大学野球には使用するボールの種類によって3つの野球が存在します。1つは硬式野球、2つ目は軟式野球、3つ目が準硬式野球です。
準硬式野球は略して「ジュンコウ」。
使用する球はコルクの粉末と樹脂を混ぜ合わせてできた芯に糸を巻きつけ、表面を天然ゴムで覆っていまする。つまり見た目は軟球で中身は硬球といったイメージです。直径71.5~72.5mm、重さ141.2~144.8gとほぼ硬球と同じ大きさと重量です。軟式H号、トップボールとも呼ばれていて、硬球に比べて摩擦抵抗が大きいため、内野ゴロと外野フライが失速しやすい傾向にあります。バットは硬式用の金属バットを使用することが多いです。
2017年度は全日本大学準硬式野球連盟に284校が加盟し、登録選手は1万906人です。全日本大学野球連盟に加盟している硬式野球部が381校、登録選手が2万8998人ですから、さほどマイナー競技という訳でもありません。
準硬式野球の魅力について、関東地区大学準硬式野球連盟は
「学業とスポーツを両立できるというのが最大のメリットです。教職を取って、高校野球の指導者になりたいという学生もいるし、大学で野球をしたいけど、軟式のサークルよりは本格的にプレーできる準硬式を選ぶという学生もいます」
といい、私が今まで出会った方の中にもジュンコウ出身の人がいます。
全国には9地区(北海道、東北、北信越、関東、東海、関西、中国、四国、九州)の連盟があり、関東地区には5リーグ(東京六大学、東都大学、神奈川、北関東、新関東)が属しています。
毎年8月には全日本大学準硬式野球選手権大会が開催され、大学日本一の座を争います(今年は静岡・浜松などで開催)。
近年では中央大が強く、昨年は決勝で同志社大に敗退したものの、全国優勝通算12度と最多を誇っています。セレクションを経て入学してくる選手の出身校は、報徳学園高、常総学院高、浦和学院高、健大高崎高、静岡高、花巻東高といった全国の強豪校が並びます。そのほか、法政大や明治大などにもスポーツ推薦で入学した甲子園経験者が名を連ねています。
国際交流にも積極的で、全日本大学準硬式野球選手権大会の優秀選手で構成される選抜チームが3年に1度、海外遠征(昨年はオーストラリア)を行っているほか、東都大学連盟が独自に選抜チームを編成し、2016年からインドネシアに遠征しています。遠征では現地のクラブチームと親善試合を行ったりするほか、野球を知らない人たちに野球を教えたりと、野球を通じて国際感覚を養うことができるし、野球の普及・振興活動を行っています。
また、学生がリーグの運営などに積極的に携わっているのも「ジュンコウ」の大きな特徴であり,関東地区連盟では10人の学生委員から成る「学生委員会」という組織が、70校以上が出場する関東大会の運営や交通費の管理、使用球場の確保などを担っています。そのほか、審判も球審以外は現役部員が務めています。
高校までの野球人口を考えると、大学で硬式野球をやるのは、ほんの一握り人数です。硬式野球を続けたくても、いろいろな事情があって続けることが困難であっても、「ジュンコウ」という道もあるのです。もちろん、軟式野球だってあります。
ちなみに「ジュンコウ」「ジュンコウ」と書いてばっかりいたら、長淵剛さんの「順子」を思い出してしまうのは私だけでしょうか?
♪ オ… 順子 君の名を呼べば僕はせつないよ