「(セ・リーグも)DH(指名打者)制は使うべきだろうね。相当、差をつけられている感じがある。何をもって(セは)立ち止まっているのか」
29年ぶり2度目の4連敗のストレート負けで日本シリーズを終了した読売ジャイアンツ・原辰徳監督がシーズン終了のオーナー報告を行った(10月24日)際に、待ち構えていた記者団とのやり取りの中で出たのが、「セ・リーグもDH制を使うべきだろうね。相当な差をつけられている感じが…」と、いうコメントです(この記事を書いていたのが11月7日でした。公開が遅くなってしまいました)。
その後、あまり話題にはなってはいませんし、この原監督の発言に、日本野球機構(NPB)は今のところリアクションは起こしていませんが、球界に大きな影響力のある球団の監督の発言だけに、セントラル・リーグ(セ・リーグ)各球団や連盟には、今後、動きがあるかも知れません。
今年の日本シリーズを終えて、セ・リーグとパシフィック・リーグ(パ・リーグ)の勝利回数は同じ35回になりました。勝利数としては、パ・リーグ205勝、セ・リーグ202勝とパ・リーグが勝ち越しました。
日本シリーズで、現行のパ・リーグ本拠地のみでDH制が採用されるようになった1987年以降では、パ・リーグが日本一21度、セ・リーグが12度。ここ10年ではパ・リーグが日本一9度と大きく勝ち越し、7年連続優勝となっています。
また、2005年からスタートしたセ・パ交流戦では15シーズン中、パ・リーグの球団が12度1位になり、現在10年連続でパ・リーグが勝ち越し中です。セ・リーグの各球団が苦戦するのが風物詩となっています。
これだけ一方的な結果ともなれば、セ・リーグとしても何かしらの対策を考えなければならないということでの、DH制導入のコメントになったのでしょう。
ただ、これは原監督の単なる思いつき(かも知れませんが)で言っていることではなく、今年の夏、高校野球の話題になった時にもDH制の導入について、「高校野球って教育的な側面もあるけど、レギュラーが9人から10人に増えるでしょ」と、コメントしていたことがありました。
例えばバッティングには自信があるが、守備は上手くないとか、守備は上手いが、バッティングに難があるというような、一芸に秀でた選手へのチャンス拡大にもつながると思いますし、それが野球人口の拡大にもつながるとも思います。そして、それは、学童野球、少年野球、高校野球、大学野球、社会人野球でも統一ルールとしなければならないでしょうけど。
現在、ワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)や、2020年の東京オリンピックなどの国際試合では、DH制が導入されています。パ・リーグへの対抗策が動機ではあるのもの、恥も外聞もなく、「国際化」の名の下でセ・リーグが導入することは何ら問題はないものだと考えます。
でも、DH制については、セ・リーグの方がピッチャーの所に野手が入ればいいだけですから、やりやすいはずです。パ・リーグは本来、ピッチャーは打席に入らないのですから、セ・リーグの本拠地でやる難しさがあるはずなのです。それでも、パ・リーグが強いのはピッチャーの質なのでしょう。セ・リーグでは、僅差の試合で負けていて5回2アウト二塁などでチャンスにピッチャーに打席が回ると、代打が送られてピッチャーは降板となる場合があります。それに対してパ・リーグは、ピッチャーが打席に立たないから交代はありません。ピッチャーは続投することになります。5回とかの勝利の権利がかかる、一番苦しくて踏ん張らなきゃいけないときにセ・リーグは交代、パ・リーグは続投となると必然的にピッチャーの質に差がついてしまうのだと思います。
もちろん、すぐにセ・リーグにDH制が導入されるとは思えません。まずは、ホークスのように選手層を厚くしていきませんと、シーズン優勝することすらできません。
それ以前に、我らが中日ドラゴンズは、ホークスの前に完敗したジャイアンツがいるセ・リーグで5位でした。まずはドラゴンズのAクラス浮上が最重要課題であることは言うまでもないことでしょう。
に、しても、最近の原監督の発言。もしかして、張本勲さんの後釜の椅子を狙ってのことではないかと、思われるくらいです。