流浪の会合「星を読む会」主催第廿回読書会は、平成29年1月25日(水)午後7時から、福井市渕にある『よつばCafe』で行われました。あけましておめでとうございます。
喫茶店に着くと、カウンターに座っていたお客さんから「ちょっといいですか?」と話を切り出される。驚きながらも話を聞くと、その方の知人が本好きで読書会に興味があるそうな。
名刺交換をしつつ、読書会の良さを語る。ぜひ、お越しくださいと伝え会員の到着を待つ。そして、そこに飛び入りの女性参加者現れる!!読書会に風が吹いているのか!?
みなさんもぜひ、飛び込みで、または様子見でいいのでお越しください。百聞は一見に如かずですよ。
さて、今回 の課題図書は、村上春樹著「風の歌を聴け」。今回初参加の方はハルキストだとの事。他の会員は村上春樹の著書の事を聞きたくてうずうずしている様子でしたが…
まずは皆さんの意見に耳を傾けてみます。
1さん
『村上』と言えば村上龍、『春樹』と言えば角川春樹、の自分は村上春樹の著書をはじめて呼んだ。以前も手に取ったが途中で読むのをやめた。
「完璧な文章などと言ったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」という冒頭の書き出しが、人間は経験したことしかアウトプットできないと思っている自分の心をつかまれた。
何万人もの人が研究した文章、魅力のある文章はこの時代でも古くないと感じた。
2さん
大学時代に課題でこの本を読み、当時は、おしゃれっぽいものにあこがれていた自分は村上春樹の著書をすごく読んだ。自分を形作るもののひとつになっている。 今になっては、意味ありげな言い回しに憧れていたのか?と思う。
今読むと少々鼻につく。村上春樹はファッションかも?
3さん
村上春樹の文体が最後まで受け付けなかった。文体が安定していない、という解説を読んだことがある。文体の雰囲気が又吉直樹の「火花」と似てると感じた。
4さん
他の方の感想がとても新鮮に聞こえた。久しぶりに読み返したが、ハルキストの自分からすると違った見方があった。
文体が心地よく感じた。この心地よさは、村上 春樹のエッセイ「職業としての小説家」にも書いてあったが、音楽を聴くようにタイピングしているその音の重なりやリズム、ハーモニー、アドリブが影響している。
これは、天から降りてきたデビュー作とも呼べるものだと思う。
5さん
高校生のころ「ノルウェーの森」を読んで村上春樹作品にはまった経験がある。
この作品は読みづらかった。村上作品を久しぶりに読むと、村上春樹を読んでる自分が好きだったのかもしれないと思った。 主人公って中二病かも?
6さん
「ダンス・ダンス・ダンス」を読んだことがあるが、その長編に苦心した覚えがある。
この作品は散文を読せあつめたような文章だと思ったが、村上作品 は音楽という感想を聞いて腑に落ちた気もする。
7さん
読み切るのに苦労したが、音楽を聞くようにという感想はよく分かる。
比喩が考えさせられるがその比喩に無理がある気がした。その読者の困惑を村上春樹が楽しんでるのか?という気さえした。
今後も村上作品を楽しみたいので、他の人の読み方や楽しみ方を教えてもらえればと思って、読書会を楽しみにして来た。
8さん
村上春樹作品にふれる機会がなく、今回の読書会を楽しみにしていた。
比喩や文章の使い方が独特で、最後まで読み切れた。読書会用に2回読んだが、意味の分からないところやつながりが分からない所が何カ所かあった。
こじゃれた雰囲気やお酒の名 前、音楽の名前が若いお姉さん方の琴線に触れたのかな、と思う。
一通り感想が出たので、雑談方式で深化を行います。福井読書会では「ブレインストーミング」の手法を用いて自由な議論を推奨しています。
・他人の意見を批判・否定しない
・意見に乗っかることを推奨する
・突飛な意見を歓迎する
会員のみなさんの意見
・村上春樹作品を「こじゃれてる」という感想に驚いた。どちらかというと泥臭いと感じていた。
・ミステリーの読み方の癖がつき、一つの文章やアイテムにひっかかり伏線かと疑ってしまう。
・伏線?が回収されないところがジブリのストーリーと似てる?
・オタク文化と呼ばれる要因がその回収されない伏線にあるのかも?
