「先頭バッターのフォアボールは点が入る」という野球の格言(?)を良く聞きます。
とは言うものの、野球を観ている側にすると正直、本当かどうか判りません。フォアボールでもヒットでも同じではないかと思うこともあります。フォアボールでも、ヒットでもランナーが出るのは同じものです。守備側を応援している立場からしてみれば、球数多く投げてフォアボールよりも、1球投げてヒットの方が、同じランナーを出すよりも効率的なものです。
ただ、フォアボールは如何にも守備側の雰囲気を一発で悪くする傾向が伺えます。点が入る、入らないに関わらず、先頭バッターのフォアボールを嫌がるのは、このことを指していると思います。
ちなみに、星野仙一・東北楽天ゴールデンイーグルスSAが阪神タイガースの監督時代に「先頭バッターのフォアボールは点が入るんやぞ! 野球100年の歴史が証明している」と言い続けていました。実際に中日監督時代には先頭バッターのフォアボールに球界初の罰金を科したという話もあり、もしかすると、このことから、この格言が生まれたのかも知れません。
さて、お隣の国韓国プロ野球では「初回フォアボール」でプロ野球元・現職選手の7人とブローカー14人の計21人が八百長疑惑で警察に検挙されると言う事件が明るみに出ました。
立件されたピッチャー陣は「1回最初はボール。最初のバッターにフォアボール」を投げる手法で八百長に加担し、自身も勝負に巨額の金額を投じていたそうです。ピッチャー陣はフォアボールを操作し、あたかも体が解れていないという演技を見せて、監督や観衆の目を欺いていたそうです。
韓国ではプロスポーツ界の八百長が続いており、今回はチームによる隠蔽疑惑まであり「プロ野球史上最大の事件」とメディアは報じています。京畿北部地方警察庁はNCの幹部2人が所属選手の八百長を把握していながら隠蔽し、他チームにトレードしたとして、特定経済犯罪加重処罰法の詐欺容疑で取り調べたとのことです。幹部はイメージが悪化すると考えて韓国野球委員会(KBO)に報告せず、「コーチとの仲が悪い」との噂をわざと流してトレードを画策。別のチームが金銭トレードで迎え入れ、NCは10億ウォンを手にしたそうです。
この八百長による先頭バッターへのフォアボールが得点に繋がったかどうかは判りません。
ちなみに、八百長とは一切関係ない阪神タイガースの今シーズンのデーターがあります。
〈先頭バッター フォアボールで出塁〉
阪神 38回中 11回得点 得点合計13点
相手 36回中 11回得点 得点合計21点
〈先頭バッター ヒットで出塁〉
阪神 88回中 29回得点 得点合計50点
相手 104回中 41回得点 得点合計84点
タイガースのランナーがフォアボールで出て、得点する確率は.289、ヒットで出た場合は.329。
相手チームのランナーを歩かせた場合に得点される確率は.305、ヒットを許した場合は.394となります。
チーム能力もあり一概には言えませんが、フォアボールよりもヒットされてランナーを出した、あるいはヒットで出た場合の方が得点の確率は多くなっており、「先頭バッターにはヒットを打たれるな」となりますが、これについて藤波選手は「それはフォアボールの方がダメだと思います。ヒットは好打者でも3回に1回しか出ないものですよね。前に打球が飛べば守備陣のファインプレーが出るかもしれないし、アウトにできる可能性が増えます。フォアボールでランナーを出すのは、その可能性を自分で放棄していることなります」と言っています。
つまり、確率以前にフォアボールは、ピッチャーの闘争心を含む試合の流れに関わってくるということでしょう。