ちょっと長いですが、皆さんの意見を聞きたいな〜
「有害事象の多さ、見過ごせない」別府宏圀氏に聞く
2018 年 2 月 15 日
HPVワクチンの接種後に、様々な症状に 苦しむ人たちがいます。ワクチンの有効性を 評価する声がある一方、安全性を懸念する声 もあります。長年、医薬品情報誌の国際連絡 組織の活動に携わるなど、医師の立場から薬 の安全性について問題提起を続ける、神経内 科医で薬害オンブズパースン会議副代表の 別府宏圀さんに、HPVワクチンの問題につ いて聞きました。
このワクチンは2010年11月から、定期接種されるのに先だって、公費負担で接種が始まり ました。その後、重篤な有害事象の報告数が急増しました。長く使われてきたワクチンに比べると、 新たに導入されるワクチンは有害事象の報告が多くなる傾向がありますが、それを考慮に入れたと しても、今回の報告数は格段に多い。これは見過ごすことはできません。
さらに問題なのは、有害事象として報告されたその症状が多様で長期間にわたり、重層的にあら われていることです。このワクチンの副反応として、まず注目されたのは全身の痛みや、失神でし た。その後、不調を訴える少女たちの症状を詳しく診ていくと、運動障害(脱力、まひ、不随意運 動、けいれんなど)、呼吸機能障害、消化器障害、月経異常などの内分泌障害、自律神経障害、睡 眠障害、光過敏・音過敏、高次脳機能障害(記憶障害、判断力低下、集中力低下)など様々な症状 があらわれることがわかりました。
これらの特徴は、これまでのほかのワクチンとは明らかに異なります。ワクチンとの因果関係を 疑問視する声もありますが、海外でHPVワクチン接種後の被害を訴えている少女たちの症状とも 共通している点を考えれば、安易に「心因性」と片付けるべきではないでしょう。
新タイプのワクチン、不十分な検証
HPVは女性なら誰でも生涯に一度は以上は感染するような、ごくありふれたウイルスです。皮 膚や粘膜のわずかな傷から侵入し、扁平上皮基底部(子宮頸部の粘膜の一番深い部分)の細胞に感 染しますが、通常は70%が1年以内に、90%が2年以内に消失します。しかし、がんを誘発しやすいタイプのウイルスに持続感染すると、その一部が、がんの前段階の状態(前がん病変)、さ らには浸潤がんに発展します。
ウイルスは通常、子宮頸部の粘膜にとどまり、自然に感染しただけでは、体内に十分な免疫はで きません。これに対抗するために、HPVワクチンは、高い抗体価を長期間にわたって持続させる ように設計されています。ワクチン接種後、通常の自然感染では達することのない、非常に高い抗 体価を実現させるのです。
このように、従来とは異なった設計思想でつくられた、新しいタイプのワクチンを導入するので あれば、その安全性についても、より入念な検証が必要であったはずです。
また、このワクチンは、ウイルス遺伝子(DNA)を持たない「ウイルス様粒子」(VLP)を 抗原(目印となるたんぱく質)とし、抗体ができるようにつくられています。ウイルス遺伝子を含 まないからと、安全性を過信したことも問題でした。実際には、VLPの外側にある「殻」のほう に、人の細胞と共通し、生理機能にも深くかかわる成分(ペプチド)が含まれています。これが免 疫学的に様々な交差反応を引き起こす可能性は十分にあり、それだけ多様な副反応が生じる恐れが あります。
もっと患者の声に耳を傾けるべきだ。
それなのに、厚生労働省の部会は2014年、こうした症状を「心身の反応」とする意見をまと めました。この結論に科学的根拠があるとは思えません。実際に、私は症状を訴える少女たちの話 も聞きましたが、みんな接種前は元気で健康な、明るい子たちばかりでした。
いまの医学は科学的根拠を重視し、科学的に説明できないという理由ですぐに患者を切り捨てる 傾向があると危惧しています。「何かが起きているのではないか」と様々な可能性を考え、もっと 患者ひとりひとりの声に謙虚に耳を傾けるべきだと思います。
私は薬害スモン裁判にもかかわり、医薬品の情報収集を30年間続けてきました。こうした活動 を通し、私は製薬企業の情報がいかに偏っているか、を痛感してきました。有効性は強調されても、 安全性は軽んじられる傾向があります。
もちろん、私は医師なので、薬がないと困るし、薬の力もわかっています。しかし、常に視線は エンドユーザーである患者に向けられなければいけません。ワクチンの接種後に、説明のつかない 症状が起きている人がこんなにたくさんいる事実は非常に重い。そして、その症状は誰に起きるか わからない。ワクチンは健康な人に接種するものであり、それによって得られる利益と危険性を見 比べながら、慎重に判断される必要があります。
がんの予防の予防、不確実。
接種をすすめたい人たちは、子宮頸(けい)がんの重大性を強調します。でも、子宮頸がんの原 因となるウイルス(HPV)は、感染してもほとんどは自然に排除され、子宮頸がんを発症するの は発がん性のあるHPV感染者の0.15%程度と考えられています。万一がんを発症しても、定期的な検診を受けていれば適切な治療を受けることで、多くの人は救命可能です。そもそも、がん を予防する効果も証明されていません。
