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中国証券市場略年史 (1976-2011)

中国証券市場年譜(1976-2009)
(1949年 共産党政権誕生で上海証券取引所閉鎖)
1976年9月 毛沢東死去
1978年12月 三中全会 改革開放打ち出す 社会主義現代化建設(社会主義による経済の現代化)
1980年8月 広東省3都市に経済特区設置
1982年1月 生産請負制度導入(自作農の導入)
1989年6月 天安門事件 外貨投資冷え込む 
1990年12月19日  国有企業の経営再建資金確保を目的に株式市場開設(A株市場)
1992年   外国人投資家のためB株市場開設 外貨不足が背景 外貨の直接調達が目的とされる 
1992年1-2月 小平 広東省を視察 南巡講話     
1992年12月 中国共産党第14回党大会 社会主義市場経済目指す指針を決議
1994年1月 人民元相場統一 1ドル8.28元 約30%切り下げ
1994年   市場経済型の金融制度改革実施
1995年   国有銀行を商業銀行に転換 商業銀行法を整備 商業銀行(市中銀行)に意思決定の自主性を保証(ガバナンスに課題残す)  
1996年   朱鎔基首相 金融改革 行政改革とともに国有企業改革に取り組む
1997年2月 小平死去
1997年7月 香港返還 
2000年   中国証券監督管理委員会主席に周小川が就任 市場改革に取り組む
2001年   非流通株解消を試験的に行うも株価急落招く
2001年2月 B株市場を国内投資家に解放
2001年6月13日 最高値2242.42
2001年12月 WTOに加盟 海外からの直接投資が加速へ 市場開放には5年間の猶予期間  
2002年   周小川 中国人民銀行総裁に就任
2002年   共産党大会で走出去戦略が提起される 
2002年12月 適格外国投資家にA株を解禁 
2003年春 SARS重症急性呼吸器症候群 表面化
2003年   海外の証券会社や銀行が中国の株式を買える制度をつくり外貨の流入を促進
2004年5月 深圳取引所に中小板創設   
2005年   中国建設銀行が4大国有銀行で初の株上場
2005年4月末 中国証券監督管理委員会 非流通株解消に乗り出す 株式市場改革を実施 企業の新株発行を停止
2005年6月6日 上海総合指数 一時1000割れ
2005年6月末 中国証券監督管理委員会尚福林主席 非流通株解消加速を宣言
2005年7月21日 人民元2%切り上げ 管理変動相場制へ移行
2005年7月28日 国際金融公社とアジア開発銀行に人民元建て債券の発行認める(外国の企業や金融機関に人民元建て債券発行を始めて認める)
2005年8月 中国証券投資者保護基金 設立 基金への拠出開始は見送り
2006年4月14日 中国人民銀行が発表 適格国内機関投資家QDII制度創設 一定の基準を満たす金融機関に域外投資認める(外貨の海外還流が目的)企業の外貨建て銀行口座開設や個人の外貨購入についても緩和(年間2万ドルまで自由化) 4月20日からの米中首脳会談を前に柔軟姿勢を演出
2006年4月17日 新株発行再開方針発表
2006年4月29日 中国証券監督管理委員会 非流通株の3段階解消計画打ち出す
2006年5月23日 中国証券監督管理委員会 上場企業買収管理弁法改正草案公表(31日まで意見聴取 その後8月2日に9月1日付け施行を発表)
2006年9月 個人マネーにファンド経由での外国株投資を解禁
2006年10月27日 中国最大の銀行 中国工商銀行が香港・上海市場に同時上場 世界最大規模の資金調達に
2006年12月 中国 2001年のWTO加盟により市場の全面開放 現地法人設立を条件に中国人個人向け人民元取引の解禁 大口融資規制(資本残高の10%以下)は09年末まで、預貸率規制(75%以下)は11年末まで猶予 
2006年末終値 上海総合指数2675.474 
2007年3月 物件法 企業所得税法 制定(法律による私有財産の保護 民営経済の差別待遇撤廃)
2007年4月 中国証券投資者保護基金への拠出を2007年1月にさかのぼって納入することを証券会社に求めることになった。営業収入の0.5%から5%の範囲で。
2007年8月20日 中国国家外貨管理局 個人の香港株を手始めに海外株式への直接投資試験的解禁を発表(従来は個人による外貨購入は5万ドルまで)→ 通称「直通列車」香港株(ハンセン指数)続伸 その後中国政府は早期解禁に消極的になる
2007年9月6日 上海総合指数5393.660 過去最高値を更新 
2007年9月6日 中国人民銀行 預金準備率を12.0%から12.5%へ引き上げ 引き上げは2007年に入り7回目
2007年10月 共産党大会 公有経済と私有経済について<法律的に平等保護><経済的に平等競争>という2つの平等原則を確認 
2007年10月 上海総合指数6092(最高値)
2007年10月23日 日本の大阪証券取引所が中国の株価指数に連動するETFを上場
2007年11月5日 ペテロ・チャイナ(中国石油天然気)の上海証券取引所上場 時価総額1兆ドル規模 世界最大の時価総額企業になる (香港でも重複上場 上海相場が価格差を考慮しても香港相場を上回る傾向がある 本土の投資家の海外資産への投資が制限されていることと本土株式市場の過熱を示す)
