野球小僧

泣きたくなるくらいの大ピンチ / イチロー

「最近、縁もゆかりもない営業所に異動になりました。業務内容も変わり、モチベーションを保つのが難しいです。いろんな経験ができると前向きになる自分がいる一方で、会社からいいように使われているとネガティブになる自分がいます。イチローさんは仕事として野球に向き合うなかで思いどおりにならないときに、どのようにモチベーションを上げていましたぁ?」(入社5年目の会社員)

オリックス・バファローズ(NPB)やシアトル・マリナーズ(MLB)などで日米通算4367安打を放ち、現在はマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチローさんが2023年1月18日にインスタライブ「悩める大人の相談ライブ『イチ問一答』」を行ったときの質問です。



イチローさんは
「なかなか上がらないですね。難しいです。ただ、困難なことが自分身に起きているときって、僕はまた試されているなとすっと思っていた。また、試されてるな誰かにと。だからそこに向かっていく。あとから考えればチャンスととらえることができます。ただ、そこに向き合っているときはチャンス来たなとは思えない。未来の自分がそう思わせてくれるので、そこは踏ん張ってほしい。踏ん張っていい方向に進めば、あのときの自分がこうだったと実績ができる」
と話しました。

そして、進行役の住吉美紀さんが、

「そう思えるのはイチローさんがもともと精神的に強いから?」

と聞くと、イチローさんは、

「強いのか弱いのかは紙一重。弱いからこうしないと進めないと、それを重ねていったらこんな自分になっていた。周りから見たら強く見えるけど、基本的には弱い。ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、第2回WBC、最後の打席は大ピンチでした。泣きたくなるくらい大ピンチ。でも最後はあの結果というのは、恐らく、それまで自分なりに向き合ってきたから、その結果が出たと信じています。ずっと逃げっぱなしだったら、そんなのつかめない。その場面もやってこない。待ってたらやってこない。つかみにいかないと。乗り越えられるとしたら人の力ではなく自分なんですよ」

と語りました。

それはそうだと思います。誰にだって逃げ出したくなるくらいの大ピンチはあります。それでも、今まで自分がやってきたこと、これから自分がやってい来たと考えていることを信じて、向き合うことで何とかなるでしょうから。結果は結果ですし、いま迎えている大ピンチ以上の大大ピンチがあるかも知れないと考えてみれば少しは気持ちが楽になるかも知れません。

ほかにも、次のようなQ&Aがありました。

Q:大好きなスポーツがありますが、年齢とともに続けることがつらくなってきました。どのように老いと向き合ったらいいでしょうか?
A:人は老います。生きるということは老いること。生まれたからには宿命。気持ち、心、体の中から出てくるエネルギーを失ってしまうと、ネガティブになって沈んでしまう。もし、僕も、いま野球ができなかったら、どうしていいか確かにわからない。でもそれに向かっていけた自分がいるなら、「何か」あると思う。だからその「何か」を見つけてほしい

Q:結婚願望がありながら彼氏ができたことがない
A:見方を変えると、何でも相談できる友だちのなかに結婚相手がいるかも。ウチも友だちパターン。何でも話して、楽だなあって感じていた

Q:妻と口論になる。嫌なことを言われて受け流す方法はないですか?
A:グチは聞いてあげてほしい。感情的になったら負け。前に進もうと思ったらお互いの意思を確認して妥協するのが大事。ウチはお互いに静かにキレている。ため込んで両方、静かにキレるパターンです

最後に、なかなか面白いなと思ったものを2つ紹介しておきます。

Q:8つ上の高校時代の先生を好きになり、勇気を出して告白したんですが、「俺は教師になったときから生徒とは付き合わないって決めてるので」とへらへらしながらあっさり振られました。ここで諦められればいいんですが、そういうところもひっくるめて好きだったので、その日から胸に痛みを抱えながら日々をやり過ごしています。イチローさんが私と同じ状況になったら、どのように振る舞いますか?
A:僕が今気になったのが、「人の真剣な思いをへらへら聞いてんじゃねぇ」と思ったんですよ。8つ上の先生、ちょっと聞いててほしいね。人の真剣な思いをね、いい加減なへらへらした態度で聞いてんじゃねぇ。それはめっちゃ腹立ちます。そこは生徒と先生であっても、その思いを受け入れられないなら真摯に答えるべきだと思いますね。ただ、そこも含めて好きだからややこしいとは思うけど、僕ならその態度は次にいきやすい。すぱっと諦められる態度だと思う。僕ならそう考えます

