アーティスト・イン・レジデンス(Artist in Residence, 以下、AIR)は、国内外のアーティストがさまざまな場所に滞在し、活動する事業の名称です。
世界中のあらゆる場 所で行われている AIR は 1990年頃から日本でも注目され 始め、地方自治体やNPO、美術館など多様な団体の主催で実施されます。
茨城県では、世界的にも有名な“アーカス プロジェクト”が守谷市で1994年にスタートしています。 (1991 年に東京藝術大学取手キャンパスが新設した際に構 想がスタートしたプロジェクト。前年1990年には、現代芸術の複合文化施設である水戸芸術館が開館されるなど、早くから芸術文化の育つ土壌があったことがわかる。)
AIRは、アーティストがいつもとは違う場所で過ごし、非日常の中で考えを巡らしながら、自身の研究に没頭できる空間を提供することを目的としています。展覧会や芸術祭などのように、作品の制作や発表を直接的な目的としていないとこ ろが、AIR の特徴でもあります。
アーティストにとって、 その先の活動が発展するためのきっかけや土台となるのが AIR です。
もちろんアーティスト側の変化だけでなく、千 差万別な背景と考えを持つ彼らと交流することで、受け入 れ側にも大小さまざまな変化が起こることが見込まれます。
袋田病院の AIR は、2019年からスタートしました。オランダで20年以上にわたり、精神科医療と社会との関 性をアートで問い直す活動をしている団体と共に運営しています。
オランダから来たアーティストは約8週間 、院内のスタジオで過ごします。
アートは単体で存在することはなく、多様な視点を必要とする場にあらわれます。 文化や思想の異なるアーティストと関わると、それまで の“普通”が覆され、物事の捉え方が柔軟に変化することもあります。
未知の表現や言葉にぶつかることで、そ れぞれの違いを認め合い、人の数だけある答えの楽しみ方に気づくかもしれません。
袋田病院では、アートの思考や AIR の仕組みを院内の システムに組み込むことで、 凝り固まりがちな価値観を揺さぶりながら、精神科医療のあり方を常に更新し進化 し続けています。AIRを含めたアート事業では、それまであった先入観を問い直し、新たな意義を議論する場がつくられ続けることが期待されます。
2021 11 袋田病院 AIR
2019 年秋、袋田病院 AIR に招聘されたアーティスト、 ニナ・グロックナーと宮地 幸(みやち さち)の活動記録です。2 人のアーティストは、オランダから来日し、大子町が運営するレジデンス施設 “DAIR"に滞在しながら、 袋田病院内に設置されたスタジオで活動を行いました。
ニナとさちの2人とは、その後も交流が続いています。
2020年、2021年は COVID-19 の流行により、オランダからアーティストがくることは難しく、来日自体は中止となりました。オンラインを活用し、交流会や勉強会 を実施するなど、別のカタチで事業を継続しています。
※パネル画像を撮影したので不鮮明になりました。ご容赦願います。
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