2007年12月 海外投資家(適格外国機関投資家QFII)による人民元建て株式への投資枠を現行の100億ドルから300億ドルに拡大方針伝える(米中戦略経済対話)
2008年
2008年2月25日 中国証券監督管理委員会(証監会) 上場企業の増資に対し資金の需給を崩す懸念を表明
2008年3月21日 中国証券監督管理委員会(証監会) 創業市場の草案公表
2008年4月下旬 印紙税を0.3%から0.1%に引き下げ
2008年5月12日 四川大地震 死者8万7000人
2008年5月 中国国家外貨管理局 国内機関投資家に対する海外投資枠新規認可(QDII)を凍結
2008年6月 外資系銀行に元建て債券発行解禁の方針を伝える(米中戦略経済対話)
2008年7月 中国証券監督管理委員会(証監会)と中国財務省 企業内部控制基本規範(中国版SOX)制定 2009年7月施行へ
2008年7月23日 中国共産党政治局会議 2008年後半のマクロ経済政策の目標 景気過熱の防止から転換 「物価上昇の抑制」を最優先事項としつつ「経済の安定的で比較的速い発展の保持」  
2008年8月 北京五輪開催
2008年8月 中国国務院 外国為替管理条例を11年ぶりに改正(国内企業や個人に外貨之国外持ち出しを認めて外貨獲得から海外投資に軸足移す) 投機資金流入監視の仕組みも盛り込む(背景:外貨準備2兆ドルに迫る)
2008年9月15日 中国人民銀行 商業銀行貸出基準金利引下げ公表 1年もの7.47から7.20%へ(9月16日実施) 預金準備率を9月25日から1%引下げ(一部大手行はのぞく)
2008年9月 株価急落懸念から新規株式公開(IPO)停止へ
2008年9月18日 中央金匯公司(政府系投資会社) 中国銀行や中国建設銀行など銀行株買い増しを発表 
2008年9月18日 中国政府 株式購入時の印紙税免除(現行は0.1% 4月に0.3%から引下げ)を公表(9月19日実施)
2008年10月  農民による農地使用権売買認める
2008年11月8日 中国政府 4兆元の景気対策打ち出す
2009年
2009年3月31日 中国証券監督管理委員会 新規発行株及び創業板上場に関する暫定管理法 2009年3月31日公布(5月1日施行)
2009年5月 深曙V証券取引所に創業板(ベンチャー企業向け市場)開設 上場基準を緩和 投資家 原則2年の投資経験 リスク許容度を店頭で審査 大企業と国有企業は上海に上場 主板(メーンボード)への上場はとだえ「中小板」中心 そこに創業板加わる
2009年6月 新規株式公開容認に転換
2009年6月 中国政府は国有企業に対して株式上場時に新規発行株の10%分を公的年金の財源(全国社会保障基金 ここから地方政府が手掛ける基金に資金を振り向ける)に拠出させる方針を決めた 社会保障基金の財源強化 安定株主作りの狙いか
2009年6月 全国社会保障基金(2000年に各地方政府が運用する年金基金を資金支援するため設立。運用総額は2008年12月末で5100億元 2008年の運用成績がマイナス6.8%と始めてマイナス。)はPEファンド(地方政府がPEファンドを相次いで設立している)への投資を拡大する方針
2009年6月下旬 HSBCと東亜銀行が香港で人民元建て債券を発行(人民元建て債券の発行解禁)
2009年6月末 新規株式公開IPO再開(2008年9月から中断)
2009年7月上旬 人民銀行 1年物の中央銀行手形発行を約8ケ月ぶりに再開(余剰資金の吸収に乗り出す)
2009年7月15日 中国国家外貨管理局 外貨管理の規制を緩和 中国企業の対外直接投資促進へ(8月1日から実施)
2009年7月15日 上海シンセンの時価総額 東京証券取引所(3兆2000億ドル)を一時抜く(3兆2500億ドル) 上海総合指数は年初来7割 シンセン総合指数は2倍弱急上昇 非流通株がなお約5割
2009年7月23日 中国共産党政治局会議 09年後半のマクロ経済政策の基本方針について、経済回復の基礎はまだ固まっていないとして「積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」の継続を決めた。
2009年7月29日 印紙税引き上げ(08年9月に購入時無税化)観測から株価急落 一時7%下げる 終値は前日比5%安の3266.432
2009年7月 中国建築工程 上海市場に上場へ
2009年8月4日 上海総合指数3471.442年初来高値
2009年8月5日 中国人民銀行レポート 金融政策運営の微調整に言及。株価急落のきっかけとなる。
2009年8月11日 中国人民銀行 7月の人民元融資 6月の1兆5304億円に対し7月は3559億円と急減→ 人民銀行が融資の伸びをおさえるように窓口指導をしているとの観測生む
2009年8月17日 上海総合指数 前営業日比5.79%安 今年最大の下落率(年初から60%上昇)
2009年8月18日 中国証券大手の光大証券が上海証券取引所に上場
2009年9月4日 中国国家外貨管理局 個別の機関投資家の購入できる元建て株式上限を8億ドルから10億ドルに引き上げる方針を表明
