水島新司さんの野球マンガ「ドカベン」シリーズが、28日発売の連載誌「週刊少年チャンピオン」31号で完結し、約46年の歴史に幕を下ろすことが、明らかになりました。
46年ですから、私の人生の80%以上を占める歴史です。最近はほとんど読んでいませんでしたが、ドカベンとともに育ってきたようなものです。
ほとんど説明する必要はないと思いますが、「ドカベン」は神奈川県にある架空の明訓高校野球部の山田太郎、岩鬼正美、殿馬一人、里中智、微笑三太郎や土井垣将らが春の選抜高校野球大会や夏の全国高校野球選手権大会の優勝を目指す姿を描いた野球マンガで、1972年に連載がスタートし、全部で5編に分かれています。
ドカベン / 1972~1981年 / 全48巻
大甲子園 / 1983~1987年 / 全25巻
プロ野球編 / 1995~2004年 / 全52巻
スーパースターズ編 / 2004~2012年 / 全45巻
ドリームトーナメント編 / 2012~2018年 / 既刊32巻(2018年6月28日現在)
山田が明訓高校に入学した年の夏の甲子園大会は、1974年の「第56回全国高等学校野球選手権大会」でした(アニメ版では、1977年の「第59回全国高等学校野球選手権大会」)。ただし、以降の大会では第何回かは書かれていません。
私にとってドカベンといえば、一年時からエース、さらに一年秋より選手兼任監督としてチームをけん引した、白新高校・不知火守との名勝負です。
一年・夏:県大会の初戦で対戦。白新高が序盤から優位に試合を進めたものの、里中、山田、岩鬼、殿馬が試合に出場すると次第に明訓高に主導権を奪われ、最終回に明訓高が逆転で7-6で勝利。
一年・秋:県大会で不知火が選手兼任監督に就任、角膜移植手術を成功させた、ベストコンディションで明訓高と対戦しますが、9回裏に山田がサヨナラ満塁ホームランを打って9-5で勝利。
二年・夏:県大会で不知火が一回戦と二回戦で2試合連続の完全試合を達成し、三回戦で明訓高と対戦します。この試合でも不知火は9回終了までパーフェクトピッチングを展開して明訓打線を抑え込みますが、白新打線も里中にノーヒットに抑えられてしまいます。両校無得点で迎えた延長10回表に、岩鬼のデッドボールによる出塁と殿馬の初ヒットをきっかけとしてリズムを崩し、あの有名な「ルールブックの盲点の1点」を許して、1-0で明訓高が勝ちました。
二年・秋:県大会の準決勝で対戦。不知火の速球と超スローボールのコンビネーション、剛球フォークが冴えて、山田を4打席連続三振と抑え込むが、9回表に不知火が突如乱れて満塁のピンチを招き、岩鬼に逆転満塁ホームランで5-2で明訓高の勝利。
三年・夏:県大会準決勝で白新高は小林真司のいた東郷学園高を完封して決勝に進出し、明訓高と対戦しました。ここまで、不知火は「前年秋の大会で明訓に敗れて以来、完全試合を2度、225イニングス連続無失点を達成している」と紹介されており、里中・不知火の投げ合いで投手戦となり、延長10回に不知火が岩鬼に三塁打を許し、2アウトは取ったものの四番山田の内野安打で岩鬼を生還し、ここでも明訓高が1-0でサヨナラ勝ちとなっています。
このように、不知火は山田のいる明訓高と5度にわたって対戦していますが、すべて敗れており、甲子園出場はついに果たせませんでした。
ただ、謎なのが、二年・春と三年・春の県大会は描かれていないのです。秋季大会は県大会と関東大会とが2年間キチンと描かれていますが、春季大会は描かれるどころか、結果すら書かれていないのです。描いちゃいけないような何かがあったとは思えませんが、おそらく秋季大会は翌年の選抜大会につながるものであり、春季は直接夏の甲子園にはつながらないからだと思われますので。
「ドカベン」「大甲子園」「プロ野球編」「スーパースターズ編」「ドリームトーナメント編」の5編で発行された単行本は計203巻、別に傑作選が7巻もあり、これは2016年に少年ジャンプでの週刊連載を終えた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の200巻を超えた、コミックス史上最多となります。
ちなみに、連載の始まった1972年はプロ野球では読売ジャイアンツがリーグ戦8連覇、日本シリーズ8連覇と球団最後となる栄冠直前の燃え尽き直前であり、高校野球では選抜大会・日大櫻丘高(東京)、選手権大会優勝・津久見高(大分県)でした。社会的には、グアム島で横井庄一さんが見つかり、札幌オリンピックが開かれ、あさま山荘事件があり、日本列島改造論の田中角栄首相誕生と日中国交正常化、 永谷園の「すし太郎」が発売されました。
国民的野球マンガが、ついにゲームセットを迎えます。