心の手帖…風通しの良い繋がりを求めて

心を精一杯広げて、現代社会を味わう方法を探していくために、心を整理する手帖のようになれば…

エーリヒ・フロムの言葉 第3弾

2013年12月19日 19時53分09秒 | 個人的名言集
自由からの逃走 新版
日高 六郎
東京創元社

フロムの遺産
Daniel Burston,佐野 哲郎,佐野 五郎
紀伊國屋書店

 今日も、第3弾ということで、エーリヒ・フロム氏の言葉を、少々長めですが、ご紹介したいと思います。前回と同様、『愛と性と母権制』から。

 「愛は常に、我々が愛するものの成長と生きていることに対する積極的な配慮であり、それ以外のものではありえない。なぜなら、生そのものは、成長、統一、統合の過程であり、生きているもの全てに対する愛は、この成長を更に促進したいという強烈な願いであるはずだからである。」

 「母性的なものの本質:‘胎児を育むうちに、女性は男性よりも早く、自らの自我の限界を超えて愛の配慮を他の存在に及ぼし、己れの精神に備わる一切の創造力を、異なる存在の養育や美化に発揮できるようになる。いまや女性を基点として文明化のあらゆる高揚は生まれ、女性を基点として生活におけるあらゆる善行、あらゆる献身、あらゆる養育、あらゆる死者への哀悼が生まれる’バハオーフェン『母権論』」

 「他者に対する愛、養育、責任意識、これが母親の創造するものである。母性的愛こそ、あらゆる愛とあらゆる利他主義が生まれるもととなる種子である。しかし、それだけではなく、母性愛を基礎として、普遍的人間主義が発達する。母親は子供を愛する。だがそれは、子どもが子どもなるがゆえにであって、子どもがあれこれの条件を満たしたり、期待に応えたりするが故にではない。子どもがあれこれの条件を満たしたり、期待に応えたりするがゆえにではない。」

 「母親は子供たちを分け隔てなく愛する。こうして、子供たちは、お互いが同等であることをしるようになる。それは、子供たちの中心的な絆が母親との絆だからである。
 ‘子を産む母性からこそ、あらゆる人間を兄弟姉妹とみなす普遍的な友愛意識が生まれる。だが、この意識及び承認は、父性の完成と共に滅び去る’
 母系中心的文化の根底にある原理は、自由と平等、幸福と生の無条件的肯定にある。」

… 母性賛歌のような言葉の羅列になりましたが、もうすぐクリスマスということで、聖母マリアの、普遍的な、全人類の母という、ほっくり温かなイメージを、ピックアップしてみるのも良いかなと思った次第です。
 クリスマスには、しっとりとした素敵なストーリーを、是非ご紹介したいと思っています。今日は、降雪があった地域もあったと思います。今年の聖夜は、ホワイトになるのでしょうか?

エーリヒ・フロムの言葉 第2弾

2013年12月18日 20時31分42秒 | 個人的名言集
自由からの逃走 新版
日高 六郎
東京創元社

評伝エーリッヒ・フロム
Gerhard P. Knapp,滝沢 正樹,木下 一哉
新評論


 今日も、エーリヒ・フロム氏のカチッとした言葉を、今回は著作『愛と性と母権制』からご紹介したいと思います。
 「自分が好きでない人、自分自身を認めていない人は、自分自身に関して、絶えず不安を感じている。本当に自分が好きであることと、自分自身を肯定することを基盤としてしか存在し得ない内なる安定がない。基本的に自分自身に安心と満足がないから、自分のことに貪欲にならなければならない。利己心やナルシズムは、自己愛の根本的欠如の過剰補償なのである。」

 「自分自身の血肉となっている思想を守るために、或いは、自分が愛している人の為に、自分の生命を投げ出す必要がある場合、この自己犠牲は自己肯定の極端な表現と言えるだろう。勿論、肉体的な自己の肯定ではなく、自分のパーソナリティ全体の核という意味での自己肯定である。この場合、犠牲自体は目標ではなく、自分自身の自己実現と自己肯定に対して支払われる代価なのである。」

 「民主主義が成し遂げていないことは、個人に自分自身を愛させること、すなわち、個人の知的・情動的・感覚的潜在能力の全てを使って、個人の自己に対する深い肯定感をもたせることなのだ。」

