Entrance for Studies in Finance

Case Study on Bridgestone Corporation ブリヂストン

タイヤメーカーとして世界首位のブリヂストン
 タイヤ3強(2012年ブリヂストン15.3%、仏ミシュラン14.0%、米グッドイヤー10.1% 独コンチネンタル5.8% 住友ゴム工業4.1% )。 2011年では世界首位 保有ブランドはブリヂストン ファイアストン デイトン など。

ブリヂストンは1988年に米ファイアストンを3300億円(26億ドル)で買収して子会社化。世界首位メーカーになるきっかけを得た。2010年にタイヤの売り上げで 世界首位16.1%。2位のミシュランは15%台で僅差。中国 ブラジル インド ロシアなど新興国で激しく争う。
 ファイアストンの買収金額26億ドル3300億円(当時のM&A買収最高額 高値買収の反面 最大市場アメリカを抑え世界3位から首位へ 売上の4割は米州-2013-03) イタリア ピレリの敵対的買収をしりぞける(近年 中国や韓国メーカの台頭で世界シェアは次第に低下 2000に19.7% 2011には15.2% 2位がミシュラン14.25% 3位がグッドイヤー10.9% )   
 → ブリヂストンは新興国に工場を続々と稼働させている ポーランド スペインにも工場
 2006末 中国 ブラジル 新工場稼働 2013-04にはロシアで乗用車用新工場建設を発表(ロシアでの初の生産拠点 日産1万2000本     ロシアにはすでフランスミシュラン、横浜ゴム2012前期などが進出している)(新興国での販売2割を超える 2013-12には21.3%の見通し2013-03) タイ、インドネシア、インドなど

  2007年5月 再生タイヤ(トラックやバス向け 新生より2-3割安く主として後輪に使う)米最大手のバンダグを買収(タイヤの張り替え 空気圧管理を一括して請け負うサービスを展開 その後高収益ビジネスに育て上げる 日本では普及率2割程度 欧米では9割超 コスト削減策として運輸業界が注目している)
 世界の自動車市場は金融危機を境に振興市場にシフトしたとされる。2010年の新車販売で中国は1800万台で2年連続、米国を抜いてトップ。ブラジルが350万台でドイツを抜いて4位。インドは300万台でフランス、イタリア、英国を抜いて6位だった。先進国では新車装着用と効果用市販タイヤでは、3対7の比率。新興国では現状では半々だが、今後は収益性のよい市販用市場の伸びが見込める。

 韓国(例ハンコック、クムホ)、中国(例 杭州中策)、インド(例アポロ)など新興メーカーが台頭している。彼らは廉価品を大量生産、低価格を武器に支持を集めている。ビッグスリーノシェアは2001年に56.7%あったが、2011年には40.7%まで減少している。ブリヂストンは2005年から世界市場でトップを守っているが、2002年比で2013年には3.5ポイントシェアを減らしている。なおシェアではミシュランを抜いたが営業利益率ではミシュランを超えられなかった。2013年1-6月期 ミジュラン11.3%に対しブリヂストン11.2%と接近。利益率の低い欧州事業を改善できれば、営業利益率でのミシュラン超えも夢ではなくなった。

2014年1-6月期には売上高営業利益率は1%程度改善し12%前後になったとみられる これは日本国内では増税前の駆け込み需要は3月で途切れたものの3月までは採算の良い冬用タイヤを含め需要が堅調 連結売上高の半分を占める北米で景気拡大を受けて新車および交換用タイヤが伸び 中国でも交換用が伸び欧州ではトラックバス用が伸びた。政情不安のタイでの苦戦 資源国向けの鉱山車両向け超大型タイヤなどの伸び悩み 物流費の上昇をこれら好調な部門が補い 付加価値の高い低燃費タイヤ(例 Ecopiaは一般的タイヤの2倍前後の価格だが、エネルギーロスを減らすタイヤとして先進国を中心に支持されている)が伸びたことなども利益率改善に貢献した。もちろん円安による採算の改善。原材料のゴム価格が低価格で推移したことも。

