Entrance for Studies in Finance

年金債務 年金積立金の運用 代替投資

年金債務 年金積立金の運用 代替投資

 年金には、すべての国民が加入する公的年金と、公的年金に上乗せする私的年金とがある。

 公的年金は20歳から60歳未満のすべての国民が加入している国民年金(基礎年金)がまずある。これに会社員が加入している厚生年金と、公務員が加入している共済年金を加えたものを公的年金と呼んでいる。これら公的年金を運用する組織としてGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)がある。

 GPIFの国内株式投資規模は30兆円とされ(2017年6月末 運用資産149兆1987億円 国内債券30.48%   国内株式24.41% 海外株式23.91%)、その動向は株式市場に大きな影響を与えている。企業年金の運用でも議論されるのは株式の場合の価格変動の大きさである。政治的イベントのたびに乱高下する株式は年金のための資金運用ではリスクとなる。そこで注目されるのは、不動産やインフラファンドなど、景気変動に価格が左右されにくい商品である(2017年6月末)。GPIFでは、156兆円の資産の5%を上限に、インフラ事業、PEとよばれる未上場株式、不動産などオルタナテブ(代替)投資(2014年2月に開始 2017年6月末で0.1%水準)をすることをすでに決めており、手法としてFOFという手法を採用する(これは投資信託を通じた代替投資しか認められていないため 2017年内にも投資組合をつくるLPSという仕組みが認められるとのこと)とのこと(2017年9月末 国内債券28.5%  国内株式24.4%  外国債券14.0%  外国株式24.0%   短期資産9.1% 短期資産が増えるのは日銀の異次元緩和による償還された国内債を再投資しづらいことが原因とされる)。GPIFでは2014年10月の運用改革の結果、株式運用比率が従来の2倍に増え、株価上昇による運用益が出やすくなるとともに、価格変動リスクも高まっている(15年度は5兆円の運用損 16年度はトランプ相場もあり7.9兆円の運用益など)。

 企業については、公的年金とは別に会社が年金を支給する制度があり、これを企業年金と呼んでおり、私的年金の代表的な存在になっている。その給付の仕方には、給付水準を確定させる確定給付型と、拠出水準を確定させる確定給付型とがある。近年、リタイア世代の増加、運用利回りの低下などにより、確定給付型の維持が困難になる傾向がある。年金と退職金とを合わせたものを退職給付債務といい、企業はこの債務に必要な金額を積み立てる必要がある。退職給付債務は、割引率(年金債務の割引率 東ガスでは15年物の国債利回り使う...17年3月期0.389% この債務を小さくしたい企業は割引率を高い数値にしていることがある)が下がると大きくなる。2014年3月期から積立不足額を負債に計上することが必要になった。それは自己資本の不足や、格付けに低下に直結する。その増加は企業を清朝にさせ、減少は企業を積極的にする。なお運用の内容では、世界的な低金利 政治イベントによる株の乱高下 伝統的な株・債券から代替投資への流れがある。不動産やインフラファンドなど景気変動に価格が左右されにくい資産が好まれるようになった。

 この年金債務の問題は、日本企業が内部留保を増やす一つの背景であり、企業収益の圧迫要因になっている。企業がR&D投資 設備投資 M&Aなどにおいて企業がリスクテイクに慎重になる一因になっていると指摘される。これをよく示すのが、マイナス金利政策により、企業の年金債務を計算する際の割引率が低下して、年金債務が積み上がり未積立の企業年金が膨らむという関係である。この結果として、日本の企業はリスクテイクに慎重になっているとされる。ただこの点に関しては、それなら企業は確定拠出年金制度に早く移行するべきだ、ということも言えそうだ。

 確定給付年金defined benefit plan 確定拠出年金defined contribution plan

個人退職勘定IRA 税制優遇で個人年金を奨励するもの 個人型確定拠出年金iDeCo:2017年から制度を現役世代すべて(約6700万人)に対象を拡大 2016年末までは勤務先に企業年金がない人や自営業者に限られていた 2016年末の加入者は約30万人 2017年5月末加入者50万突破

 積立不足とは 将来支払い額(退職給付引当債務)>現在の年金資産+退職給与引当金
         年金債務>現在の年金資産

 2014年10月31日 運用改革を決定 国債に頼った運営から国内外株式に 自前運用(手数料削減 運用の自由度高まる) 体制の整備 議決権行使どうするか(株の自主運用については社会保障審議会で反対意見多かった 経団連・連合出身委員など)ダブルバズーカ
 新たな資産構成の目安
  60±8 12±6 11±5 12±5 5 → 35±10 25±9 15±4 25±8
先例 ノルウェー政府年金基金100兆円程の資産の6割を株式で運用する
     今の年金制度は1.7%野利回りが前提だが10年国債利回りは0.3%前後にすぎない(2015年4月段階)
 2014年度は15兆円の利益
 2015年12月末の運用比率 国内債券37.76%  国内株式23.35 外国債券13.50 外国株式22.82 短期資産2.57
 2015年度運用孫5兆3098億円 年度末運用資産134兆7000億円 運用利回り3.81%のマイナス 国内外株式の割合は2倍の50%に拡大(正確には年度末で44%) 7兆円の評価損 債券で2兆円の評価益 損失は運用資産の4%弱・・・・この大きさをどうみるか
 2016年3月末 国内債券38% 国内株式22 外国債券13 外国株式22 短期資産5

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corrected 2018-03-10

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