こうしたことを考えれば、安全性が不確実なHPVワクチンを定期接種にするよりも、その費用 と労力をがん検診に向けるほうがはるかに大きな意味があるのではないでしょうか。検診受診率は 諸外国に比べて低いと指摘されていますが、検診する医療者を女性にするなどして、検診を受ける 女性の心理的なストレスを減らすなど、できることはまだあるはずです。
そもそも、HPVワクチンは、がんを予防する「個人防衛」の性格をもったワクチンであり、接 種するかどうかは個人が決めるべきであり、任意接種に分類されるべきだと考えます。
HPVの勧奨再開に反対すると、すぐに「反ワクチン」と非難する声があがりますが、非常に一 面的な考え方だと思います。私はすべてのワクチンに反対しているわけでなく、はしかなど、公衆 衛生の観点から定期接種にすべきワクチンはあると考えています。
ただ、最近は、ワクチンの種類が急激に増えました。なかには、製薬企業のロビー活動を背景に、 有効性と安全性が十分に議論されないまま拙速に導入されたものが含まれている。HPVワクチン はその最たるものだと思います。私はもう一度、すべてのワクチンについて、定期接種にすべきも のと、任意接種にすべきものについて再考すべきではないかと思います。そしてその議論の過程に は、市民が参加できる仕組みをつくるべきだと思います。
科学は本来、患者や公衆の衛生を守るためにあったはずですが、最近は製薬産業の利益を守るた めに使われ、薬と有害事象の因果関係を否定するために使われている、と感じます。医師と製薬企 業の利益相反の問題も深刻です。医師はもっと謙虚で誠実であるべきです。HPVワクチンの問題 でいえば、接種後に症状を訴える患者の診察もきちんとしないまま、心因反応と簡単に退けること は、非常に無責任なことだと思います。
〈べっぷ・ひろくに〉 1938年生まれ。神経内科医。東京都立府中病院、都立神経病院などを 経て、現在は薬害オンブズパースン会議副代表。ネットを通して患者の体験や気持ちを動画などで 伝える、NPO法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」理事長も務める。著書に「医者 が薬を疑うとき」(亜紀書房)など
最後までお読み頂き有難うございます。
私はこれらが化学薬品に拘らず、対応することに成功して居ます。
「有害事象の多さ、見過ごせない」別府宏圀氏に聞く
2018 年 2 月 15 日
HPVワクチンの接種後に、様々な症状に 苦しむ人たちがいます。ワクチンの有効性を 評価する声がある一方、安全性を懸念する声 もあります。長年、医薬品情報誌の国際連絡 組織の活動に携わるなど、医師の立場から薬 の安全性について問題提起を続ける、神経内 科医で薬害オンブズパースン会議副代表の 別府宏圀さんに、HPVワクチンの問題につ いて聞きました。
このワクチンは2010年11月から、定期接種されるのに先だって、公費負担で接種が始まり ました。その後、重篤な有害事象の報告数が急増しました。長く使われてきたワクチンに比べると、 新たに導入されるワクチンは有害事象の報告が多くなる傾向がありますが、それを考慮に入れたと しても、今回の報告数は格段に多い。これは見過ごすことはできません。
さらに問題なのは、有害事象として報告されたその症状が多様で長期間にわたり、重層的にあら われていることです。このワクチンの副反応として、まず注目されたのは全身の痛みや、失神でし た。その後、不調を訴える少女たちの症状を詳しく診ていくと、運動障害(脱力、まひ、不随意運 動、けいれんなど)、呼吸機能障害、消化器障害、月経異常などの内分泌障害、自律神経障害、睡 眠障害、光過敏・音過敏、高次脳機能障害(記憶障害、判断力低下、集中力低下)など様々な症状 があらわれることがわかりました。
これらの特徴は、これまでのほかのワクチンとは明らかに異なります。ワクチンとの因果関係を 疑問視する声もありますが、海外でHPVワクチン接種後の被害を訴えている少女たちの症状とも 共通している点を考えれば、安易に「心因性」と片付けるべきではないでしょう。
新タイプのワクチン、不十分な検証
HPVは女性なら誰でも生涯に一度は以上は感染するような、ごくありふれたウイルスです。皮 膚や粘膜のわずかな傷から侵入し、扁平上皮基底部(子宮頸部の粘膜の一番深い部分)の細胞に感 染しますが、通常は70%が1年以内に、90%が2年以内に消失します。しかし、がんを誘発しやすいタイプのウイルスに持続感染すると、その一部が、がんの前段階の状態(前がん病変)、さ らには浸潤がんに発展します。
ウイルスは通常、子宮頸部の粘膜にとどまり、自然に感染しただけでは、体内に十分な免疫はで きません。これに対抗するために、HPVワクチンは、高い抗体価を長期間にわたって持続させる ように設計されています。ワクチン接種後、通常の自然感染では達することのない、非常に高い抗 体価を実現させるのです。
