袋田病院ブログ

茨城県大子町にある精神科・直志会袋田病院のブログです。

造形教室便り ~院内誌「輝」5月号より~

2017年06月20日 15時37分24秒 | 院内誌 「輝」 より
オランダの精神科医ウィルコ・タウネブライヤー氏の来院



少し前になりますが3月3日、ウィルコ・タウネブライヤー氏を袋田病院にお招きすることが出来ました。
ウィルコ氏はアムステルダム市公共健康局メンタルヘルス部にて医療長として精力的に活動しているオランダの精神科医です。
東京での公演会の為に来日し、日本の精神科医療の現場を見学したいという熱意のもと、都内からトンボ返りのご来訪でした。
ウィルコ氏の活動は多岐に渡っていますが、中でも彼が力を入れて取り組んでいる事業の一つに精神科施設で行なうアーティスト・イン・レジデンス(以下AIR)があります。
AIRとは期間限定(3ヶ月程度)で国内外のアーティストを招聘し、施設内の特設アトリエにて滞在制作を推進するプログラムです。
彼はその主催者として1998年より、オランダとNYでAIRプログラムを立ち上げ、アーティストの現地制作を通して患者さんとの交流を促すことによって、患者さんの様々な興味や可能性を引き出していく為の仕組み造りを継続的に行なっています。
この度は彼に是非とも私達の法人の活動をご覧頂き、院長をご紹介したいという私自身の思いもありました。



〝アート〟という媒体を通して私達は如何にしてその人間性を耕し、より豊かなものにしていけるのか。
都内から大子にご案内する際の車内では、そういったテーマを基に、お互いの意見や考えをシェアすることが出来た貴重な時間になりました。
彼等も私達と同様の多くの課題を抱えていますが、そこでは私達とは少し違った視点からのアプローチが見えてくるのです。
中でも私が彼等の活動の中で取り分け印象的だったのは、AIRの過程で、心理学やアートを専攻する学生を巻き込みながら、現地にてワークショップやディスカッションしていくという、何ともユニークなプログラムの実践です。
それは患者や作品を医学的な視点で分析や批評していく類いのものでなく、表現活動を通して「ヒト」や、その「精神活動」の本質的な在り方を問い、自由に哲学し、議論する為のものだと述べています。



 更に彼はこう続けました。
「アートという見地から、患者も我々と同様の人間としての側面を導き出すことができるのではないか。そして患者が制作に携わることによって患者の出来ることが顕在化されてくる。」
私達袋田病院のアートフェスタは、アートを通して患者や支援者の垣根を超えていく試みです。
これらの言葉は、患者も支援者(院長を含め)もアートフェスタの二日間においては、表現者として同じ土俵で私達が“それ”を体現している (他では観られない実践)ことに対して、述べられた彼からの共感と応援のメッセージだったのではないでしょうか。
デイケア・ホロス 上原




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