 「生は常に、団結し、統合しようとする。換言すれば、生は、必然的に不断の成長と変化の過程である。」

 「愛のアプローチは、力によるアプローチの逆である。愛は理解し、確信させ、鼓舞しようとする。そうすることで、愛の実行者は絶えず自分自身を変革してゆく。愛の実行者は、感受性が強くなり、よりよく観察し、より生産的になり、自分自身が大きくなる。愛は感傷や弱さとは無縁である。愛は影響を与え、変えていく方法であり、力の行使のような危険な副作用を伴わない。愛は、忍耐、内なる努力、そして何よりも勇気を必要とする。愛によって、問題を解決する道をとることは、挫折に耐え、敗北しても我慢し続ける勇気を必要とする。愛は力よりも潜在力に対する信頼を必要とする。」

 …実は、まだまだご紹介したい言葉があるので、また次回に第3弾をと考えています。
 自分自身を振り返ってみると、どうもバランスの悪い、自己評価に陥ってしまう傾向があるのですが、エーリヒ・フロム氏の人間分析力を、勝手ならが個人的解釈に転用させていただくと、均衡の取れた自己イメージを心の支柱にできる感じがします。自己満足ですが…。
 先ずは、この一年間の自分の歩んできた道筋を、自分自身がしっかり肯定してあげられたら、新年に向かって、清々しい年越しができそうですよね。

エーリヒ・フロムの言葉

2013年12月16日 18時10分11秒 | 個人的名言集
愛するということ
Erich Fromm,鈴木 晶
紀伊國屋書店

 今日は、いつもより硬目に、ドイツの学者エーリヒ・フロム()の古典的名著『愛するということ』よりご紹介します。
エーリヒ・ゼーリヒマン・フロム(Erich Seligmann Fromm, 1900年3月23日 - 1980年3月18日)はドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者である。ユダヤ系。マルクス主義とジークムント・フロイトの精神分析を社会的性格論で結び付けた。新フロイト派、フロイト左派とされる。 【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】

「成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合である。愛は、人間の中にある能動的な力である。人を他の人々から隔てている壁をぶち破る力であり、人と人とを結びつける力である。愛によって、人は孤独感・孤立感を克服するが、依然として自分自身のままであり、自分の全体性を失わない。愛においては、二人が一人になり、しかも二人であり続けるというパラドックスが起きる。」

「生産的な性格の人にとっては、与えることは全く違った意味をもつ。与えることは、自分のもてる力の最も高度な表現なのである。与えるというまさに、その行為を通じて、私は自分の力、富、権力を実感する。この生命力と権力の高まりに、私は喜びを覚える。…与えるという行為が自分の生命力の表現だから。」

「愛の本質とは、何かのために『働く』こと、『何かを育てる』ことにある。愛と労働は分かち難い。人は、何かのために働いたら、その何かを愛し、また愛するもののために働く。」

「愛する人は、自分自身に責任を感じるのと同じように、同胞にも責任を感じる。」

「尊敬とは、人間のありのままの姿を見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと。…愛する人が、…その人自身のために、その人なりのやり方で、成長していってほしいと願うこと。」

「『秘密』を知るためのもう一つの方法が愛である。愛とは、能動的に相手の中へと入ってゆくことであり、その結合により、相手の秘密を知りたいという欲望が満たされる。」

「成熟した人間とは、…純粋に生産的に活動からのみ得られる内的な力に裏打ちされた謙虚さを身につけた人。成熟した愛は、『あなたを愛しているから、あなたが必要だ』と言う。」

 「スピノザの言葉の引用:『徳と力とは、同じ一つのものであるという結論に至る。羨望、嫉妬、野心、貪欲などは情熱。愛は行動であり、人間的な力の実践であって、自由でなければ実践できず、強制の結果としては決して実践されえない。』」

 愛について、年末に改めて心に響かせておきたい、言葉の泉。個人的に、常に忘れずにいたいことは、「愛とは、愛する者の中に愛を生み出す力・愛する者の生命と成長を積極的にきにかけること。愛し合うということは、互いに相手の中に息づいているもの、芽生えているものを、心から喜び、それを互いに分かち合うこと。」という考え方です。ダイナミック且つ好循環なエネルギーを感じさせ、新しい年をイメージさせる勢いがあるように感じます。

