人気野球マンガ「ドカベン」などを描いてきた、マンガ家・水島新司さんが2020年12月1日付けで引退しました。このニュースに対して、プロ野球選手など、「ドカベン」などの水島さんの野球マンガで少年に影響を受けた方から残念なこととともに、感謝の声が上がっていました。
私も、ちょうど「ドカベン」とともに野球をやっていた世代の一人です(引退は先でしたが)。
「ドカベン」は1972年に「週刊少年チャンピオン(秋田書店)」18号から連載開始し、1981年16号まで連載され、その間、フジテレビ系列で1976年10月6日~1979年12月26日にアニメ版が放送されています。その後、続編として、「大甲子園」(1983~1987年)、「プロ野球編」(1995~2003年)、「スーパースターズ編」(2004~2012年)、「ドリームトーナメント編」(2012~2018年)が掲載され、単行本でのシリーズ累計は205巻まで発売されています。
ちなみに、「ドカベン」の中には「ドカベン」といわれた選手が山田太郎のほかに、もう1人います。山田太郎と同じ明訓高のある神奈川県・横浜学院高のエース・土門剛介です。
当時、土門剛介の剛球を捕れるキャッチャーとして、横浜学院高に転校するはずの微笑三太郎選手が、「ドカベン」間違いで明訓高に転校することになり、その後、微笑三太郎は外野にコンバートして「明訓五人衆」の一人として活躍したというエピソードがあります。
1977年には東映から実写版として映画化(監督:鈴木則文さん)、山田太郎:橋本三智弘さん、岩鬼正美:高品正広さん、殿馬一人:川谷拓三さんとなっています。原作では中学時代に山田太郎が柔道をやっていましたが、高校で中学時代のエピソードの話だったことで、里中智、微笑三太郎は登場せず、高校時代のライバルの不知火守、雲竜大五郎や犬飼小次郎なども登場はしません。もちろん、南海権左もでてきません。
さて、実写化された「ドカベン(由来はご飯だけを詰めた「ドカッと大きな弁当箱」を食べていた」ですが、過去には「〇〇のドカベン」と名付けられた、「リアル・ドカベン」選手たちもいました。
■香川伸行さん
「元祖ドカベン」選手です。大阪・浪商高(現:大阪体育大学浪商高)で、牛島和彦さん(元:中日ドラゴンズほか)とバッテリーを組み1979年に第51回選抜高等学校野球大会で準優勝。同年の夏の第61回全国高等学校野球選手権大会にも出場し、準決勝で敗退するものの3試合連続ホームランを放ち、マンガの山田太郎を彷彿とさせる、「ぽっちゃり系の強打のキャッチャー」として、鮮烈な印象を与え、1979年のドラフト2位で南海ホークス(現:福岡ソフトバンクホークス)に入団しました。
ホークス入団後のプロ初打席で特大の場外ホームランを放つなど、高卒1年目でホームラン8本を記録。1983年には打率.313(規定打席未満です) ホームラン15本でベストナインに選出されたこともあり、プロ通算でホームラン78本と活躍しました。1989年のシーズン限りで引退し、その後は解説者や、マスターズリーグでは登録名「ドカベン」でプレーしましたが、2014年9月に病気で52歳という若さで急逝してしまいました。
■森田和也さん
「瀬戸内のドカベン」と呼ばれた、「ぽっちゃり系の強打のキャッチャー」です。岡山・岡山理大付高が県勢初の決勝に進出した1999年の第81回全国高等学校野球選手権大会で、「岡山のドカベン」と呼ばれた森田和也さん。
三回戦の茨城・水戸商業高戦の7回裏にレフト中段への約140mの特大ホームランを放つなど、森田さんの活躍などで準決勝の和歌山・智辯和歌山高戦で劇的なサヨナラ勝ちで決勝進出。決勝は、この大会のナンバーワンサウスポーと呼び声の高かった正田樹さん(元:日本ハムファイターズなど)擁する群馬・桐生第一高に敗れてしまいました。
大学進学後は、右ヒジの手術などもあり中退した後、現在は兵庫県尼崎市内でたこ焼き店を営んでいるそうです。
■今井康剛さん
「四国のドカベン」と呼ばれていましたが、キャッチャーではありません。高校通算ホームラン75本を放ち、「奇跡のバックホーム」といわれている、1996年の第78回全国高校野球選手権大会で愛媛県・松山商業高の全国制覇時に主将としてチームを引っ張りました。今井さんは、あの「奇跡のバックホーム」後、11回表にダメ押しとなる2点タイムリーヒットを放っています。
ただ、高校卒業後、大学に進学したものの、持病の腰痛が悪化したため野球を断念。この「奇跡のバックホーム」については、「送球は(自分の)はるか上で、振り返ったらクロスプレーだった」と答えています。
■中田亮二選手
「土佐のドカベン」といわれた、高知・明徳義塾高で主軸を担った中田亮二選手。中田選手は現在は社会人野球のJR東海でプレーしています。どちらかというと、馬淵史郎監督が命名した「ブーちゃん」という方が一般的です。第86回全国高等学校野球選手権大会で神奈川・横浜高の涌井秀章選手(現;東北楽天ゴールデンイーグルス)からホームランを含む3安打を放つなど活躍し、亜細亜大では一年生春からレギュラーを獲得し、史上14人目のリーグ戦通算100安打を達成するなど、大学日本代表でも活躍しました。
2009年のドラフト会議で中日ドラゴンズから3位指名を受けて入団し、一年目のシーズン途中から一軍入りするなどしましたが、ケガなどもあり期待された結果は残せず、2014年に戦力外通告を受けてプロ野球は引退しています。
このように「ドカベン」が連載以降、ぽっちゃり系の強打の高校球児に対して、主人公の山田太郎にあやかって「〇〇のドカベン」と呼ばれるようになりました。現在での「〇〇のダルビッシュ」や「〇〇の大谷」という感じです。
2020年のドラフトで埼玉西武ライオンズが1位指名した渡部健人選手(桐蔭横浜大)も、身体の大きい強打者で「ドカベン渡部」の愛称がついていますが、「ドカベン」を詳しく知らないそうです。
また、読売ジャイアンツの炭谷銀仁朗選手は、2006年に西武ライオンズに入団時、記者たちがドカベンの話を聞くと(山田太郎と同じキャッチャーで、実家も同じ畳屋であり、さらにドラフト1位指名でライオンズ)、「読んだことないです」とのことだったそうです。
「ドカベン」を知らない現役世代が多くなってきているのも、ひとつの時代が終わったということなのでしょうね。
■外出の際は、手洗い、咳エチケット等の感染対策や、「3つの密」の回避を心掛けましょう。
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