片手打ちと言えばマンガ「ドカベン」に出てくる東海高校の雲竜です。あれは本当に片手でバットを持っているのです。
さて、もう一人の片手打ちの選手と言えば昨シーズン年間本塁打のプロ野球記録を更新し、MVP受賞の東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン選手。
今年は、まず、ホームラン以外でのニュースでスタートしていますが。
バレンティンは「練習で意識して身につけたものじゃない。打撃の自然な流れで出るもの」と言っています。
杉村二軍打撃コーチは「元中日のウッズやDeNAのブランコら、今までの長距離砲は内角に穴があり、バットに当てても邪飛になっていた。バレンティンはそのコースの球を、左翼ポール内側に入れる技術がある」と分析しているとのこと。
野球の生体力学を専門とする金沢星稜大の島田一志准教授はバレンティン選手のフリーバッティングの様子をハイスピードカメラで撮影し分析たそうです。
その中で「インパクトの0.017秒後、パワーヒッターの日本人選手は左の手首が返っているが、バレンティンはまだフェアグラウンド方向にバットが動いている。昨季よりも早い段階でバットから右手が離れるようになっただ」と解説します。
つまり、早めに右手を離せばバットをこねないで済むため、より広角に打てるとうことです。
ただ、左手一本で打つのは両手よりパワーは落ちます。が、バレンティン選手は右手より左手の握力が10kgも強いと言う。これだけではないのでしょうけど、だから力負けしないそうです。
また、中村達昭コンディショニング・コーディネーターは「腸腰筋の強さ」も身体の強さだと言います。腸腰筋とは腹筋の深層部にあるインナーマッスル。腰椎と大腿骨を結び股関節の動きに関わるものです。それがバレンティンは人の3倍太いそうです。
腸腰筋はバッティングにおいてインパクトの後にボールを押し込む上で、重要な役割を果たすとのこと。
下半身からの力を腸腰筋に伝え、左脇を締めてコンパクトに打つ。
基本に沿ったバッティングスタイル。ただし、日本人がマネをしてホームランになるかは“排気量”次第。
でも、強い打球を打つことには繋がるそうです。
何事も模倣からですが、それに倣う身体作りはしないといけません。