ついに、というか、いよいよというか。11月23日から台湾で開催される「アジアウインターベースボールリーグ(AWBL)」に参加する中日ドラゴンズ・根尾昂選手が実戦で外野手として守備に就くことになります。
これは、今秋キャンプから取り組んでいる外野守備を継続し、台湾での実戦で挑戦させるというプランです。キャンプでは英智外野守備走塁コーチの指導を受け、実戦形式の練習では外野3ポジションすべてに就いていました。
与田剛監督は根尾選手に対し、「このキャンプから外野をやってみてどうだった?という話ですね。本人もやる気でしたし、いろいろな選択肢を考えて、可能性を広げていこうという話をしました」とのことで、また、AWBLへの参加について、「高田さん(高田誠・読売ジャイアンツ二軍監督)にお任せする中で、いろいろお伝えはしようと思っています」とのことです。
2019年のプロ一年目の根尾選手は二軍戦108試合444打席に立たせています。これは二軍ではチーム最多となり、失敗を含め、実戦の中で育てていく方針を貫かれました。バッティング成績は二軍通算打率.210でしたが、9月に限れば、62打22安打で打率.355と成長していいます。確かにバッティングについては非凡なものがあると思います。高橋周平選手が数年かかったように、根尾選手もまだこれからだと思います。
ただし、肩の強さと足の速さは現時点ではプロレベルでしょう(プロだから当たり前でしょうけど)。あとは経験によって慣れることが必要で、反応力や判断力が備わればレギュラーを獲得できる可能性も高いと思います。それでも守備位置がショートでは、すぐにレギュラーに定着することは厳しいでしょう。なぜなら、現時点ではどう比較しても、シュートのレギュラーを張る京田陽太選手の守備の方が上です。京田選手の守備率(守備力を示す指標のひとつ)は.985でセ・リーグトップの数字を誇っていることもあり、たとえ、根尾選手がバッティングで京田選手を上回ったとしても、守備力がある京田選手を外して、根尾選手を起用するにはあまりにもリスクは高いです。
一方で、ドラゴンズの外野陣は選手層がまだ薄く、センターの大島洋平選手、ライトの平田良介選手がレギュラーとして定着していますが、大島選手は34歳、平田選手も30歳を超えており、後任となる若手外野手の育成が急務となっています。それと、今オフにフリーエージェント(FA)権を行使している福岡ソフトバンクホークスの福田秀平選手を獲っているように、レフトのレギュラーが固定できていない状況にあります。
という環境であるため、根尾選手については外野手であれば、早い段階でレギュラーの可能性は高いと思います。過去にはプロ入り後に内野手から外野手のコンバートで成功している選手もたくさんいることですし。
■秋山幸二(西武ライオンズ→福岡ダイエーホークス)
■田口壮(オリックスバファローズ→セントルイス・カージナルス、ほか)
■福留孝介(中日ドラゴンズ→シカゴ・カブス、ほか→阪神タイガース)
■新庄剛志(阪神タイガース→ニューヨーク・メッツ、ほか→北海道日本ハムファイターズ)
■中田翔(北海道日本ハムファイターズ)
■筒香嘉智(横浜DeNAベイスターズ)
などの選手がいます。
果たして、来シーズン以降、根尾選手は本来の能力を発揮できるかどうか。
決して期待外れで終わらないように、根尾選手には是非とも頑張ってもらいたいものです。