2009年10月1日 建国60周年
2009年10月  中国国家外貨管理局 2008年5月以来凍結していた国内機関投資家に対する海外投資枠新規認可を再開 2社に計15億ドル(これで58社になった 投資枠計559億ドル 289億ドルが香港株を中心に海外株等に投資されている) 
2009年10月9日 政府系ファンド中央 金公司が国有大手商業銀行の株式の市場での買い増しを表明
2009年10月13日 中国証券監督管理委員会 短期間で投資信託を売却する投資家に対して運用会社が投資金額の最大1.5%に相当する懲罰的手数料を導入できる規定を導入
2009年10月27日 中国工商銀行の非流通株すべてが市場で売買可能な流通株に転換される(→一部の機関投資家が含み益のある同株を売却する懸念あり)
2009年10月30日 深圳証券取引所で創業板取引開始(上場28社)28社のすべてで上場は初値が公募価格上回る(28社が30日に同時上場) 28社の調達規模は150億元前後(2000億円)と事前推定 30日 投機熱鮮明 全銘柄が一時売買停止 総売買高219億元(約2900億円)
2010年
2010年1月 中国証券業協会 国内証券会社106社の12月期決算を公表 純利益933億元(約1兆2400億円) 前年同期比94%増 営業収入 2050億元 64%増 手数料収入 61%増(2009年の上海証券取引所の株式売買代金は92%増)
2010年1月 中国国務院 信用取引の解禁に同意  
2010年1月 中国政府 創業者など未公開株式の保有者が上場後 株式を売却した場合に売却益の2割を所得税から徴収へ。1月から。
2010年3月24日 信用取引 口座開設受付開始
2010年3月31日 信用取引解禁 証券大手6社に通知 開設 最低で50万元(日本円で680万円)の預かり資産 対象は上海上場の50社(石油大手の中国石油天然気)。深センは40社(不動産大手の万科企業など)。流動性の高いものを選んだとされる。
2010年4月16日 株価指数(上深300指数)先物取引解禁 上海にある中国金融先物取引所で開始
2010年4月 中国政府 不動産価格抑制に本腰(2顕件目以降の住宅購入時の頭金の引き上げ)
2010年5月 中国人民銀行が2010年に入り3度目の預金準備率引き上げを実施
2010年7月 中国鉄鋼大手が相次いで鉄鋼製品価格引き下げ実施(背景には高水準の在庫)
2010年7月15日 中国農業銀行の新規株式公開
2010年8月5日 中国保険監督管理委員会 保険会社の運用指針 株式と株式投信の運用比率を総資産の20%を上限。不動産は10%まで。従来は明示されず不明確。実績より高い上限で相場の下支えと、上限明示による抑制効果狙う(事実上の基準緩和効果が大きい)。2010年6月末 中国保険会社の総資産は4兆5000億元 うち株式関連は13%強。
2010年8月12日 中国保険監督管理委員会 保険会社の運用指針 株式投資の上限を20%、株式投信など運用商品を含めて25%まで可能に変更。
2010年9月 漁船問題で日中間の緊張
2010年 日本の対中直接投資6278億円 ピークは2007年の7305億円 なお高水準
     一人当たりGDP(2010年推定) 日本 42, 431ドル。中国4412ドル
2010年10月末 創業板 上場企業数134社 市場規模6112億元(約7兆4000億円)に拡大(これまでの調達資金は1000億円元弱) 調達資金が活用されているかには疑問の声も出ている        
2010年12月 消費者物価上昇率 前年同月比4.6%増
2010年12月25日 本年 2度目の利上げを実施
2010年12月末 両取引所の上場社数2176社 純利益合計 1兆6654億円(前期比37%増加)
2011年
2011年1月 消費者物価上昇率 前年同月比4.9%増
2011年1月14日 中国人民銀行 預金準備率引き上げ
2011年4月29日 1ドル 6.5元を突破
2011年5月 中国証券監督管理委員会 裏口上場規制に乗り出す方針(改革案を公表)
2011年7月 中国共産党結党90年
2011年10月 辛亥革命100年

李永森「中国の創業板(新興市場)のリスクに関する考察」『季刊中国資本市場研究』2008年秋号 36-42.
範岳「中国証券市場における投資家構造の分析と改善案」『季刊中国資本市場研究』2008年夏号, 12-20.
神宮健「2007年の中国証券市場の回顧と今後の証券市場政策」『季刊中国資本市場研究』2008年春号, 28-39.
黒岩達也「中国証券市場の動向と市場改革の行方」『SCB内外経済・金融動向』No.20-1, 2008年4月23日, 1-18.
宮慧杰「中国証券市場の歴史と現状」『立命館経営学』40巻3号, 2001年9月, 129-136.
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in April 30, 2009.
Corrected and reposted in July 29, 2009.
Reposted in June 13, 2011

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