・片岡義男と作風が似てる気がする
・おしゃれアイテムがすごく良い。雰囲気がある。
・後の作品の原石がすべてあると思う。
・ねずみ三部作の初作と呼ばれることも
・次に村上春樹を読むなら、うみべのカフカ、1Q84をオススメ
村上春樹を読んでみたいけど読み方?が分からない、といった方が多かったように感じました。
難解な比喩や癖のある登場人物、小道具が読み手を惑わせた感もあり、その困惑感を楽しめるか否かという結論になった気がします。
皆さん、お疲れさまでした。
次に会員のオススメ本や今後読んでみたい本の情報交換会となりました。
・アン ウォームズリー著「プリズン ・ブック・クラブ」
筆者がボランティアでカナダの刑務所内での読書会を手伝ったお話。受刑者が様々な本を読み、それぞれの感想を抱く。
書中で紹介されている本もおもしろいらしく、話題となっていました。
福井読書会でも取り上げたい一冊です。
・原田マハ著「デトロイト美術館の奇跡」
ノンフィクション。2013年の財政難のデトロイトにあってデトロイト美術館の美術品も他人事ではなかった。
市民の暮らしと過去の遺産。どちらを守るか、全米を巻き込んだ論争に発展していく。
「最後感動します!」と紹介者は教えてくれました。
・重松清著「とんび」
昭和37年、28歳の「ヤスさん」に長男「アキラ」が誕生した 。その幸福も突然の悲劇で打ち砕かれる。不器用な男親が素直な息子と向き合う長編小説。
読書会の男性陣は絶対泣ける!と紹介者からのお墨付きの本。
・宮下奈都著「静かな雨」
宮下奈都さんのサイン会があったじっぷじっぷで買った本。
短期の記憶障がある女性に恋した男の話。
・道尾秀介著「片目の猿」
叙述トリックが秀逸、最近注目の作家
・白倉由美/伊島薫著「ロリータの温度」
多重人格サイコ関連書籍。写真と短編から成る、ロリータ℃、6回死んだ少女、6人の少女の儚い話。
写真は平野綾。ワンショットだけ沢尻エリカが写ってる?
・川島小鳥写真集
創作の森で写真展を行っていたそうです。
装丁を手がけた祖父江慎さんとのトークショーもあったようで、写真集のかわいい女の子は必見。
・京極夏彦著「どすこい(仮)」集英社
表紙のぬめり感を味わっていただきたい。
装丁は祖父江慎
ちょうどここで時間となり、二時間の読書会がお開きとなりました。参加された皆さん、お疲れさまでした。
次回二十一回読書会でまたお会いしましょう。
次の課題図書は、江戸川乱歩著「人間椅子」です。
喫茶店に着くと、カウンターに座っていたお客さんから「ちょっといいですか?」と話を切り出される。驚きながらも話を聞くと、その方の知人が本好きで読書会に興味があるそうな。
名刺交換をしつつ、読書会の良さを語る。ぜひ、お越しくださいと伝え会員の到着を待つ。そして、そこに飛び入りの女性参加者現れる!!読書会に風が吹いているのか!?
みなさんもぜひ、飛び込みで、または様子見でいいのでお越しください。百聞は一見に如かずですよ。
さて、今回 の課題図書は、村上春樹著「風の歌を聴け」。今回初参加の方はハルキストだとの事。他の会員は村上春樹の著書の事を聞きたくてうずうずしている様子でしたが…
まずは皆さんの意見に耳を傾けてみます。
1さん
『村上』と言えば村上龍、『春樹』と言えば角川春樹、の自分は村上春樹の著書をはじめて呼んだ。以前も手に取ったが途中で読むのをやめた。
「完璧な文章などと言ったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」という冒頭の書き出しが、人間は経験したことしかアウトプットできないと思っている自分の心をつかまれた。
何万人もの人が研究した文章、魅力のある文章はこの時代でも古くないと感じた。
2さん
大学時代に課題でこの本を読み、当時は、おしゃれっぽいものにあこがれていた自分は村上春樹の著書をすごく読んだ。自分を形作るもののひとつになっている。 今になっては、意味ありげな言い回しに憧れていたのか?と思う。
今読むと少々鼻につく。村上春樹はファッションかも?
3さん
村上春樹の文体が最後まで受け付けなかった。文体が安定していない、という解説を読んだことがある。文体の雰囲気が又吉直樹の「火花」と似てると感じた。
4さん
他の方の感想がとても新鮮に聞こえた。久しぶりに読み返したが、ハルキストの自分からすると違った見方があった。
文体が心地よく感じた。この心地よさは、村上 春樹のエッセイ「職業としての小説家」にも書いてあったが、音楽を聴くようにタイピングしているその音の重なりやリズム、ハーモニー、アドリブが影響している。
これは、天から降りてきたデビュー作とも呼べるものだと思う。
5さん
高校生のころ「ノルウェーの森」を読んで村上春樹作品にはまった経験がある。
この作品は読みづらかった。村上作品を久しぶりに読むと、村上春樹を読んでる自分が好きだったのかもしれないと思った。 主人公って中二病かも?