パトリス・ジュリアンさんの言葉

2013年12月15日 18時07分44秒 | 個人的名言集
 今日は、パトリス・ジュリアン氏)の言葉をいくつかご紹介します。著作も、仏料理関連レシピ本を中心に多数あります。〈モロッコ生まれのフランス人。革新的な校風で知られるナンテールのパリ第10大学にて「コミュニケーション」を学ぶ。そこで習得したスキルは、後にフランス外務省の公務員としてフランス文化の普及という任務のために渡ったアフガニスタン、ポルトガル、タイ、そして日本の各国においても大いに発揮される。パトリスさんにとって人生の主たる目的は楽しむこと。そんな彼が自らの最初の本として選んだのは「フランス料理ABC」という料理本(文化出版局から1992 年に出版されたこの本は現在までコンスタントに増刷を重ねている)。まさにカリスマ的プロデューサーであるパトリスさんは常に新しいアイデアや新しいコンセプトを発信し続けている。プロデュースした製品、トークショーやワークショップ、また最近新たに開いた「ライフスタイル道場」などを通して、パトリスさんは物事を”雰囲気”というアングルから見つめることがいかに大切で必要であるかを説き明かす〉【出典:パトリス氏自身のブログのプロフィール】
フレンチスタイルのサンドイッチ―楽しい組合せでおいしいラッピング
Patrice Julien
文化出版局

物語の主人公になる方法―Special Edition
Patrice Julien,碓井 洋子
にじゅうに

生活はアート
Patrice Julien
主婦と生活社
シンプルで贅沢が心地いい。
Patrice Julien
主婦と生活社


「生活とは、僕達がそのディテールに注意を払ってさえいれば、一瞬ごとの時間がアーティスティックな喜びに満ち溢れたものになり得るものだということ。」

「僕は、本当の美しさとは、人にエネルギーを与えてくれるものだと思っている。本当の美しさとは、人間が根源的に持っているイマジネイションの泉から、自然に汲み上げられてきたものが形をとっている姿だと思う。加えていうならば、本当の美しさには『エゴ』がない。無名の職人の建てた田舎の農家が美しいのは、そこにその職人が存在せず、長い時間をかけて磨かれた伝統と技術のエッセンスだけが静かに輝いているから、農家は時を越えて普遍的に美しい。」

「あなたの心がしんと静かに澄んで、温かくなるもの、こと、場所を、沢山、沢山集めなさい。」

「あなたは、自分の役割(ミッション)に気が付かなくてはならない。大いなる力、いのちの光輝く泉は、あなたのオリジナリティの発現を待っている。なぜなら、この世界は『いのちが、様々な形で生きる』ことへの壮大な実験室だからだ。世界はいのちのそれぞれの独自性に常にOuiと答えている。」

「美しい言葉で夢を描こう。そこに、いつまでも消えてなくならない楽しさをプラスしたいのなら、ほんのちょっぴり、人のためになる要素を入れればいい。そして、自分の身の回りすべてに、注意深くなろう。あなたが五官を真剣にフル回転させて生活するほど、意味のある偶然(シンクロニシティ)が後から後から毎日の中に湧き出て来て、あなたが素晴らしいオリジナルの人生を送るための手助けをしてくれるはずだ。」

 …今年一年を振り返って、来年の抱負を少しずつイメージしていく中で、彼の言葉は大きなエールとなるような気がします。心の大掃除をしながら、しっかり新しいページにメモっておきたいと改めて思います。

苦しみについての名言

2013年12月13日 21時42分37秒 | 個人的名言集
ブラザー・サン シスター・ムーン [DVD]
グラハム・フォークナー,ジュディ・ボーカー,アレック・ギネス
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
ちびまる子ちゃんのヘレン・ケラー (満点人物伝/ちびまる子ちゃん)
関 宏之,宮原 かごめ,さくら ももこ
集英社


 今日は、今までとは違い、今日のテーマ「苦しみ」にまつわる言葉を、何人かの方々からご紹介します。

 八木重吉(詩人)「すべての苦しみの根源は、無条件に無制限に人を許すというその一念が消え失せたこと。」

 アッシジの聖フランシスコ(中世カトリック教会・男子修道会の創立者:現ローマ法王フランシスコ1世は、この聖人名からの呼称)「私たちが今、色々な苦しみに遭い、霊肉のあらゆる困難や悩みを忍んでいないなら、喜びは無いのだ。」

  ヘレン・ケラー「あらゆる種類の障害は、当人が自らを開発して、真の自由を獲得するように勇気づける為の、愛の笞ということになる。それらは、石のように堅い心を切り開いて、神からの高尚な贈り物を自分の存在の中から見つけ出すために、私たちに手渡された道具なのです。」

 苦しみと共に生きている方々は、周囲に沢山おられるのです。その苦しみを担い合うことが出来たら、その苦しみは、人と人とを結びつける絆になるような気がします。震災で、台風で、犯罪の被害で、病気で、怪我で、愛する人を失って…数え切れない程の苦しみが、どうか少しでも小さくなり、優しさで包み込まれますように…。