先日たまたま目にした地元の新聞記事(沖縄タイムス4/19)の一覧で、かつてこの国で合法的に行なわれていた「座敷牢」についてのシンポジウムと写真展が沖縄県立美術館で開催された情報を知りました。
記事によると展示会場(県精神福祉連合会主催)では、沖縄県立芸術大学のデザイン科の学生達によって、実際に県内にあった座敷牢を再現して作成された実寸大レプリカの展示がされたとありました。
思い返せば、昨年 . . . 本文を読む
院内誌「輝」より
高齢化が加速している今
私たちの病棟でも、認知症の方を看護させて頂くことが多くなってきました。
私は幼少の頃祖父母に育てられたので、時に祖父母の面影に重なる場面も少なくありません。
つい先日の夜勤時も強い不穏状態の方が
薬の副作用もあってか、食事をしっかり摂っても空腹を訴え続けさほど眠らずに食べ物の要求
深夜からついに朝まで大声を出し
ナースステイション内に水を投げ入れ
病棟内 . . . 本文を読む
オランダの精神科医ウィルコ・タウネブライヤー氏の来院
少し前になりますが3月3日、ウィルコ・タウネブライヤー氏を袋田病院にお招きすることが出来ました。
ウィルコ氏はアムステルダム市公共健康局メンタルヘルス部にて医療長として精力的に活動しているオランダの精神科医です。
東京での公演会の為に来日し、日本の精神科医療の現場を見学したいという熱意のもと、都内からトンボ返りのご来訪でした。
ウィルコ氏 . . . 本文を読む
12月号より
「病院を地域から孤立させないこと。地域の人々が病気でなくても気軽に立ち寄れる場所にしたい。」
英国チェルシーには、元々地域にあった幾つかの古い病院を統合して1993年に大改革を行い、立て直されたウエストミンスター病院という施設があります。
冒頭の言葉はこの病院の専属アートディレクターであるスーザンロバート女史の言葉です。
この病院には近隣のビジネスマンが昼食を食べにカフェ . . . 本文を読む
10月号より
創作活動を通した社会参加のかたち
少し前になりますが、今年の3月に行われた浅川の『ささら祭』を前にDCメンバーであるK氏の版画作品が浅川の熊野神社に奉納(展示)されました。
私自身最近まで知りませんでしたが、ささら祭は江戸時代から浅川で続く20年に1度の伝統的な祭礼とされています。
熊野神社とは「ささら」の継承地であり、浅川では古くから地域に根付いている由緒ある神社です。
今 . . . 本文を読む
10月号より
不思議な夢
デイケア・K.H
昨年五月に入職させて頂き、はや一年が過ぎました。
初めは、医療相談部門でワーカーの仕事を学びながら、病棟で患者さんの話を聴かせていただいたり、記録を読んで、病気に至るまでの経緯や環境、病状など多くのことを勉強させていただきました。
私は精神科病院で仕事をするのは初めてで、3ヶ月ほど経つと、何だか胸がいっぱいになってしまいました。
深い苦しみや悲しみを . . . 本文を読む
3月号より
創作活動の可能性。Y氏の半生を通して
既にご周知のことと思いますが、先月から新棟外来の自販機のある個室でデイケアメンバーであるY氏の個展を行っております。
Y氏といえばその昔、快楽に身を委ね、身も心もボロボロになった多難な人生を歩んできた患者さんです。
そんなY氏がデイケアで、ステンドグラスに出会ってから、かれこれもう10年近くになりますが、今ではそういった誘惑や苦難を見事に乗り . . . 本文を読む
1月・2月号より
生涯の殆どを自室に閉じこもり、自身の誇大妄想を小説や絵として描き、表現し続けた男の物語を少しだけ紹介します。
男の名はヘンリー・ダーガー。
彼は19才から長編小説を執筆し続け、死の直前の81才までの60年余りの間、その作品を誰に見せる訳でもなく創作し続けていました。
日中は施設の清掃員として働き、生涯独身のまま、自室で60年以上も続けたルーティンは、もはや創作活動という月並みの . . . 本文を読む
12月号より
皆さんはニューディール政策という言葉を聞いたことがありますか。
1930年代の世界恐慌の際、当時の米国大統領ルーズベルトが打ち出した政策です。
この政策は、当時起っていたどん底の経済不況に対する起爆剤として、新たな生産活動を促す為に行われた大規模な公共事業として知られています。
公共事業とは本来、道路や鉄道や建築工事等を行っていくものですが、米国では、別名でこれを芸術文化政策と . . . 本文を読む
11月号より
寄り添う事の難しさ
訪問看護を始めて12年、高齢化は着実に進んでいる。
年齢に伴う変化は、ケースを通してやがて訪れる自分の老後を考えさせられる。
その思いは、年齢に比例して増して来た。
できていた事ができなくなる不安。
覚えられた事が覚えられなくなる失望感。
諦める事の多い中でその人らしく、その人の生き方に寄り添う事は、その人の生きて来た人生(歴史)そのものを肯定する事に繋がる。
. . . 本文を読む
輝10月号より
“何故”を考える。アートフェスタの動機と意義について。
僕は2年程前の《輝》のこの造形便りにアートフェスタを何故行うのか?
という議案について少し書いたことがあります。
大まかな流れの中で、誰が、いつ、どこでアートフェスタを行うのか、というのは会議の中で毎年自然に決まっていきます。
しかしそれぞれの部署が企画を練りながら進めていく中で行き詰まるのが、what(何を) how t . . . 本文を読む
7月号より
「もし絵を描かなければ私はここまで生きられなかっただろう。」
現代日本に生きる巨匠の1人、草間弥生は自らの生涯をそう語っています。
強迫神経症を煩い、幼い頃から自分が他人と違う感覚を持っている事に気付き始め、その葛藤を抱えながら彼女は制作を続けて来ました。
幼少時から見えている特殊な幻覚体験。視界に映る丸い斑点(ぶつぶつ)が自分に襲いかかり、見えている世界が全て斑点で埋め尽くされ . . . 本文を読む
今月より院内誌の「輝」からも、セレクトして更新することになりました。
画像の下部に拡大した本文があります。
7月号より
6月26日(金曜日)に毎年の恒例行事として行っている、“さなぶり”を行いました。
さなぶりは、「早苗(さなえ)振る舞い」が「さなぶり」になったと言われ、漢字も、早苗の御馳走(おもてなし)を意味する早苗饗と書きます。ちなみに、田植始めに行うのを「さおり」と言うらしいので . . . 本文を読む