野球小僧

高校野球におけるチームワーク

選抜大会で2度のベスト8入りするなど、甲子園に春夏8度の出場を誇る強豪校でした。

先日、部内暴力や校則違反があったとして、野球部を無期限活動停止にすることを明らかにしました。同校では6月の練習中に上級生が下級生へ暴力を振るっていたことが判明。また、昨年9月に部員が高校名入りのTシャツや帽子を無断で販売。同12月には別の部員が期末試験でカンニング行為をしたほか校則違反となるバイク免許の取得など、この一年間で5件の不祥事を高野連に報告していました。また、それ以外にも昨秋に高野連から試合進行上のマナー改善の指導があり、ベスト8入りした今夏の大会後にも、非公式ながら試合中の選手の態度などに対する改善要求が寄せられていたそうです。いずれの部員も停学処分になったそうです。

学校長は「すべてリセットさせた方がいいと判断し、高野連に無期限活動停止を申し入れた」と語っています。

今後は選手と面談を行い、学校長は「本人たちの意志を確認し、再スタートできると判断できれば活動を再開させたい」と話した。また、現時点では監督と部長へは処分を科さない意向とのことですが、今後も続けて指導するかについては「未定」としています。

同校は2002年に部員が恐喝事件を起こしたとして春季大会予選への出場を辞退、2008年には前年に起きた部員間の暴力行為が表面化し、同じく春季大会予選への出場を辞退し、夏の選手権地方大会にも出場できませんでした。この2008年は創部100周年記念イベントとして和歌山・箕島高校と石川・星稜高校の正体試合を行う予定でしたが、取りやめになりました。

悲しいことですよね。 

過去にさかのぼって見ても、代が完全に入れ替わっても不祥事があるというのは、一部活動の問題だけではなく、教育体制にも何かあるのではないかと思えます。この状況では大阪の名門校と同じ道を辿って行ったとしても不思議ではありません。

高校スポーツは野球だけではありませんよね。高校サッカーや高校ラグビーなどでは、このようなニュースが聞こえてきません。何も問題が起きないのが普通ですから。野球以外のスポーツでは不祥事が起きたとしても対外試合や大会出場を禁止されることはほとんどありません。社会的に大きな問題が起きた場合に、学校側判断で自主的に出場を辞退することはありますが、高校スポーツを統括する全国高校体育連盟(高体連)などが処分を下すことは基本的にはないそうです。例えばサッカーで試合中に審判に暴力を振るったり暴言を吐いた場合など、限られた場面において、日本サッカー協会の懲罰規定が適用されることがあっても、競技場外の出来事に関しては各高校の判断に任されているのが一般的だそうです。ですから、あまり、外へは情報が出て来ないのです。

高校野球連盟加盟校で不祥事が起きた場合、処分が決まるまでの流れを整理します。問題が発生すると、学校は都道府県管轄の高野連へ報告し、同連盟が調査します。次に高野連の審議委員会へ報告し、同委員会で審議の後に日本学生野球協会審査室へ上申します。学生野球協会は日本学生野球憲章の処分規定に沿って処分を決定します。ちなみに、処分の種類は、重い順から「除名」、「対外試合禁止」、「謹慎」、「警告」となっています。これは、やっぱり所属している組織体の違いからなのでしょう。

また、学校に判断を任せると判断がばらつきます。甘かったり、厳しすぎたり。教育の一環であると言い、また、グラウンドではフェアプレー精神を説いていることもあり、多くの前例を基に上位機関として公平に判断しているのでしょう。ただ、学校内でも処分を受け、高野連からも処罰されるのは高校生にとっては重すぎだとも思えます。

また、ほとんどの場合は連帯責任が問われます。ただ、中には本当に不祥事に関わっていない選手もいます。

今年、二年生部員9人が、練習態度などに改善のない同級生の胸などを小突いたチームは5月16日から7月13日まで対外試合禁止となったものの、三年生については非が認められないとし、同校の出場は可能とする救済措置を採用し、選手権地方大会の開幕には処分が解けました。ただし、二年生全員の出場登録を外すよう指導した事例があります。処分も連帯から個へと移り変わってきたということでしょうか。

日本高校野球連盟(加盟4071校)では、年間約1000件にも上る不祥事を審査して日本学生野球協会に上申しているそうです。また、その他にも表沙汰になっていないものもあるようです。2005年に日本高等学校野球連盟は加盟校に対し「暴力のない高校野球をめざして」と題した通達を出しました。それには「暴力のない、暴力を許さない野球部の確立」を「全国の加盟校指導者と選手、部員」に強く要望しています。さらに、高校野球は「学校教育活動としての部活動」であることを再確認し、「生徒間の暴力はもちろんのこと、指導者の暴力も些(いささ)かも許されるものではありません」と高校野球からの「暴力絶滅」を強調しています。

ここ数年の高校野球人気は、ひたむきなプレーであったり、最後まで諦めない全力プレーであったりと、観る人の心を揺さぶり感動させるものがあるからだろうと思います。

ただ、このようなネガティヴな事が続いたりして行くと、100年もの歴史と伝統を持つ高校野球であったとしても、世の中からの指示を得ないと廃れかねません。ただ、野球をやっているだけじゃないのですよね。多くの先輩たちから高校野球という文化を次の世代へ渡していく義務もあると考えます。

最近、また少年によって目をそむけたくなるような事件が発生しました。いかなる場合でも他人への暴力は許される物ではありません。また、その環境にいると感覚がマヒしてしまい、異常ということに気付かなかったりもします。最悪の場合、他人を死に至る事もあるということが判らないのでしょうか。何よりも目の前の暴力などの方が大事なのでしょうか。

「日本学生野球憲章」の第2条(4)には「学生野球は一切の暴力を排除し、いかなる形の差別をも認めない」と定められています。

野球は個人プレーでは勝つことは出来ません。一番大事なのは「誰かがやめろ、といえる雰囲気がそこにあるかどうか」でしょう。それが高校野球でも問われるチームワークなのではないでしょうか。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
そうなのです。誰でもいいから、止めさせる声を上げること。そういうことが出来るチームを作る、キャプテンを選ぶこと。それこそが、野球における人間形成ってものでしょう。

あとは、本当に何も罪のない選手の救済処置をどうするか。

選手だけの問題ではなく、学校、高野連も一体になって再発防止に努めて欲しいと思います。

未来のためにも。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

あの学校のことですよね。
なんだか芋蔓式に不祥事が出てきて・・・

子供の事件とは思えないような悲惨で冷酷な事件も多発していますし(T_T)

>「誰かがやめろ、といえる雰囲気がそこにあるかどうか」
 ↑正にそのとおりだと思います!野球だけでなくチームで仕事している時にもいえますよね!!
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