と、ここまではイチローさんらしいのですが、直後に

「思い出した。20代の、結婚するだいぶ前の話ですよ。女の子から『私の気持ちを受け止めてくれないの?』って言われたことがあるんです。そこで何て言ったかというと、『僕はあなたの気持ち受け止めてます。ただ、受け入れてないだけだ』って言ったんです。(相手は)ブチ切れてました。事実なんだけど、僕は真摯に答えましたよ」

と。これも「らしい」ことだと思います。

Q:在宅勤務(テレワーク)でサボらない方法は?
A:人はサボる。だけど、「サボってはいけない」って感触を持ってらっしゃるのがすごくいいと思います。自分が負けてしまう、手を抜いてしまうということなので、とらえようによっては「それこそがその人だ」っていうことも言える。人が見てないところの姿が、まさしく、その人を表しているとも言えるでしょう。自分を客観的に冷静に見られるかって24時間、それは無理

「イチローさんもサボりますか?」と問われると、

「サボりますよ。人間らしいじゃないですか。そういう弱さって。でも、野球においては後悔したくない。野球においてはプロになってからサボった記憶はなかなか、出てこない。それ以外のところではサボってばかりですよね」

サボってしまう自分をどうするか。イチローさんの対処法は、

「自分が(サボりたくないけど)こうしたくないけど、(サボっちゃっているな)こうしちゃってるなって感じたときには、自分が大切にしている人、尊敬している人を思い浮かべて、『この人なら、今の自分の行動をなんて言うだろう?』って視点を持っておくと、自分の行動を厳しい方向に持っていくことができますね」

昔は何かよくないことをしようとすると、「おてんとうさまがみているよ」と、ほかの人が誰も見ていなくても太陽はきちんと見ているのだから、どんなときでもよくないことはやってはいけないと言われたものです。

そして、おてんとうさまって、いいことしていてもみてくれているものだとも思います。

本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。

皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。

また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。

コメント一覧

まっくろくろすけ
まかろんさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

イチローさんの素晴らしいと思うことは、「まずは全否定しない」ことだと思います。相手のことを受け入れて、まずは肯定することからスタートしていますね。

私なんかは、おそらく「全否定する」ことから話を始めちゃうでしょう。ですから、話が続かなかったり(笑)。

相談、アドバイスなんかを受けたとしても、結局は自分がどうするか。自分では答えを持っているかも知れませんが、その最後の一押しがほしいのですよね。
まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

たとえ、私なんかが同じことを言ったとしても、「この人、何言っているんだろう?」どころか、右から左に流されて終わりでしょう。

そもそも的に、それほどの経験・体験もありませんので、言葉にできるものは限られてしまいますから。

何しろ、日に焼けて「くろい」だけで、人生では「くろう」していませんので。
macaronteaparty
月並みな感想ですが、イチローさん、深い・・。🙏

自分で一つひとつ努力して結果を出してる人だからこそ、
言葉に重みがありますね。

最初のモチベの話で、まず、
なかなかあがらない、と認めちゃうの、
イチローさんでもそうなんだーと思いました。

そこから、
>ただ、そこに向き合っているときはチャンス来たなとは思えない。

そうなんだー、って。

結局はやってみろって話ですけど、そこに至るまでが正直で、
それでもそういう結論になるんだって、その答えぶりが
深くて、鮮やかだと思います。

他の答えも全部、鮮やかですね。

結局頑張るのは自分なので、
あまり人の言葉に感心している場合じゃないですけど、

・・「まっくろ語録」からはどういう教訓を得られるでしょうか。😁

いつも記事と返信の言葉にほんわかしてます。🌸
明日のまっくろさんの教訓話も楽しみにしていますね🙏(まかろん)
eco坊主
おはようございます。

やはり、極めた人(ご本人はそう思っていなくても)の仰ることは違いますね!
「なるほどなぁ~」「ふむふむ」「そっかー」と思い、受け入れています。
ただ、実践できるかどうか確信持てないのが凡人の私です😅

さぁ今日もイチローさんの言の葉を胸に、お腹にはユンケル入れていきますか!

あっ、まっくろくろすけさんも『黒の世界』を極めた人ですね!

今日もありがとうございました。

PS:まかろんさん、大丈夫でしょうか?どうぞご自愛くださいませ。
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