 なお2014年6月。ブリヂストンは2016年のリオデジャネイロオリンピックから2024年までオリンピックにtopスポンサーとして協賛することを発表した。このオリンピックへの協賛ではパナソニックの先例が有名。1業種1社で、全世界で五輪マークを使った宣伝ができる。新興国をにらんで幅広い層にアピールする戦略は好感できる。現在の同社の市場別売上高で、日本米国欧州等が8割弱。新興国向けは2割強。しかし今後新興国向けを伸ばす必要はあきらかだ。

 2012年12月期利益は過去最高 売上3兆397億円 純利益67%増1767億円 値上げの浸透(ROA6%) 鉱山用タイヤなどの好調など 新車用タイヤは好調 交換用タイヤは伸び悩む。2位のミシュランは売上2兆2008億円 純利益1670億円。グッドイヤーは1兆6793億円 169億円。なおゴルフボールも作っているが、売上高はピーク時(2005-2006)に比べて半減(2013年12月期224億円)事業としては赤字化している。
 収益率の改善には製品値上げの浸透(2011年9月以降 世界のタイヤメーカーは北米市場での交換用タイヤ値上げに成功 車が必需品の北米の事情が背景) 欧州債務危機の影響で原材料(天然ゴムなど)の値下がり(2011-2012) 海外生産比率の上昇(国内依存度低下により為替変動に強い体質へ) 固定費の高い国内は高付加価値品にシフト。
 海外売上高比率は8割。フランスのミシュランと激しく争う(欧州不況のためミシュランは減収 ミシュランは地元欧州でシェアが高い。欧州事業は利益率が低くブリヂストンの悩みの種になっている)。しかしブリヂストンの営業利益の半分は国内。世界の向上を東京で集中管理する仕組みを構築 本社の需給オペレーションセンターから各国の需要変動を分析して 生産供給先を柔軟に組み替えている。また収益の低い工場を閉鎖・売却するなど設備の仕分けも徹底している。投資継続にもかかわらず資産規模は縮小(2010-12)してスリム化。
 タイヤの内側に張り付けるセンサーを開発。タイヤの圧力や温度からタイヤ交換時期を伝えてくる優れもの。まずは超大型タイヤの秘密武器として売り込み。冬用のスタッドレスタイヤ(採算性高い)。自動車の燃費を抑える低燃費タイヤ(高付加価値品)を新興国でも今後は販売する予定(背景 国内市場の縮小 新興国での燃費規制の高まり)。このほか利益率が高い高山車両用の超大型タイヤ。

 2013年以降の新工場計画(数字は生産開始予定年)
 ブリヂストンは、ベトナム2014(タイとならぶ最大級の拠点 人件費の点デタイやインドネシアより魅力的) ポーランド2014 タイ2015 ロシア2016など(なお中国には4工場 市販が6割 現地メーカーとの競争もあり生産コストの削減急務)
 住友ゴムは ブラジル2013 タイ2014 ロシア2014 トルコ2015など
 横浜ゴムは ロシア2012 インド2014
 東洋ゴム工業は マレーシア2013
 2014 北米サウスカロライナで超大型タイヤ(鉱山車両などに使う 特殊タイヤは営業利益の2割を稼ぐ)の新工場を稼働。
 垂直統合進める。合成ゴム 天然ゴムの25%をグループ内で生産 タイヤを補強するスチールコードの内製化率を65%まで上げるなど 内製率を引き上げて原材料価格上昇リスクを吸収する 鉱山建設車両向け大型 超大型タイヤ事業の強化 課題:中国市場への進出ではミシュランに遅れをとる 住友ゴム 横浜ゴムも中国進出には熱心
 なお 横浜ゴムでも鉱山建設車両向け大型タイヤ事業に2013年1月から本格参入している
 なお石油や天然ゴムの中長期的高騰をにらんで、これらを用いない 植物原料でのタイヤ生産の試みも進められている。