このように、従来とは異なった設計思想でつくられた、新しいタイプのワクチンを導入するので あれば、その安全性についても、より入念な検証が必要であったはずです。
また、このワクチンは、ウイルス遺伝子(DNA)を持たない「ウイルス様粒子」(VLP)を 抗原(目印となるたんぱく質)とし、抗体ができるようにつくられています。ウイルス遺伝子を含 まないからと、安全性を過信したことも問題でした。実際には、VLPの外側にある「殻」のほう に、人の細胞と共通し、生理機能にも深くかかわる成分(ペプチド)が含まれています。これが免 疫学的に様々な交差反応を引き起こす可能性は十分にあり、それだけ多様な副反応が生じる恐れが あります。
もっと患者の声に耳を傾けるべきだ。
それなのに、厚生労働省の部会は2014年、こうした症状を「心身の反応」とする意見をまと めました。この結論に科学的根拠があるとは思えません。実際に、私は症状を訴える少女たちの話 も聞きましたが、みんな接種前は元気で健康な、明るい子たちばかりでした。
いまの医学は科学的根拠を重視し、科学的に説明できないという理由ですぐに患者を切り捨てる 傾向があると危惧しています。「何かが起きているのではないか」と様々な可能性を考え、もっと 患者ひとりひとりの声に謙虚に耳を傾けるべきだと思います。
私は薬害スモン裁判にもかかわり、医薬品の情報収集を30年間続けてきました。こうした活動 を通し、私は製薬企業の情報がいかに偏っているか、を痛感してきました。有効性は強調されても、 安全性は軽んじられる傾向があります。
もちろん、私は医師なので、薬がないと困るし、薬の力もわかっています。しかし、常に視線は エンドユーザーである患者に向けられなければいけません。ワクチンの接種後に、説明のつかない 症状が起きている人がこんなにたくさんいる事実は非常に重い。そして、その症状は誰に起きるか わからない。ワクチンは健康な人に接種するものであり、それによって得られる利益と危険性を見 比べながら、慎重に判断される必要があります。
がんの予防の予防、不確実。
接種をすすめたい人たちは、子宮頸(けい)がんの重大性を強調します。でも、子宮頸がんの原 因となるウイルス(HPV)は、感染してもほとんどは自然に排除され、子宮頸がんを発症するの は発がん性のあるHPV感染者の0.15%程度と考えられています。万一がんを発症しても、定期的な検診を受けていれば適切な治療を受けることで、多くの人は救命可能です。そもそも、がん を予防する効果も証明されていません。
こうしたことを考えれば、安全性が不確実なHPVワクチンを定期接種にするよりも、その費用 と労力をがん検診に向けるほうがはるかに大きな意味があるのではないでしょうか。検診受診率は 諸外国に比べて低いと指摘されていますが、検診する医療者を女性にするなどして、検診を受ける 女性の心理的なストレスを減らすなど、できることはまだあるはずです。
そもそも、HPVワクチンは、がんを予防する「個人防衛」の性格をもったワクチンであり、接 種するかどうかは個人が決めるべきであり、任意接種に分類されるべきだと考えます。
HPVの勧奨再開に反対すると、すぐに「反ワクチン」と非難する声があがりますが、非常に一 面的な考え方だと思います。私はすべてのワクチンに反対しているわけでなく、はしかなど、公衆 衛生の観点から定期接種にすべきワクチンはあると考えています。
ただ、最近は、ワクチンの種類が急激に増えました。なかには、製薬企業のロビー活動を背景に、 有効性と安全性が十分に議論されないまま拙速に導入されたものが含まれている。HPVワクチン はその最たるものだと思います。私はもう一度、すべてのワクチンについて、定期接種にすべきも のと、任意接種にすべきものについて再考すべきではないかと思います。そしてその議論の過程に は、市民が参加できる仕組みをつくるべきだと思います。
科学は本来、患者や公衆の衛生を守るためにあったはずですが、最近は製薬産業の利益を守るた めに使われ、薬と有害事象の因果関係を否定するために使われている、と感じます。医師と製薬企 業の利益相反の問題も深刻です。医師はもっと謙虚で誠実であるべきです。HPVワクチンの問題 でいえば、接種後に症状を訴える患者の診察もきちんとしないまま、心因反応と簡単に退けること は、非常に無責任なことだと思います。
〈べっぷ・ひろくに〉 1938年生まれ。神経内科医。東京都立府中病院、都立神経病院などを 経て、現在は薬害オンブズパースン会議副代表。ネットを通して患者の体験や気持ちを動画などで 伝える、NPO法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」理事長も務める。著書に「医者 が薬を疑うとき」(亜紀書房)など
最後までお読み頂き有難うございます。
私はこれらが化学薬品に拘らず、対応することに成功して居ます。