物事の当事者ではない立場の「第三者」は明治時代に西欧の法律とともに輸入された言葉らしいです。この「第三者」とは「当事者以外の者。その事柄に直接関係していない人」という意味になります。
日本法における法律用語としては、通常は一定の法律関係につき当事者以外の人物を指しますが、条文の趣旨によっては限定的に解釈することもあります。相続人など当事者から地位を包括的に受け継いだ者は通常は第三者にはなりません。
自身の政治資金の支出先などを巡って、次から次へと新たな疑惑が浮上しているどこかの都知事。5月20日に都庁で開いた定例記者会見の場は「第三者の厳しい目」を連発し、27日の会見も前週と同様に「公正で厳正な調査」と、言葉は違いますが、同じ弁明を繰り返すばかりで報道陣からの質問をかわし続けました。
Q; 収支報告書を見ると、多数の美術品を買っている。美術品で、どんな政治成果を上げたのか?
A; その前に、どういう内容かを精査したほうがいい。厳しい第三者の目で見てもらうことがいい。
大体、自分がお金を払って調査を依頼している弁護士が果たして「第三者の厳しい目」と言えるのかどうかですよね。依頼した相手の名前も明らかにしません。さらに、どういう依頼をしたかにもよりますが、TVや新聞でしか見ていない第三者の私としては非常に怪しいものです。
最近の日本では何か不祥事があるたびに第三者委員会による検証と、調査報告がなされるのが流行りになっています。公正、中立、客観的に説明責任を尽くす決め手とされるのが第三者なのです。しかし、今回、政治資金流用疑惑の渦中のどこかの都知事は事態収拾に持ち出した第三者の調査そのものが炎上してしまいました。
昨年の9月12日の阪神タイガース vs. 広島東洋カープは2-2での引き分け試合でしたが、延長12回に3ベースと判定されたカープの田中選手の打球が実はホームランだったという誤審がありました。NPBは「審判員の思い込みが大きな原因。先入観を持たずにビデオ判定することを徹底する」と今後の対応を説明しました。NPBでは2010年からビデオ判定を導入していますが、このときは当該審判員がTV中継のリプレー映像を見て判断しています。そのため、このような「思い込み」によって、誤審が下される可能性はあります。
一方、チャレンジ制度を導入しているMLBでは全30球場のカメラ映像を一括管理するリプレーセンターを設置し、分析を担当する審判員が判定しています。また、大相撲の「物言い」でビデオ判定が必要な場合、行事や土俵周りの審判員ではなく、ビデオ室で再生映像を確認する審判が判定しています。テニスやバレーボールの世界的な大会のチャレンジ制度でも判定を下すのは独立した「第三者の厳しい目」です。
そういう意味では、NPBでも「第三者の厳しい目」で判定出来るように改善する必要があります。
そういえば、先日、MLBマイアミ・マーリンズのイチロー選手が2試合ぶりに一番・ライトでスタメン出場し、今シーズン7度目のマルチヒットを記録しました。
この試合で2安打を記録し、今シーズンの打率は.322となり、これでMLB通算2963安打で3000安打まで37安打、ピート・ローズさんの歴代最多4256安打までは日米通算であと15安打としました。ここのところ、良い当たりがヒットにつながらない試合が続いていましたが、そのことについてイチロー選手はこう言っています。
「いや、もうそれは第三者の厳しい目で見てもらったらいいと思います」
なるほど、そう来ましたかっていう感じです。流石イチロー選手ですね。でも、イチロー選手の場合は、第三者の厳しい目で見ても納得するものですけど。
さて、相当気が早いことですが「第三者の厳しい目で」は今年の絶対流行語大賞候補になるでしょう。それに対抗してか、昨日は「新しい判断」なんて迷言も出てきました。
ま、どちらにしても、流行語大賞は「第三者の厳しい目」と「新しい判断」で選出してくださいませ。
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