ICEによるNYSEユーロネクスト買収発表(2012年12月20日)
2013-01-03 14:12:52
NYSEユーロネクスト(ニューヨーク証券取引所 デリバ市場としてNYSEライフ=ロンドン国際金融先物取引所)はドイツ取引所(デリバで世界2位 フランクフルト証券取引所 デリバ市場としてユーレックス)との合併を画策した(それぞれの株主の多数の了解も2011年7月までに得たものの)が、合併により欧州での上場デリバ市場のシェアが9割を超えることから 欧州委員会が2012年2月に合併を否認(正確にはデリバ事業のかなりの売却を合併承認の条件として提示。この結果、合併は当初の合併効果を上げられないことになり断念を余儀なくされた。デリバ市場のなかで取引所取引は1割に過ぎず取引所の店頭取引に挑戦する立場というのが取引所側の言い分のようだ。)。
背景には、現物株に頼った収益モデルの限界があると考えられる。現物株市場は電子取引所が台頭、競争が激しい。
他方、デリバ市場は独自商品を開発して利益を稼ぎやすいとされる。NYSEにとりデリバの強化が課題になっていたとのこと。
(NYSEをめぐっては2011年5月ナスダックOMXグループが敵対的買収をしかけようととしたが米当局の承認が得られず断念している)
NYSEユーロネクストとしては、ICEの懐に飛び込むことで、デリバ市場トップのCME(シカゴ・マーカンタイル取引所 ニューヨーク・マーカンタイル取引所 2007年にCBOTシカゴ商品取引所を買収)と対抗する体制を急いだ形。NYSEは成立しなかったドイツ取引所との合併でもドイツ側に出資6割と主導権を譲っていた。NYSEは現物株での市場シェアを低下させており、システムの投資負担にも悩んでいた。合併による規模拡大、合理化、による投資余力の回復、デリバ市場での競争力回復を急いでいたのだろう。
日本からみると異様にもみえるが、世界の取引所は、株式現物よりは成長性の高い先物、オプションなどデリバティブ市場を中心に再編が進んでいる。
なお2012年6月15日 香港取引所がLME(ロンドン金属取引所)を買収する件での合意が伝えられた。
買収金額は13億9000万ポンド1700億円とされ、この買収の手続きは同年12月6日には完了している。
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