第67回全日本大学野球選手権大会最終日は17日、神宮球場で決勝がありました。
東北福祉大(仙台六)は一回に2点を先行し、二回表に同点に追いつかれるとその裏、3連続タイムリーで3点を奪い、継投で国際武道大打線(千葉)を抑え切り、6-2で東北福祉大が14年ぶり3度目の大学日本一に輝きました。国際武道大は初めて決勝に進んだ昨年に続く準優勝で、初優勝はなりませんでした。
国際武道大０２０００００００｜２
東北福祉大２３０００１００ｘ｜６
【東】藤川（京都外大西高）三浦（盛岡大付高）椋木（高川学園高）津森（和歌山東高）
【国】青野（市船橋高）林（銚子商高）伊藤（横浜高）吉田（旭川実高）北村（東海大相模高）
【本】深江（東北福祉大）
最高殊勲選手賞 吉田隼 （東北福祉大）
最優秀投手賞 津森宥紀（東北福祉大）18回2/3登板、2勝、防御率 0.00
首位打者賞 河合大樹（慶應義塾大）11打数 7安打 打率.636
敢闘賞 平川裕太（国際武道大）
特別賞 宮崎産業経営大
仙台六大学野球連盟の東北福祉大野球部の監督は、元西武ライオンズの大塚光二さんが2015年夏から就任しています。
過去、東北福祉大は全日本大学選手権2度優勝、明治神宮大会･大学の部5度の準優勝を誇り、多くのプロ野球選手を輩出してきた名門校です。大塚監督が就任する直前は2年連続で仙台大に春の優勝をさらわれ、4季連続全国出場を逃すなど結果を出せないでいました。大塚監督が非常勤講師として母校に戻ってきてからは、2015年の秋季リーグに優勝し、明治神宮大会･大学の部に出場するとともに、2016年から春季はリーグ戦3連覇を果たしています。
大塚監督は1986年に東北福祉大に進学。外野手として同期の佐々木主浩さん(元：横浜ベイスターズほか)らとともに全日本大学選手権2度準優勝、四年時は主将も務めました。1989年のドラフト3位で西武ライオンズに入団。1998年の日本シリーズでは当時シリーズ新の6打席連続安打。2001年に現役引退。プロ通算466試合747打数193安打、打率.258。日本ハムファイターズのコーチを経て、2015年1月に学生野球資格を取得。同4月から東北福祉大非常勤講師、7月から野球部監督に就任しています。
2017年春季リーグ戦では、審判の判定に大塚監督が猛抗議し、審判員を突いてリーグ史上初の監督退場処分を受けているほど、勝利への思いが強い監督です。
しかし、プロ入り1年目に「行方不明事件」を起こしています。インタビューが初めてということで、不安と緊張でお腹が痛くなり、すぐにトイレ行くそうです。そして、いざ取材というときに「大塚がいない」って怒られていたそうです。
引退後の解説者時代には、千葉ロッテマリーンズキャンプのために、ほかの解説者と鹿児島駅で待ち合わせてたそうですが、宮崎から電車で来るはずが、待てど暮らせど来ず、奥さんに電話しても「わからん」っていうし、スタッフに聞いても皆わからず、携帯は鳴るけど出ない、半日間、音信不通という状況があったそうです。そして、警察に捜索願を出す寸前だったそうです。
夕方5時に次の目的地に向かう時にやっと連絡が来て、何があったのか聞いたら、宮崎のホテルのベッドと壁の隙間に布団ごと落ちて挟まり、その状態で夕方まで寝ていたそうです。
そんな話も過去のこと。これからは大学日本一のチームとして、全国の大学から追われるようになります。
今年の春季リーグ戦で2季ぶり69度目の優勝を決めた東北学院大の試合後、胴上げを拒否した大塚監督。そのときは、「これ(優勝)が当たり前だから」と強気に言っていました。しかし、日本一を決めた試合後には胴上げされて、「胴上げ? 本当にうれしかった」と喜びを話していました。
まさに大学野球は戦国時代。その幕を開けた東北福祉大が再び地方の盟主として時代を作っていくのでしょうか。次は各連盟の秋季大会と明治神宮大会です。
