学校教育が完全週休2日となり、IT社会となり、スマホが普及し高校生の気質も大きく変わってきました。比較にはなりませんが、私が高校生の頃なんか、スマホもなければ携帯電話もなく、自動車電話が出始めた頃です。もちろん、インターネットもなく固定電話と直接会話が通信手段だった時代です。
現在は便利になったことの代償にコミュニケーションをはかるのが極めて難しい時代になりました。また、教師の権威が薄れている時代でもあり、教師が生徒を頭ごなしにしかりつけることなどできず、生徒の人格を常に考慮しなければならない。すると余計に会話の仕方が大事になります。
さて、横浜高と言えば、甲子園で5度の全国制覇を成し遂げ、名将と呼ばれた渡辺元智前監督が「コミュニケーションをはかるのが難しい時代」と語っています。
練習中に声をかけても、理解しているのか判断がつかないことも多く、全員の前でしかると傷ついて心を塞いでしまう選手だっているそうです。
渡辺さんは、監督時代に練習中や試合中に円陣を組んだときに、選手と一緒にヒザをつき合わせて、必ず目線の高さを同じにして言葉を発するようにしていました。選手の目を見れば、アドバイスを欲しているかどうかや、取り組んでいる練習に疑問を持っていないかなど、すぐにわかったそうです。そして、気になる選手がいると、携帯電話にこんなメールを送っていました。
「今日の練習はお前のためにやっているんだぞ」
メールのやりとりだと、グラウンドとは違って「ありがとうございます」と、すぐに素直な反応が返ってきたりしたそうです。ただし、重要なのはメールは会話のきっかけとして、大事な話は直接本人に口頭で伝えることです。やはり面と向かって話さないと、真意は伝わりません。現代ではこういう細かい配慮がなければ選手は付いてこないのです。
渡辺さんの約50年の監督生活の間、5回の全国優勝を果たしています。しかし、栄光を手にした選手だけが優れていたわけではないと言っています。
「甲子園に出場できなかった歴代の選手がいて、最後の夏に背番号をもらえずに終わる選手もたくさんいます。それが死にものぐるいで努力した結果であれば、彼らは敗北者ではない。勝負事に明暗があるのは仕方ないこと。勝った者と同様に、敗れた者もたたえられるべきです」
卒業式の日、涙を流しながら、「ユニホームは着られませんでしたが、横浜高校で野球をやれて良かったです」という選手の声を聞くと、渡辺さん自身、自分の教育は間違っていなかったと思ったそうです。そんな彼らに「人生の勝利者になれ」という言葉を贈っています。
「成功より失敗、栄光より挫折、勝利より敗北から学ぶことがある。私に言わせれば、高校野球は教育の一環ではなく、教育そのものなんです」
(画像は画面キャプチャ)
それにしても、横浜高は強いです。2回表にタイムリー3ベースなどで3点を先制すると、3回に2ランホームラン、5回にはランニングホームランが飛び出すなど、効果的に得点を挙げました。投げては先発ピッチャーが8回無失点の快投。守っては、三遊間の華麗な守備で愛産大三河高に完封勝ちでした。
第1試合 一回戦
横浜 0 3 2 0 1 0 1 0 0|7
愛産大三河 0 0 0 0 0 0 0 0 0|0
第2試合
下関国際 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2|4
花巻東 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0|2
第3試合
創志学園 0 0 0 4 0 0 3 0 0|7
創成館 0 0 0 0 0 0 0 0 0|0
(画像は画面キャプチャ)
岡山・創志学園高の西純也選手が長崎・創成館高を相手に圧巻の毎回16奪三振、4安打完封のピッチングでした。創成館高は昨秋の明治神宮大会準優勝、今春の選抜大会ではベスト8入りしたチームですが、手がつけられないピッチングでした。
第4試合
土浦日大 0 0 0 0 0 1 0 0 1|2
興南 0 0 0 0 2 1 0 3 x|6