野球の「シード権」とはトーナメント方式の大会で有力チーム同士が序盤で対戦しないように、また序盤の試合を免除するように、組み合わせを調整して分散させる仕組みのことです。
第98回全国高校野球選手権大阪大会の概要が発表されましたが、今年も大阪大会は全国で唯一「シードなし」で行われます。
シードについては、昨年の大阪大会でいきなり優勝候補同士の大阪桐蔭高 vs. 履正社高が初戦(二回戦)で対戦することで大阪方式(シードなし)をめぐる議論で盛り上がりました。今年は組み合わせでまたドラマを生むかもしれません。
180チーム近くが参加する大阪府大会で、そもそもなぜ大阪府高野連はシード制を採用していないのかについて、大阪府高野連は「実力勝負で平等なやり方」と説明しています。厳格で知られた稲葉重男・前理事長時代に、この方針が固められ長らく守られ続けています。ですから、シード制導入の議論は「ちょいちょいある」そうですが、「やはり大阪はノーシードで」と結論付けられているとのことです。
また、もう一つの理由は1998年の第80回記念大会で、出場校の多い大阪の出場枠が「2」に増やされたとき、府内を南北に分けて代表を決めました。この時、「応援や試合への準備が近くなるので便利」との声が強く出て、出場枠が「1」に戻った翌年からも、三回戦までは南北に分けて組み合わせ抽選を行うような運営方式となりました。春季大会の上位校によるシード制を導入すると、南北の一方に固まってしまう可能性があり、三回戦まで南北にチームを分けることが難しくなるため、シード制が採用されていないそうです。
大阪以外のシード制を導入している地域は概ね「シードがあるほうが本来の実力を発揮できる」とのことです。選手権大会の都道府県予選では春季大会の結果などを考慮して、大会序盤で強豪同士が当たることを避けるためにシード権を設定しています。
例えば愛知県大会(約190チーム)は以前はノーシード制でしたが、1997年からシード制になりました。春季大会のベスト8をシード校として8ブロックに分け、二回戦まで免除しています。愛知県高野連では「春の大会で頑張ったチームに何らかの優遇があってしかるべきだ」「最も実力のある学校を甲子園に送ることを考えるとシード制が必要だ」と説明しています。
愛媛県高野連では前年の秋季大会からの全公式戦で勝利を1ポイントとし、累積で上位4チームをシードとする仕組みです。「夏の大会はチームとしての集大成。一年を通じた結果が反映されるほうがいい。実力がありながら初戦で消えてしまうのはもったいない」とのことです。
観ている方としてはノーシードの方が面白い組み合わせがあり、強豪同士が早めに対戦してしまえば、他チームにもチャンスは広がるという見方が出来ます。
一方、シード制のメリットとしては強いチームにとっては、優勝までの試合数が少なくなり、ピッチャーの疲労を抑えられることが言え、より有利にトーナメントを戦えることがあります。例えば東西東京大会では春季大会の結果を受けて第5シードまであって、第1シードとなれば三回戦からの出場で、優勝まで2試合少ない6試合で済み、日程的に有利になります。
ノーシード制がいいのか、シード制がいいのか、どちらもいいところがあり、正解はないと思います。
ただ、ノーシード制になった場合は「○○高 第一シードの□□高を延長の末 破る!!」的な見出しが見られないことですね。
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まっくろくろすけ

eco坊主
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