になってしょうがないんです。
境内左脇の広場の左奥の方に、森への入り口が在りました。
森に入っていく3号。
森に入ると、雨模様の天気のお陰で、中は真っ暗。
でも、森の匂いがして、諦めていた景色が頭を過るんですけど、季節は11月。
目が慣れてきたから歩き出したんです、100歩ほど。
そしたら、目の前に、凄く印象的な景色が現れました。
空は厚い雲で覆われて雨が降っているにも関わらず、曇り空の弱々しい明かりがボンヤリ筋を創り、暗い森の中に差し込んでいます。
差し込んだ光が落ちている地面には、秋の味覚、森から賜物、毬を纏った栗が、その部分と僅かな周囲にだけ、沢山落ちて曇り空の明かりを受け光っていたんです。
もう、この時には、キノコのことより、目の前の幻想的な景色に夢中でした。
こう云う、感動した時は、撮影はしません。
なぜなら、写真にしてしまうと、記憶の一部にはなり得ますが、人生の一部として、生々しく取り込むことが出来なくなる様な気がするんです。
ですから、体験として心に刻み込むため、余計な事をせず、我が身で受け取るんです。
それに、撮影しようにも、三脚が無きゃ、絶対無理な環境です。
なので、眺めているだけ・・・でも、心は晴れ晴れ
ここで、集合時間の事を思い出した3号、凄く焦ります。
足元の栗を一個だけポケットに入れ、森にお礼を言って、幹事さんに電話を掛け、集合場所を訊き出して歩き始めました。
帰りのバスの中、3号の中だけにしか存在しない幻想的な森の景色を思い出しては陶酔していましたが、思い出している内に個々の場面が繋がり始め、一連のものに組み立てられていきました・・・
何の面識も無い人間にお礼を言われてしまった神様は、何かしないと不味いと思い、此処に来る前の3号の思い描いた心の中の景色を、透かして観たのが白い光だったんじゃないのか・・?
キノコは流石に無理だが、同じ秋の栗ならいけると思い、其処まで誘導してくれたんじゃないのか・・?
そんな事を考えていると、バスは、この企画を主催してくれた店に到着し、同行してくれたモデルさんを交え、そこでの写真お披露目会&懇親会になりました。
そして
この時の河原&駅での写真はメーカー主催のコンテストに出展されましたが、3号の写真は各店舗で出す賞にとどまり、4つ切り写真と写真立てを頂戴しました。
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