第88回都市対抗野球大会の組み合わせ抽選会がありました。社会人野球の“二大タイトル”のひとつであり、おそらく最大のイベントと言っても過言ではないのが都市対抗です。
昨年優勝のトヨタ自動車(豊田市)は九州第3代表・九州三菱自動車(福岡市)と開幕試合で対戦、昨秋の日本選手権で準優勝している南関東第1代表の日本通運(さいたま市)は、中国第1代表の三菱重工広島(広島市)と大会第5日第一試合で対戦します。
この都市対抗のルールというのが「補強選手制度」です。早い話が「地方予選で敗退したチームから大会限定で選手を借りることができる」という制度です。つまり、大会が「都市対抗」だからなのです。
ですから、場合によっては普段は同じチームでプレーしているのにも関わらず、この大会に限ってはお互いに補強選手として違うユニフォームで対戦するという可能性もあります。
現在のルールでは補強選手は各チーム最大3人までと設定されています。ただ、チームの弱点を手っ取り早く補強できる反面、これまで戦ってきた陣容が変わることもあります。
今年の補強選手には、かつてNPBでプレーをした元プロ野球選手が何人かいます。三菱重工名古屋(名古屋市)の補強選手に選ばれた中田亮二選手(JR東海)は高知・明徳義塾高から亜細亜大を経て、2009年のドラフト3位で中日ドラゴンズに入団しました。その体型から「ブーちゃん」のあだ名で親しまれ、覚えている方も多いと思います。
JR北海道硬式野球クラブ(札幌市)の補強選手に選ばれたの佐藤峻一選手(室蘭シャークス)は、昨年までオリックスバファローズでプレーしていたピッチャーです。JR東日本(東京都)の補強選手に選ばれた加藤正志選手(REVENGE99)も、昨年まで東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーしていました。
ちなみに、トーナメント表を見て面白いことにお気づきかと思いますが、トーナメント形式の大会では、いわゆる"ヤマガタ"といわれる表の左側(あるいは上側)から順番に日程が進んでいくのがふつうです。高校野球を考えてみるとわかりやすいと思います。
一番左端のトヨタ自動車 vs. 九州三菱自動車が第1日第一試合はいいとしても、次のNTT東日本 vs. 三菱重工神戸・高砂が第4日第三試合、JR北海道硬式野球クラブ vs. 新日鐵住金東海REXが第5日第三試合とランダムに並んでいます。ただし、二回戦以降はきちんと左側から整列しています。
これは観客増を目的とした「特定試合シード制度」という、これまた都市対抗独特のルールなのです。一定数以上の観客動員を条件に、事前申請したチームを「希望する試合日・時間に割り振る」というものです。
今大会の特定シードチームはトヨタ自動車、パナソニック、Honda鈴鹿、東京ガス、Honda熊本、Honda、JR東日本、日本生命、JR西日本、NTT東日本、日立製作所です。社会人野球の中では強豪のチームばかりです。
集客が条件だから、各企業によって応援の人数を見込みやすい日時を指定できるのはもちろん、メリットととして強豪である特定シードのチームと一回戦から対戦するリスクを軽減出来ということもあります。ただし、勝負は何が起きるか判りませんし、シード以外のチームも実力を持っていますので、気は抜けません。
パワーとスピードは高校野球とはレベルが違います。また、高校球児の全力疾走以上の全力疾走が社会人野球では観られます。