2022年の第104回全国高校野球選手権大会は8月22日に阪神甲子園球場で決勝が行われ、宮城・仙台育英高が8-1で山口・下関国際高を破り、初の全国制覇を果たし、これは東北勢としても初めての優勝となり、大会の幕を下ろしました。
今年の大会に臨んだ高校三年生は、高校に入学した当初から新型コロナウイルスの影響を受け続けてきた世代でした。その舞台の言葉をいくつか集めました。
■今日、試合ができたことは奇跡だった
尾崎泰輔球審:佐賀・有田工高 vs. 島根・浜田高の試合終了時に、球審が整列した選手たちに向けて
両校は大会前に新型コロナウイルスの集団感染が確認され、感染者の回復期間を設けるため、初戦を最も遅い大会第8日に設定。その結果、今大会で出場を辞退した学校はありませんでした。
■胸を張って帰れよ
尾崎泰輔球審:試合後、佐賀・有田工高の上原風雅(かんばる ふうが)選手に向けて
■甲子園で試合ができたことは誇りだ
尾崎泰輔球審:静岡・日大三島高 vs. 栃木・国学院栃木高で、敗れた日大三島高ナインに向けて
高校野球での審判のほとんどの方が一般人で会社などに勤めており、ボランティアで審判を担っています。選手が主役ではあるものの、お手本となる大人の審判からかけられる言葉というものは、阪神甲子園球場でプレーできたこととともに記憶に記憶に残るものでしょう。
そして、その球児たちが残した言葉です。
■苦しいときを乗り越えられたのは甲子園があったからです
神奈川・横浜高 玉城陽希選手
■二年生のときは甲子園に出ても観客がいなかったので、たくさんのお客さんが入っていた分、去年にない楽しさがありました
新潟・日本文理高 田中晴也選手
■高校野球生活がコロナで始まり、試合ができるかわからない状況の中で、仲間みんなで頑張ってここまで来られたと思うので、悔いはないです
三重・三重高 上山颯太選手
■沖縄大会では感じられない応援でした。甲子園という特別な場所で力以上のものが出せたので、ありがとうと伝えたいです
沖縄・興南高 禰覇盛太郎選手
■甲子園は人を成長させてくれる場所で、仲間と臨めたことが財産です。負けたことも含めて次に向けた成長に生かしていきたいです
大阪・大阪桐蔭高 松尾汐恩選手
■3年間、特に選抜を辞退してから悔しくて、苦しいこと、思いどおりに行かないことばかりでしたが、最後に高校野球で一番いい場所で試合ができて楽しかったですし、自然と笑顔が出ました
京都・京都国際高 森下瑠大選手
■療養中の選手から「しっかり自分のプレーを目いっぱいやってこい」とメッセージをもらって、TVの前のチームメートの分までプレーしました。辞退せざるをえない感じだったんですけど、関係者の方々のおかげで1試合でもやらせてもらえて感謝しかないです
岐阜・県岐阜商高 伊藤颯希選手
■入学どころか、おそらく、中学の卒業式もちゃんとできなくて。高校生活は僕たち大人が過ごした高校生活とまったく違うんです。青春というのはすごく「密」なんですが、そういうこともだめだと言われて、活動してても、どこかでストップが掛かってしまう。そんな苦しい中でも諦めないでやってくれました。それをさせてくれたのは、全国の高校球児の努力のたまもので、ただただ最後に僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校球児に拍手してください
宮城・仙台育英高 須江航監督
3年ぶりに観衆が詰めかけた阪神甲子園球場のスタンド。私も久しぶりにTVで何試合かを観ました。
声を出しての応援こそ禁止されましたが、ブラスバンドの演奏や大きな拍手で背中を押された選手たちにとって、それは子どものころから憧れてきた甲子園そのものでした。
高校野球だけが特別ではなく、今の高校生全員を含めて、世界中が新型コロナウイルスの影響を受け、社会生活やさまざまな行事などに制約がある状況が続いています。そのなかでいろいろな経験をしてきたことは、今後の人生にマイナスではないと思います。
自然に出てきた感謝の言葉を忘れず、そして、今やっていること、やってきたことに全力を傾けて力を出し切ったことに胸を張っていってほしいと願います。
今日はどのような一日になるのでしょうか。または、どのような一日を過ごされたのでしょうか。
その一日でほんの少しでも楽しいことがあれば、それを記憶にとどめるように努力しませんか。そして、それをあとで想いだすと、その日が明るくなる、それが元気の源になってくれるでしょう。
それを見つけるために、楽しいこと探しをしてみてください。昨日よりも、ほんの少しでも、いい一日でありますようにと、お祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。