 ブリヂストンは競争相手のミシュランを一歩リード。時価総額2兆9336億円(前者がブリヂストン)ー2兆2501億円(2014年6月末) 売上高(2013年12月期)3兆5680億円ー2兆6321億円。純利益2020億円ー1465億円。売上高営業利益率12.3%-11.0%。ROE12.7%-12.2%.タイヤの世界シェア15.3%-14.0%。配当性向は22%-30%超。

 2014年に入り天然ゴムの下げが続いていること(背景は東南アジア各国で生産が増えている反面 タイ・ベトナムで農園開発 ミヤンマー・カンボジアなど新興産地の台頭 中国の成長鈍化が響いている)はタイヤ会社のコスト削減(タイヤに使うゴムは石化由来の合成ゴムと天然ゴムがほぼ半分ずつ)に役立っている。
 なお国内2位の住友ゴム(世界5位)は売上7600億円 純利益410億円 横浜ゴムが6300億円 360億円。住友ゴムは世界3位のグッドイヤーと提携関係(1999年に提携 欧米で合弁生産)にあったが、2014年2月に明らかになったところではグッドイヤーから提携解消の申しいれがあったとのこと。日米欧以外の新興国(提携の枠組みに入らない中国など)で両社の競合激化が理由。日米欧でもダンロップタイヤを自由に販売できない不都合な面もあった。 提携解消で住友ゴムは従来の経営戦略の見直しを迫られる。

メモ
 老朽化した汎用品工場は閉鎖
 タイでタイヤ増産(生産能力拡充投資2010年秋 2014年に2011年より4割増しの生産へ すでに2011年夏に2割増しの生産をするため工事実施中)タイ 中国については生産能力の拡大投資。ロシアについては新工場を建設へ。 
 このほか 各地に生産拠点。各地に拠点をつくること意識的にリスク分散をしている。売り上げ之4割強が北米事業。2011年9月には2014年上期稼働を目して米国に鉱山建設車両用のタイヤ工場を建設するとした(サウスカロライナ州 投資額800億円)。中南米の鉱山など需要地に近いところで生産。高機能品の生産の分散をはかる。こうした大型タイヤは国内生産してきた。意識的に高機能品についても拠点の分散を図る姿勢は注目される。
経営上の課題
 収益体質の改善     
 高収益品の増産 リストラ 在庫日数(商品および原材料の在庫管理)
 総資産利益率 2010年実績3.6%の改善 等
 長期的課題としては原材料の高騰リスクを考え原材料の多様化の研究に取り組んでいる。
 リトリッドという張替サービス 天然ゴム あるいは合成ゴム代替の研究などだ。
タイヤの種類。
 ランフラットタイヤ
 低燃費タイヤ(省燃費タイヤ)→ 高機能合成ゴムS-SBR(スチレンブタジエンゴム)を使う
 建機用特殊タイヤ
 電子ペーパー タイヤ原料の約4分の1が天然ゴム
需要から見た呼び方
 新車装着用(新車用)と市販用(交換用)に大別され、市販用の方が生産本数は多い。 
 新車装着用(乗用車用 トラック・バス用)  
 市販(店頭交換)用 生産本数全体の6-7割が市販用
 景気悪化で自動車の使用が控えられると→交換用タイヤ需要も減少する関係にある。
 生活必需品に近く交換用需要は新車用より安定しているとの見方もある。

国内にはブリヂストンのほか、住友ゴム 横浜ゴム 東洋ゴム工業などのタイヤメーカー。大きさの比較はおおむね。
        5 1 1 0.5
タイの水害の日本企業への影響について 2011年10月
  
天然ゴムnatural rubber
 消費の8割以上は自動車用タイヤ
 原料の仕入れからタイや生産まで3-6ケ月の時差がある。


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original edition in Nov., 2011 re-write in Oct.24, 2014
Area Studies Business Models Business Strategies  

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