昨日の明治神宮野球大会・高校の部・一回戦の日本航空石川高 vs. 日大三高。9回裏2アウト一・二塁で日本航空石川高のライト前ヒットのバックホームで本塁上のクロスプレーで二塁ランナーと激突した、日大三高・斉藤龍二選手が負傷退場して救急搬送されるプレーがありました。
なお、負傷退場した日大三高の斉藤龍二選手は慶大病院に運ばれ、右腕の外傷性打撲で全治約2週間と診断発表されました。また、痛がっていたが左胸はスライディングした二塁ランナーの左ヒザが胸を直撃していたそうです。
打撲で良かったというのも変ですが、選手生命に関わる大ケガでなかったことが幸いです。
日大三高の小倉全由監督は、斉藤選手が退場した場面について「あんなプレーは絶対にダメ。下手すりゃ死んじゃいますもん」と怒り心頭とのこと。高校日本代表を率いていた2012年のU-18ワールドカップ・米国戦で、当時、大阪桐蔭高だった森友哉選手(現; 埼玉西武ライオンズ)が相手選手のタックルまがいのホーム突入で退場に追い込まれたこともあり「日頃から絶対にダメだと徹底しておいてくれないと」と苦言を呈しました。
日本航空石川高の二塁ランナーだった選手は「ボールを見ていて、スライディングした時にはよけられなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい。相手も自分もケガをしない、安全なスライディングができるようにしたい」と猛省しています。中村隆監督も「1人の選手を傷つけてしまった。本当に申し訳なかった。おわびするしかない」と沈痛な面持ちだったそうです。
小倉監督のコメントした気持ちはよくわかります。私も以前、学童野球の試合で同様のプレーに直面したことがありましたので。厳しいこと言いますが、ケニー・オメガ選手の「Vトリガー」じゃあるまいし、フィニッシャー技じゃないのですよね。二塁ランナーもボールを見ていたのなら、キャッチャーが捕球したのはわかったと思うのですし、防げたプレーだったとも思えますが。
今年の夏の甲子園で大阪桐蔭高 vs. 仙台育英高で大阪桐蔭高のファーストと仙台育英高のバッターランナーに足が交錯してケガしたプレーがありました。
野球でクロスプレーと言うときがありますが、これはランナーと野手が接近して行われるプレーのことを言います。英語では "close play" と綴られ、アウト / セーフなどの判定の難しい・きわどいプレーについて一般的に用いられます。ただ、選手同士の接触を伴うような激しいプレーを指してこう呼ばれることが多いです。"close play" を "cross play(交錯するプレー)" としている用例は間違いだそうですが、あながち誤りだとは言い切れないでしょう。
本来、野球は米国で生まれた四大スポーツの中で唯一、「ボディコンタクト(接触プレー)」がないスポーツです。アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケーには「ボールを巡る格闘技」などと呼ばれるだけあって、選手間での激しいぶつかり合いも試合中の面白さになります。ですが、野球に限ってはスライディングなどの一部のプレーを除けば相手チームの選手と接触するプレーはほとんどないものですから。
こういうプレーがあると、せっかくいい試合であったとしても、勝敗を超えた感動や充実感は消え失せてしまい、後味の悪さだけが印象的に残ってしまいます。スポーツゲームのさわやかさは演出するものではありませんが、実直でひたむきな態度こそがマナーと共感の原点何だと思います。