私のブログにお越しいただいてありがとうございます。新型コロナウイルスによってお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、どうか、みなさまとご家族、関係者の方がご健康であっていただければと思っております。1日でも早く流行が終息の方向に向かうことを願っております。
我が家の「ごちそう・ウイーク(GW)」番外編です。飲むものくらいは、「自粛せずに自由に飲ませなさい」というものですが、私は15年くらい前にお酒を辞めて、今はお酒を飲みません。
これは、長野県北安曇郡池田町にある大雪渓酒造株式会社の「DAISEKKEI」です。
インターネット上では2000円以上の価格で売られているのを見かけますが、歩いていける近くのスーパーで1870円(税込み)で売られていました。
1898年の創業以来、美しい自然に恵まれた北アルプスの麓の下で地酒造りを続けてきています。仕込み水に使用している水は、約100年前に北アルプスに降り積もった伏流水を井戸で汲み上げているそうです。その「雪解け水のように清冽な、素直な飲み口の酒を醸したい」という想いで、、美しく連なる白馬大雪渓・大自然への畏敬の念を込めて「大雪渓」という名をつけたとのことです。
さて、現在、新型コロナウィルス拡大から医療機関等においても消毒用エタノールが不足しています。
そのような状況の中で2020年4月10 日付けで厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う高濃度エタノール製品の使用」について、酒類製造業者においても高濃度エタノール製品を消毒用エタノールの代替品として製造することを許可しました。
基本的に酒類を製造するためには該当する酒類製造免許(原料用アルコール、スピリッツ、リキュールなど)が必要です。不足であるならば、大手酒造メーカーが「大量生産すればいい」と単純に考えてしまいますが、そう簡単には事は運びません。
厚生労働省において、消毒用エタノールの要件であるアルコール度数は70%~83%となっています。消防法(「火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資すること」を目的とする法律)において危険物となるのは重量アルコールで60%以上のものとなります。すなわち容量アルコールの67%以上のものは危険物に該当してしまいます。
そうなると防爆仕様のポンプや耐火設備が必要で通常の製造工程では不可能となります。つまり、高濃度アルコール製造のためだけに防爆仕様とすることはコスト的、時間的にも緊急事態に対応できないのが現実です。よって、現状は一日あたり危険物に該当しない指定数量400リットルの5分の1未満の79リットルの製造しかできない状態なのです。
また、できたものを輸送することが難しいです。現在、重量アルコール60%を超える度数の消毒液を大量配送できる配送業者は限られています。つまり、製品ができてもそれを必要とするところに届けることが難しいのです。
これらは安全性にもかかわることですから、簡単には規制緩和は難しいでしょう。一方で暫定的かつ緊急で規制緩和されたこともあります。
飲用アルコールには酒税がかかっています。酒税は、お酒の種類、原料や製造方法などで異なり、ビールやチューハイなどの「発泡性酒類」、日本酒やワインの「醸造酒類」、焼酎やスピリッツやウイスキー、ブランデーの「蒸留酒類」、合成清酒やみりんなどの「混成酒類」の4つに分けて基本の税率を定めています。このうち、高濃度エタノール製品に多い「蒸留酒類」はアルコール度数に応じて税率が高くなる「度数課税」になっているのです。
蒸留酒類のうち、ウイスキー、ブランデー、スピリッツの酒税はアルコール1リットルあたり1度について10円であり、高濃度であればあるほど高額な酒税がかかります。たとえば、70度で300ミリリットルの場合、210円の酒税、77度で500ミリリットルで385 円の酒税です。
また、消毒用に代替可能ということになりましたが、高濃度エタノール製品は効果、効能を表記することができず、あくまで飲用としての販売しかできませんでした。
しかし、国税庁は医療機関などが購入しやすくするため、5月1日から出荷する分を対象に、容器のラベルに「飲用不可」「高濃度エタノール製品」と表示することや医療機関から要請があった場合には、優先して提供することなどの要件に対応できれば酒税がかからないようにしました。
ただし、税務署の承認を受ける必要があることと、厚生労働省が、臨時・特例的な対応として「高濃度エタノール製品」の取り扱いを定めている間に限るとしていますが、これはホームランとまでは行かないでしょうけど、タイムリー2ベースヒットくらいのことだと思います。
一方で酒税が課されないことから、早い話が「お酒ではない」ということですので、お酒の販売免許を持たず、高額転売を繰り返した事業者や個人に対し、酒税法違反を問えなくなってしまいますので、要件を明確にしたのです。
・厚労省の取り扱いにしたがって、手指消毒用エタノールの代替品として使用されるものであること
・製造、販売に関して、都道府県の衛生主管部と市町村の消防本部に相談し、指示に従うこと
・容器に「飲用不可」の表示や、管理番号を付すこと
を挙げています。
また、詰め替えや、表示の書き換えをするなどして、酒として転売する場合は、酒税法違反に該当し、刑罰の適用対象となるとのことです。
さて、私たちが一番注意しなければならないことがあります。
これから日本は熱い夏を迎えます。消毒用にアルコールを車内に装備してる人が増えていくと思いますが、アルコールは揮発性なので密閉容器だと破裂する可能性がありますし、もちろん可燃性であることを忘れてはいけません。
濃度の低いアルコールでも温度が上がれば燃えますし、濃度が高いものは20℃以上になると燃えやすくなります。夏に車内放置するのは危険だと思いますので、取り扱いには充分気を付けなければならないでしょう。
また、消毒用アルコールを車内で使った直後に飲酒運転検問されると、検査機器が陽性になる可能性があるそうです。消毒のために使ったもので、飲酒運転で捕まってしまっては元も子もありませんので、こちらもくれぐれも気をつけた方がいいでしょう。
さらに、もう一つ。消毒用アルコールとお酒の成分は、どちらもおおむねエタノールです。つまり、消毒用アルコールもお酒も、おおむね同じなのです。扱いが「消毒用」になるか「お酒」になるかというのは、製造・販売者が酒類の製造や販売に関する免許を持っているか、医薬品や医薬部外品の製造や販売に関する免許や設備を持っているかによって変わるのです。つまり法律的な規制によるものではあります。
ただし、消毒用には、「イソプロパノール」や「ベンゼン」などが入っている場合がありますので、絶対に飲まないようにしなければなりません。
「Tomorrow is another day」
映画「風と共に去りぬ」の最後のシーンのセリフです。これは、「明日は今日とは別の日」という意味です。
同じように、「昨日は今日とは別の日」です。昨日よりも今日をいい日にするために、そして明日のために大切に過ごしましょう。
そして、また、明日、ここで、お会いしましょう。