6さん
「ダンス・ダンス・ダンス」を読んだことがあるが、その長編に苦心した覚えがある。
この作品は散文を読せあつめたような文章だと思ったが、村上作品 は音楽という感想を聞いて腑に落ちた気もする。
7さん
読み切るのに苦労したが、音楽を聞くようにという感想はよく分かる。
比喩が考えさせられるがその比喩に無理がある気がした。その読者の困惑を村上春樹が楽しんでるのか?という気さえした。
今後も村上作品を楽しみたいので、他の人の読み方や楽しみ方を教えてもらえればと思って、読書会を楽しみにして来た。
8さん
村上春樹作品にふれる機会がなく、今回の読書会を楽しみにしていた。
比喩や文章の使い方が独特で、最後まで読み切れた。読書会用に2回読んだが、意味の分からないところやつながりが分からない所が何カ所かあった。
こじゃれた雰囲気やお酒の名 前、音楽の名前が若いお姉さん方の琴線に触れたのかな、と思う。
一通り感想が出たので、雑談方式で深化を行います。福井読書会では「ブレインストーミング」の手法を用いて自由な議論を推奨しています。
・他人の意見を批判・否定しない
・意見に乗っかることを推奨する
・突飛な意見を歓迎する
会員のみなさんの意見
・村上春樹作品を「こじゃれてる」という感想に驚いた。どちらかというと泥臭いと感じていた。
・ミステリーの読み方の癖がつき、一つの文章やアイテムにひっかかり伏線かと疑ってしまう。
・伏線?が回収されないところがジブリのストーリーと似てる?
・オタク文化と呼ばれる要因がその回収されない伏線にあるのかも?
・片岡義男と作風が似てる気がする
・おしゃれアイテムがすごく良い。雰囲気がある。
・後の作品の原石がすべてあると思う。
・ねずみ三部作の初作と呼ばれることも
・次に村上春樹を読むなら、うみべのカフカ、1Q84をオススメ
村上春樹を読んでみたいけど読み方?が分からない、といった方が多かったように感じました。
難解な比喩や癖のある登場人物、小道具が読み手を惑わせた感もあり、その困惑感を楽しめるか否かという結論になった気がします。
皆さん、お疲れさまでした。
次に会員のオススメ本や今後読んでみたい本の情報交換会となりました。
・アン ウォームズリー著「プリズン ・ブック・クラブ」
筆者がボランティアでカナダの刑務所内での読書会を手伝ったお話。受刑者が様々な本を読み、それぞれの感想を抱く。
書中で紹介されている本もおもしろいらしく、話題となっていました。
福井読書会でも取り上げたい一冊です。
・原田マハ著「デトロイト美術館の奇跡」
ノンフィクション。2013年の財政難のデトロイトにあってデトロイト美術館の美術品も他人事ではなかった。
市民の暮らしと過去の遺産。どちらを守るか、全米を巻き込んだ論争に発展していく。
「最後感動します!」と紹介者は教えてくれました。
・重松清著「とんび」
昭和37年、28歳の「ヤスさん」に長男「アキラ」が誕生した 。その幸福も突然の悲劇で打ち砕かれる。不器用な男親が素直な息子と向き合う長編小説。
読書会の男性陣は絶対泣ける!と紹介者からのお墨付きの本。
・宮下奈都著「静かな雨」
宮下奈都さんのサイン会があったじっぷじっぷで買った本。
短期の記憶障がある女性に恋した男の話。
・道尾秀介著「片目の猿」
叙述トリックが秀逸、最近注目の作家
・白倉由美/伊島薫著「ロリータの温度」
多重人格サイコ関連書籍。写真と短編から成る、ロリータ℃、6回死んだ少女、6人の少女の儚い話。
写真は平野綾。ワンショットだけ沢尻エリカが写ってる?
・川島小鳥写真集
創作の森で写真展を行っていたそうです。
装丁を手がけた祖父江慎さんとのトークショーもあったようで、写真集のかわいい女の子は必見。
・京極夏彦著「どすこい(仮)」集英社
表紙のぬめり感を味わっていただきたい。
装丁は祖父江慎
ちょうどここで時間となり、二時間の読書会がお開きとなりました。参加された皆さん、お疲れさまでした。
次回二十一回読書会でまたお会いしましょう。
次の課題図書は、江戸川乱歩著「人間椅子」です。